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第十三話 ゼルバのお家①
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結局ゼルバの家まで、私はお姫様抱っこで連れて行かれた。
ゼルバは有名人なので、道ゆく人たちに『その子はどなたですか?』声をかけられた。
その度にゼルバは嬉しそうな表情で、『俺の恋人です。可愛いでしょう?』と説明するので、私は顔から火が出そうだった。
部屋に入ると、壊れものを扱うようにそっとソファに下ろされる。
こんな時なのにゼルバの住むお部屋がどんな感じなのか気になって、私はキョロキョロ辺りを見回した。
部屋はベージュで統一されていた。とてもシンプルで清潔感のあるお部屋だ。
壁には鞘に収まった剣や盾などが立てかけられていて、いかにも冒険者の部屋といった感じだった。
意外なことに、部屋の隅に大きな本棚があり、そこにはびっしりと本が詰まっていた。
ゼルバは本が好きなのかしら? 知らなかったわ。私も本は大好き。今度本についてお話ししてみようかしらなどと考えて、ハッとした。
いや、今度なんてないわ! 私たちは別れたのよ! そんなことを思いながらブルブル首を振った。すると、そんな私を見ていたゼルバがクスリと笑った。
「レノン。俺の部屋に興味津々だね」
部屋を観察していたことがバレた私は赤面した。
「ご、ごめんなさい。ジロジロ見ちゃって」
「別にいいよ。気に入ってくれたなら嬉しいな。居心地のよい部屋なら、レノンも気軽に遊びにきてくれるだろ?」
「あ、遊びになんていかないわ。だって私たち、別れたんですもの」
「……」
ゼルバは無言で隣に座ると、じぃっと私の横顔を見つめた。
「俺は別れるつもりはないよ」
「ダメよ。別れて」
「嫌だよ。なんで別れなきゃいけないの?」
「さっきも言ったじゃない! 貴方に私みたいなブスは相応しくないの!」
私の言葉を聞いて、ゼルバは目を丸くした。
「レノンがブスだったら、世の中の女の子の大半は醜いよ?」
「そんなことないわ」
「そんなことあるよ。――え? レノンって自分のことブスだと思ってるの? こんなに可愛いのに?」
「そういうこと言うのやめて」
「だって可愛いもん。可愛い可愛い可愛い」
「や、やめてったら!」
私は恥ずかしくなってきて、ぽこぽことゼルバの肩を叩いた。
「あはは。真っ赤になっちゃって。可愛いんだから」
もう! なんだか揶揄われてる気がするわ!
私はムッとしながら頰を膨らませた。
そんな私を見ながら、ゼルバが優しく微笑む。
「じゃあ問題解決だね。レノンは可愛いもん」
「な、なんにも解決してないわよ」
私はモジモジと髪をいじりながら話を続ける。
「ゼルバはSランク冒険者なのよ? しかも凄くカッコいいし、みんなの憧れの的なの。そんな素敵な男性が、私の彼氏なんておかしいわ」
ゼルバは『うーん……』と唸ると、あごに手を乗せて考え込んだ。
「俺、別に普通の男だよ? 俺なんかに憧れてる人なんていないんじゃないかなぁ?」
「いるもん! 今日会った女の人も、ゼルバに恋してるみたいだったもん!」
「今日会った女の人?」
そこで私はハッとした。
まずい……。口を滑らせてしまった。あの女性のことは黙っていようと思ったのに。
私は慌てて誤魔化した。
「な、なんでもないわ」
「……」
だが、勘のいいゼルバはなんでもないで済ませてくれなかった。
ゼルバは有名人なので、道ゆく人たちに『その子はどなたですか?』声をかけられた。
その度にゼルバは嬉しそうな表情で、『俺の恋人です。可愛いでしょう?』と説明するので、私は顔から火が出そうだった。
部屋に入ると、壊れものを扱うようにそっとソファに下ろされる。
こんな時なのにゼルバの住むお部屋がどんな感じなのか気になって、私はキョロキョロ辺りを見回した。
部屋はベージュで統一されていた。とてもシンプルで清潔感のあるお部屋だ。
壁には鞘に収まった剣や盾などが立てかけられていて、いかにも冒険者の部屋といった感じだった。
意外なことに、部屋の隅に大きな本棚があり、そこにはびっしりと本が詰まっていた。
ゼルバは本が好きなのかしら? 知らなかったわ。私も本は大好き。今度本についてお話ししてみようかしらなどと考えて、ハッとした。
いや、今度なんてないわ! 私たちは別れたのよ! そんなことを思いながらブルブル首を振った。すると、そんな私を見ていたゼルバがクスリと笑った。
「レノン。俺の部屋に興味津々だね」
部屋を観察していたことがバレた私は赤面した。
「ご、ごめんなさい。ジロジロ見ちゃって」
「別にいいよ。気に入ってくれたなら嬉しいな。居心地のよい部屋なら、レノンも気軽に遊びにきてくれるだろ?」
「あ、遊びになんていかないわ。だって私たち、別れたんですもの」
「……」
ゼルバは無言で隣に座ると、じぃっと私の横顔を見つめた。
「俺は別れるつもりはないよ」
「ダメよ。別れて」
「嫌だよ。なんで別れなきゃいけないの?」
「さっきも言ったじゃない! 貴方に私みたいなブスは相応しくないの!」
私の言葉を聞いて、ゼルバは目を丸くした。
「レノンがブスだったら、世の中の女の子の大半は醜いよ?」
「そんなことないわ」
「そんなことあるよ。――え? レノンって自分のことブスだと思ってるの? こんなに可愛いのに?」
「そういうこと言うのやめて」
「だって可愛いもん。可愛い可愛い可愛い」
「や、やめてったら!」
私は恥ずかしくなってきて、ぽこぽことゼルバの肩を叩いた。
「あはは。真っ赤になっちゃって。可愛いんだから」
もう! なんだか揶揄われてる気がするわ!
私はムッとしながら頰を膨らませた。
そんな私を見ながら、ゼルバが優しく微笑む。
「じゃあ問題解決だね。レノンは可愛いもん」
「な、なんにも解決してないわよ」
私はモジモジと髪をいじりながら話を続ける。
「ゼルバはSランク冒険者なのよ? しかも凄くカッコいいし、みんなの憧れの的なの。そんな素敵な男性が、私の彼氏なんておかしいわ」
ゼルバは『うーん……』と唸ると、あごに手を乗せて考え込んだ。
「俺、別に普通の男だよ? 俺なんかに憧れてる人なんていないんじゃないかなぁ?」
「いるもん! 今日会った女の人も、ゼルバに恋してるみたいだったもん!」
「今日会った女の人?」
そこで私はハッとした。
まずい……。口を滑らせてしまった。あの女性のことは黙っていようと思ったのに。
私は慌てて誤魔化した。
「な、なんでもないわ」
「……」
だが、勘のいいゼルバはなんでもないで済ませてくれなかった。
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