6 / 51
第5話:竜人の少女、リア
しおりを挟む
「あと五十キロっ……」
茜が指す時刻。
魔物に出会うと厄介なので、脳内で術式を描き、魔力探知の魔法を発動する。すると、街までの道中に幾つもの人間の反応があった。
そうこうしているうちに通りかかったため木の裏に身を潜めて覗いてみると、そこには馬車が倒れ、その馬車を守るように立つ十歳くらいの赤い髪の少女、と彼女に下卑た視線を送る薄汚れた格好の男達十人以上ーー盗賊が相対していた。ひとまず身を隠すことにする。
「くひひっ、こりゃ上玉だぜ」
「でけえ胸だ」
「早くやっちまおうぜ!」
「くっ……」
右腕を抑える少女は全身を舐め回すような視線に顔を顰め、キッと睨む。しかし身につけている上着やスカートはボロボロになり、抑えられた右腕は赤く染まりつつあり、満身創痍なのが一目でわかる。
「この時期は魔法士になりたい、とかいう金持ちのボンボンが沢山くるから美味いねえ」
圧倒的数の有利に油断しているのか、得物で遊んだり談笑しだす盗賊達。彼らは小声で詠唱を始めた少女に気づかない。
「ーー切り裂け『風の刃』!!」
「たまにこんな上物もいーー」
掲げた左手から発現した風魔法は談笑に夢中で視線を彼女から外していた男の首に吸い込まれ、そのまま肉を、そして骨を断ち切った。吹き上がる血飛沫に動揺を見せた盗賊達だが、次の瞬間には怒りに眦を吊り上げた。
「てめぇ、よくもッ!」
「ヤってから殺そうと思ってたがもうやめだ、今すぐ殺す!!」
盗賊達は一気に肉薄する。この人数差だ、幾ら魔法が使えようと、あの子供には勝ち目がないだろう。
彼女も諦念したのか、体を強張らせ、目を閉じた。
「そろそろかな」
盗賊達を横一文字、風の刃が両断した。
いつまで経っても訪れない痛みを不思議に思った少女はゆっくりと目を開け、そして見開く。
「……えっ」
まあ、血溜まりと無惨に転がる死体を見たらそうなるだろう。だが、すぐさま我に帰り、馬車に駆け寄る。
「パパ、ママっ!」
必死に呼びかけるが、しかし、返事はない。少女は馬車から両親を救出しようと扉のなかに手を突っ込むが、少女だけでは力が足りず、上手くいかない。
「パパ、ママ、今助けるから……っ」
目に涙を溜めて、相当痛むであろう右腕すらも馬車に突っ込むが、馬車の中から人が出てくる気配はない。
「くぅっ、やだ、死なないで」
右腕を襲っているであろう激痛に顔が歪んでいる。もしくは、両親の死という事実を直視して、なのかもしれない。
もはや痛々しい少女をこれ以上は見てられない。
「手伝うよ」
「……子供?」
こんな何もない道に子供がいるのが疑問なのだろう。俺もいたらビビる。しかし、そんなことを追及している余裕など、あるはずもない。
俺は五歳児の小柄な体を活かして馬車の中に入り、邪魔になるものを外に出していく。
そして、最後に少女の両親を協力して馬車の外へ出した。
「パパ、ママ……」
少女がいくら揺すっても二人は目を覚まさない。
「うぅ、ぐずっ、うえぇぇぇん……」
たった一つの嗚咽が、虚しく闇夜に響く。
この場には、彼女の辛さを共有できる者はいない。二人の死を本当の意味で悲しむ者はいない。
だから、両親の死を知らしめるように彼女は大声で泣いた。悲しみ尽くすために涙を枯らすまで泣いた。
「ねえ君。火の魔法は使える?」
ずっと見ているものではないので目を瞑っていると、少女が言葉を零した。
「使えるよね。なら、火葬してくれない?」
表情は見えない。
「人間は土葬が主流らしいけど、竜人は原初の龍『ドラグニール』様の操った炎に焼かれることで輪廻の輪に還るの。だから……」
少女の言葉が詰まる。もういいとの意を込めて口を開けた。
「わかった」
二人から離れる少女を見届け、形だけだが、詠唱を紡ぐ。
「龍に愛されしふたつの魂よ、我が焔の中で安らかに眠れ」
刹那、二人から火柱が上がり、二人の体を赤色に包む。
「っ……さよなら、パパ、ママ」
その炎を焼き付けるように見た少女は、糸が切れたように倒れた。
俺はそれをみるや盛大に燃えている炎を水をぶっかけて鎮火、二人を覆っていた水の膜も消しさる。
「……二人とも、生きてるんだよね。娘さんとても悲しんでるよ」
俺は怒りを以って何の傷も負っていない二人に問いかける。
「……」
二人はだんまりである。呆れてため息が漏れる。
「死んでるんなら、首を跳ねても問題ないよね」
と魔法陣を見せつけると、ようやく反応が返ってきた。
「ちょ、ちょっと待った!」
焦ったように父親が勢いよく起き上がったので、無言で説明を促す。
「竜人には、そういう決まりなんだよ」
「死んだフリして自分の子を悲しませる?」
そんなの、親として失格だ。
「いや、竜人ってのは生まれつき甘えん坊でね。親離れが大変なんだよ。だから、十歳の時にこうやって死んだフリや、行方をくらまして強制的に親離れさせるんだよ」
言いたいことがありすぎて呆れるしかできない。
俺のツッコミ魂が疼いて仕方がない。
「竜人って甘えん坊さんなんだね」
「グハッ!……恥ずかしながら。竜人の威厳を保つのに、甘えん坊なところがバレるとアレだろう? だからこんな決まりができたんだよ……」
「確かに、竜人って凄いカッコいいイメージがあったけど大暴落だよ」
「ガッハァ!!」
胸を押さえて仰け反る少女の父親を冷めた目で見ると、気不味くなったらしい、隣の奥さんを起こし始める。
「……ねえママ、起きてよ!」
「おい待て、甘えん坊治ってないじゃん!」
「うにゃ? なんだよ煩いな。リアは行ったのか? っているじゃねえか。バレたらどうするんだよっ」
娘と同じ赤い髪の奥さんは眠そうな目をして夫を叩く。
娘が慟哭している間寝てたのか。大物だな。
「娘さんは気絶してるから大丈夫だよ」
「なっ、お前、よくも私の愛娘をっ!」
奥さんは大きく目を見開き、戦闘の構えを見せる。
「ちょっと待ってママ、この子は娘を助けてくれた人で」
「ふっ、バレてしまったなら仕方がない。我が魔弾で貴様を消し去ってやるっ!」
視線が交錯する。一瞬の間を置いて、二人は地を蹴った。
「「おぉぉぉぉ!!」」
「んっ……」
少女、リアが声を漏らした瞬間、奥さんはさっきの位置に戻って目を瞑り、俺は何事もなかったかのように背中を向けた。
「……ただの寝言か」
「そうみたいだね」
「君たち切り替え早すぎない!?」
ただ一人取り残された父親のツッコミは森に虚しく響いた。
「煩い」
「グホッ」
なんだか夫婦漫才が無性にムカつくので、早く魔法学校へ向かおう。
流石に自分の娘が目を覚ますまでくらい、見守っているだろう。
「じゃ、俺はこれで」
逃げるように夫婦から背を向ける。
「待ちな!」
「なに……」
時間もヤバいし……。
俺がしぶしぶ振り返ると、奥さんは思ったより真剣な顔をしていた。
「ウチの子の面倒を見てやってくれないかい?」
「あはは、面白い冗談ですね。愛娘を五歳の子供に預けようとするなんて」
確かにリアは美人である。だが、五歳の子供には荷が重い。
「冗談じゃあない。私たち竜人は個体の能力がどの種族よりも高いのは知っているだろう。その代わり数が少ない。どうにも子供ができづらい体質らしくてな。この子も、村で十年ぶりの子供だったんだ。そんな子を一人にはしたくない」
竜人というハイスペックが沢山いたら、勢力図が一新されてしまうしな。
「俺には手に負えないよ」
まあ、それもひとつだが、俺が渋る最大の理由。それは竜人の目。
竜人の目は史上最高の効力を誇る『命の薬』の材料になる。そのため昔、竜人狩りというものが流行ったそうだ。今は、戦争が無くなった平和な時期に結ばれた条約的なもので世界的に禁止されているらしいが、今でも密売する輩がいるため一人でいるのは危ない。
そんな経緯から俺は自分の手には負えないと感じている。
「ふーん。断っちゃうんだ。まあいいけどね。私たち見えるんだよね、中身と外見の違い。魂ってやつが」
「……で?」
竜人の目は特殊で、生物の魂が見える。生命の奥深くを感じる力を有するがために、材料になるのだ。
「君、異世界の人でしょ。確か、五年前に三十九人が人間国で一斉召喚されたらしいじゃない。何故四十人じゃないのか疑問だったけど、そういうことね」
奥さんは愉快に口元を歪める。
俺が四十人目であることを人間国に報告されれば、もしかすると拘束されるかもしれない。それは非常にマズイ。俺の自由が潰されることになり、魔法を極められなくなる。
「それに、ウチの子気に入っちゃったらあげてもいいわよ。竜人は強い者に惚れる。君くらい強いなら任せられるわ」
勝ち目がなさそうだ。
「はぁぁぁ。分かったよ。その代わり一年間だけだよ」
「ありがとう」
そう言って奥さんはニッコリと笑い、俺に何かを手渡した。
菱形のペンダントだ。
「それを見せると竜人の遣いという扱いになるから楽に事が進むわよ、人間とエルフのハーフさん」
「あはは……ありがとうございます」
何枚も上手だったようだ。
「じゃあ、私たちは帰るから。何かあったらペンダントで伝えてね」
そう言って夫婦は空を飛んで月夜に消えた。
もうあまり時間はない。俺は竜人の少女、リアを担いで全力疾走で魔法学校へ駆けた。
茜が指す時刻。
魔物に出会うと厄介なので、脳内で術式を描き、魔力探知の魔法を発動する。すると、街までの道中に幾つもの人間の反応があった。
そうこうしているうちに通りかかったため木の裏に身を潜めて覗いてみると、そこには馬車が倒れ、その馬車を守るように立つ十歳くらいの赤い髪の少女、と彼女に下卑た視線を送る薄汚れた格好の男達十人以上ーー盗賊が相対していた。ひとまず身を隠すことにする。
「くひひっ、こりゃ上玉だぜ」
「でけえ胸だ」
「早くやっちまおうぜ!」
「くっ……」
右腕を抑える少女は全身を舐め回すような視線に顔を顰め、キッと睨む。しかし身につけている上着やスカートはボロボロになり、抑えられた右腕は赤く染まりつつあり、満身創痍なのが一目でわかる。
「この時期は魔法士になりたい、とかいう金持ちのボンボンが沢山くるから美味いねえ」
圧倒的数の有利に油断しているのか、得物で遊んだり談笑しだす盗賊達。彼らは小声で詠唱を始めた少女に気づかない。
「ーー切り裂け『風の刃』!!」
「たまにこんな上物もいーー」
掲げた左手から発現した風魔法は談笑に夢中で視線を彼女から外していた男の首に吸い込まれ、そのまま肉を、そして骨を断ち切った。吹き上がる血飛沫に動揺を見せた盗賊達だが、次の瞬間には怒りに眦を吊り上げた。
「てめぇ、よくもッ!」
「ヤってから殺そうと思ってたがもうやめだ、今すぐ殺す!!」
盗賊達は一気に肉薄する。この人数差だ、幾ら魔法が使えようと、あの子供には勝ち目がないだろう。
彼女も諦念したのか、体を強張らせ、目を閉じた。
「そろそろかな」
盗賊達を横一文字、風の刃が両断した。
いつまで経っても訪れない痛みを不思議に思った少女はゆっくりと目を開け、そして見開く。
「……えっ」
まあ、血溜まりと無惨に転がる死体を見たらそうなるだろう。だが、すぐさま我に帰り、馬車に駆け寄る。
「パパ、ママっ!」
必死に呼びかけるが、しかし、返事はない。少女は馬車から両親を救出しようと扉のなかに手を突っ込むが、少女だけでは力が足りず、上手くいかない。
「パパ、ママ、今助けるから……っ」
目に涙を溜めて、相当痛むであろう右腕すらも馬車に突っ込むが、馬車の中から人が出てくる気配はない。
「くぅっ、やだ、死なないで」
右腕を襲っているであろう激痛に顔が歪んでいる。もしくは、両親の死という事実を直視して、なのかもしれない。
もはや痛々しい少女をこれ以上は見てられない。
「手伝うよ」
「……子供?」
こんな何もない道に子供がいるのが疑問なのだろう。俺もいたらビビる。しかし、そんなことを追及している余裕など、あるはずもない。
俺は五歳児の小柄な体を活かして馬車の中に入り、邪魔になるものを外に出していく。
そして、最後に少女の両親を協力して馬車の外へ出した。
「パパ、ママ……」
少女がいくら揺すっても二人は目を覚まさない。
「うぅ、ぐずっ、うえぇぇぇん……」
たった一つの嗚咽が、虚しく闇夜に響く。
この場には、彼女の辛さを共有できる者はいない。二人の死を本当の意味で悲しむ者はいない。
だから、両親の死を知らしめるように彼女は大声で泣いた。悲しみ尽くすために涙を枯らすまで泣いた。
「ねえ君。火の魔法は使える?」
ずっと見ているものではないので目を瞑っていると、少女が言葉を零した。
「使えるよね。なら、火葬してくれない?」
表情は見えない。
「人間は土葬が主流らしいけど、竜人は原初の龍『ドラグニール』様の操った炎に焼かれることで輪廻の輪に還るの。だから……」
少女の言葉が詰まる。もういいとの意を込めて口を開けた。
「わかった」
二人から離れる少女を見届け、形だけだが、詠唱を紡ぐ。
「龍に愛されしふたつの魂よ、我が焔の中で安らかに眠れ」
刹那、二人から火柱が上がり、二人の体を赤色に包む。
「っ……さよなら、パパ、ママ」
その炎を焼き付けるように見た少女は、糸が切れたように倒れた。
俺はそれをみるや盛大に燃えている炎を水をぶっかけて鎮火、二人を覆っていた水の膜も消しさる。
「……二人とも、生きてるんだよね。娘さんとても悲しんでるよ」
俺は怒りを以って何の傷も負っていない二人に問いかける。
「……」
二人はだんまりである。呆れてため息が漏れる。
「死んでるんなら、首を跳ねても問題ないよね」
と魔法陣を見せつけると、ようやく反応が返ってきた。
「ちょ、ちょっと待った!」
焦ったように父親が勢いよく起き上がったので、無言で説明を促す。
「竜人には、そういう決まりなんだよ」
「死んだフリして自分の子を悲しませる?」
そんなの、親として失格だ。
「いや、竜人ってのは生まれつき甘えん坊でね。親離れが大変なんだよ。だから、十歳の時にこうやって死んだフリや、行方をくらまして強制的に親離れさせるんだよ」
言いたいことがありすぎて呆れるしかできない。
俺のツッコミ魂が疼いて仕方がない。
「竜人って甘えん坊さんなんだね」
「グハッ!……恥ずかしながら。竜人の威厳を保つのに、甘えん坊なところがバレるとアレだろう? だからこんな決まりができたんだよ……」
「確かに、竜人って凄いカッコいいイメージがあったけど大暴落だよ」
「ガッハァ!!」
胸を押さえて仰け反る少女の父親を冷めた目で見ると、気不味くなったらしい、隣の奥さんを起こし始める。
「……ねえママ、起きてよ!」
「おい待て、甘えん坊治ってないじゃん!」
「うにゃ? なんだよ煩いな。リアは行ったのか? っているじゃねえか。バレたらどうするんだよっ」
娘と同じ赤い髪の奥さんは眠そうな目をして夫を叩く。
娘が慟哭している間寝てたのか。大物だな。
「娘さんは気絶してるから大丈夫だよ」
「なっ、お前、よくも私の愛娘をっ!」
奥さんは大きく目を見開き、戦闘の構えを見せる。
「ちょっと待ってママ、この子は娘を助けてくれた人で」
「ふっ、バレてしまったなら仕方がない。我が魔弾で貴様を消し去ってやるっ!」
視線が交錯する。一瞬の間を置いて、二人は地を蹴った。
「「おぉぉぉぉ!!」」
「んっ……」
少女、リアが声を漏らした瞬間、奥さんはさっきの位置に戻って目を瞑り、俺は何事もなかったかのように背中を向けた。
「……ただの寝言か」
「そうみたいだね」
「君たち切り替え早すぎない!?」
ただ一人取り残された父親のツッコミは森に虚しく響いた。
「煩い」
「グホッ」
なんだか夫婦漫才が無性にムカつくので、早く魔法学校へ向かおう。
流石に自分の娘が目を覚ますまでくらい、見守っているだろう。
「じゃ、俺はこれで」
逃げるように夫婦から背を向ける。
「待ちな!」
「なに……」
時間もヤバいし……。
俺がしぶしぶ振り返ると、奥さんは思ったより真剣な顔をしていた。
「ウチの子の面倒を見てやってくれないかい?」
「あはは、面白い冗談ですね。愛娘を五歳の子供に預けようとするなんて」
確かにリアは美人である。だが、五歳の子供には荷が重い。
「冗談じゃあない。私たち竜人は個体の能力がどの種族よりも高いのは知っているだろう。その代わり数が少ない。どうにも子供ができづらい体質らしくてな。この子も、村で十年ぶりの子供だったんだ。そんな子を一人にはしたくない」
竜人というハイスペックが沢山いたら、勢力図が一新されてしまうしな。
「俺には手に負えないよ」
まあ、それもひとつだが、俺が渋る最大の理由。それは竜人の目。
竜人の目は史上最高の効力を誇る『命の薬』の材料になる。そのため昔、竜人狩りというものが流行ったそうだ。今は、戦争が無くなった平和な時期に結ばれた条約的なもので世界的に禁止されているらしいが、今でも密売する輩がいるため一人でいるのは危ない。
そんな経緯から俺は自分の手には負えないと感じている。
「ふーん。断っちゃうんだ。まあいいけどね。私たち見えるんだよね、中身と外見の違い。魂ってやつが」
「……で?」
竜人の目は特殊で、生物の魂が見える。生命の奥深くを感じる力を有するがために、材料になるのだ。
「君、異世界の人でしょ。確か、五年前に三十九人が人間国で一斉召喚されたらしいじゃない。何故四十人じゃないのか疑問だったけど、そういうことね」
奥さんは愉快に口元を歪める。
俺が四十人目であることを人間国に報告されれば、もしかすると拘束されるかもしれない。それは非常にマズイ。俺の自由が潰されることになり、魔法を極められなくなる。
「それに、ウチの子気に入っちゃったらあげてもいいわよ。竜人は強い者に惚れる。君くらい強いなら任せられるわ」
勝ち目がなさそうだ。
「はぁぁぁ。分かったよ。その代わり一年間だけだよ」
「ありがとう」
そう言って奥さんはニッコリと笑い、俺に何かを手渡した。
菱形のペンダントだ。
「それを見せると竜人の遣いという扱いになるから楽に事が進むわよ、人間とエルフのハーフさん」
「あはは……ありがとうございます」
何枚も上手だったようだ。
「じゃあ、私たちは帰るから。何かあったらペンダントで伝えてね」
そう言って夫婦は空を飛んで月夜に消えた。
もうあまり時間はない。俺は竜人の少女、リアを担いで全力疾走で魔法学校へ駆けた。
0
あなたにおすすめの小説
唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~
専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。
ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
異世界に転生した俺は英雄の身体強化魔法を使って無双する。~無詠唱の身体強化魔法と無詠唱のマジックドレインは異世界最強~
北条氏成
ファンタジー
宮本 英二(みやもと えいじ)高校生3年生。
実家は江戸時代から続く剣道の道場をしている。そこの次男に生まれ、優秀な兄に道場の跡取りを任せて英二は剣術、槍術、柔道、空手など様々な武道をやってきた。
そんなある日、トラックに轢かれて死んだ英二は異世界へと転生させられる。
グランベルン王国のエイデル公爵の長男として生まれた英二はリオン・エイデルとして生きる事に・・・
しかし、リオンは貴族でありながらまさかの魔力が200しかなかった。貴族であれば魔力が1000はあるのが普通の世界でリオンは初期魔法すら使えないレベル。だが、リオンには神話で邪悪なドラゴンを倒した魔剣士リュウジと同じ身体強化魔法を持っていたのだ。
これは魔法が殆ど使えない代わりに、最強の英雄の魔法である身体強化魔法を使いながら無双する物語りである。
異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?
すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。
一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。
「俺とデートしない?」
「僕と一緒にいようよ。」
「俺だけがお前を守れる。」
(なんでそんなことを私にばっかり言うの!?)
そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。
「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」
「・・・・へ!?」
『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!?
※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。
※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。
ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる