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第9話:修羅場
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翌日、俺たちは入寮の準備があるため再び学校に来ている。必ずしも入寮しないといけないわけではないが、入寮するのは無料なので、入寮すれば朝昼晩の食事代、宿泊代が浮くのである。要するに、働かなくて良いのである。
しかし、その蜜に辿り着くためには困難を乗り越えなければならない。
「うはぁ~、何時間待ちだろこれ」
「一時間じゃ済まないね……」
リアに肩車してもらって分かったのだが、受付は箱詰め状態であり、学校の長い廊下を飛び越えて校舎の外まで列ができていた。
「なんでこんなに混んでる時間に来たんだろ」
「シアン君が寝坊するからよ!」
「そーだった」
今現在の時間は十時。地球と同じ一年365日、一日24時間なので、時間感覚は気にしないでいい。
本来ならば八時に並び出す予定だったのだが、二度寝がしたいがためにリアにごねた結果、予定より二時間遅れて宿を出ることになったのである。
「もうっ。だから早く来たかったのに」
拗ねたように口をとがらせるリアに謝罪を述べていると、腹部に鈍痛が走った。
「シアーン!」
「ぐぶっ!」
頭突きという形で。
お腹を襲った衝撃に空気を吐き出しながらそのまま押し倒される。
「えへへ~、お姉ちゃんが帰って来たよ?」
そのまま俺の上へ乗っかり、眩しい笑みを向ける少女はアイラである。
「ゴホッゴホッ、なんでここに……あー、そういや婆さんが言ってたな……」
「シアン成分補給しないと~」
「んぐっ!?」
考え事をしていると、アイラが抱きついてくる。彼女の方が背が高いため、俺の顔はアイラの胸の辺りに当たることとなる。
まだ未成熟なのでなにもないのだが……。
「ち、ちょっと、あなたシアン君のなんなの!?」
「んー、お姉ちゃん?」
「んなっ!?」
アイラの胸の隙間からリアを覗くと、リアが顔を赤くして突っかかっている。そして、アイラの返答で更に顔を真っ赤にして俺を見ていて、何か物言いたげだ。
「シアンはお姉ちゃん大好きだもんねーっ」
「う、うん……」
それを傍目にアイラは俺の頭を撫で始めた。
アイラに頭を撫でられると俺はもう彼女に抵抗できない。彼女の言葉に肯定してしまう。
「シアン君!? あなた、シアン君から離れなさいよ!」
「嫌だよーだ!」
「「ぐぬぬ……」」
アイラは、俺に私の所有物だと言わんばかりに抱きつき、リアはそれを竜人の威圧感でアイラを威嚇し、一触即発の雰囲気が二人の間に流れる。
まさに修羅場である。
こんな衆人環視の中で喧嘩でもされたらたまったもんじゃない。まして魔法でもぶっ放されたら入学前に退学すらありえる。そうしている間に二人は魔力を溜め始めた。
やばいやばいやばいやばいーー
「二人とも、落ち着いてっ!」
「「うるさい!」」
泣きそうである。
しかし、まだ俺の学校生活は死んではいなかった。
「こら、皆さんの迷惑になるからやめなさい」
「お父さん! ごめんなさ~い」
「あ、すみませんっ」
アイラのお父さんが柔らかい笑みでアイラを窘めた。元々西洋風な顔つきでイケメンなのだが、今はその精悍な顔が輝いて見える。
「シアン君もすまないね、ウチの子が迷惑をかけて」
「いえ、大丈夫ですよ」
「ありがとう。ところでそこの子は?」
アイラのお父さんはリアを見て尋ねた。
「えっと、私は竜人のリア・ドラグニールと言います」
「ほう、竜人とは珍しいね、シアン君はなかなかに女ったらしみたいだね」
アイラの父は快活に笑う。彼の視線の先には頬をぷくっと膨らましたアイラがいた。
「負けないもん!」
「わ、私だって!」
負けじとリアも口を開くが、このまま放置すると先ほどの二の舞になりそうだ。
「ちょっと、カマかけないで下さいっ」
「あはは、ごめんね。それより、これから入寮の手続きに行くんだけど、君たちも来るかい?」
「え? 並ばないんですか?」
「シアン君も知ってるだろうけど、学園長とは知り合いだから優先的に見てもらえるんだよ」
学校としてそれはどうなのかと思う。
……俺たちはアイラ父のご厚意に甘えることにして、無事に入寮の手続きを終えることができた。
……二人の関係はとても無事とは言えない気がするが。
しかし、その蜜に辿り着くためには困難を乗り越えなければならない。
「うはぁ~、何時間待ちだろこれ」
「一時間じゃ済まないね……」
リアに肩車してもらって分かったのだが、受付は箱詰め状態であり、学校の長い廊下を飛び越えて校舎の外まで列ができていた。
「なんでこんなに混んでる時間に来たんだろ」
「シアン君が寝坊するからよ!」
「そーだった」
今現在の時間は十時。地球と同じ一年365日、一日24時間なので、時間感覚は気にしないでいい。
本来ならば八時に並び出す予定だったのだが、二度寝がしたいがためにリアにごねた結果、予定より二時間遅れて宿を出ることになったのである。
「もうっ。だから早く来たかったのに」
拗ねたように口をとがらせるリアに謝罪を述べていると、腹部に鈍痛が走った。
「シアーン!」
「ぐぶっ!」
頭突きという形で。
お腹を襲った衝撃に空気を吐き出しながらそのまま押し倒される。
「えへへ~、お姉ちゃんが帰って来たよ?」
そのまま俺の上へ乗っかり、眩しい笑みを向ける少女はアイラである。
「ゴホッゴホッ、なんでここに……あー、そういや婆さんが言ってたな……」
「シアン成分補給しないと~」
「んぐっ!?」
考え事をしていると、アイラが抱きついてくる。彼女の方が背が高いため、俺の顔はアイラの胸の辺りに当たることとなる。
まだ未成熟なのでなにもないのだが……。
「ち、ちょっと、あなたシアン君のなんなの!?」
「んー、お姉ちゃん?」
「んなっ!?」
アイラの胸の隙間からリアを覗くと、リアが顔を赤くして突っかかっている。そして、アイラの返答で更に顔を真っ赤にして俺を見ていて、何か物言いたげだ。
「シアンはお姉ちゃん大好きだもんねーっ」
「う、うん……」
それを傍目にアイラは俺の頭を撫で始めた。
アイラに頭を撫でられると俺はもう彼女に抵抗できない。彼女の言葉に肯定してしまう。
「シアン君!? あなた、シアン君から離れなさいよ!」
「嫌だよーだ!」
「「ぐぬぬ……」」
アイラは、俺に私の所有物だと言わんばかりに抱きつき、リアはそれを竜人の威圧感でアイラを威嚇し、一触即発の雰囲気が二人の間に流れる。
まさに修羅場である。
こんな衆人環視の中で喧嘩でもされたらたまったもんじゃない。まして魔法でもぶっ放されたら入学前に退学すらありえる。そうしている間に二人は魔力を溜め始めた。
やばいやばいやばいやばいーー
「二人とも、落ち着いてっ!」
「「うるさい!」」
泣きそうである。
しかし、まだ俺の学校生活は死んではいなかった。
「こら、皆さんの迷惑になるからやめなさい」
「お父さん! ごめんなさ~い」
「あ、すみませんっ」
アイラのお父さんが柔らかい笑みでアイラを窘めた。元々西洋風な顔つきでイケメンなのだが、今はその精悍な顔が輝いて見える。
「シアン君もすまないね、ウチの子が迷惑をかけて」
「いえ、大丈夫ですよ」
「ありがとう。ところでそこの子は?」
アイラのお父さんはリアを見て尋ねた。
「えっと、私は竜人のリア・ドラグニールと言います」
「ほう、竜人とは珍しいね、シアン君はなかなかに女ったらしみたいだね」
アイラの父は快活に笑う。彼の視線の先には頬をぷくっと膨らましたアイラがいた。
「負けないもん!」
「わ、私だって!」
負けじとリアも口を開くが、このまま放置すると先ほどの二の舞になりそうだ。
「ちょっと、カマかけないで下さいっ」
「あはは、ごめんね。それより、これから入寮の手続きに行くんだけど、君たちも来るかい?」
「え? 並ばないんですか?」
「シアン君も知ってるだろうけど、学園長とは知り合いだから優先的に見てもらえるんだよ」
学校としてそれはどうなのかと思う。
……俺たちはアイラ父のご厚意に甘えることにして、無事に入寮の手続きを終えることができた。
……二人の関係はとても無事とは言えない気がするが。
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