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決戦!2つの死闘2

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 希望と闘志を燃やしたレオンはゴッセルに対して積極果敢に攻撃を繰り返していた。
 カイル達には防御と回復に専念して貰い、イザベラとアランの援護の下で攻撃を一手に引き受けている。
 攻撃の全てを受けられ、ゴッセルからの反撃もレオンに集中し、右に左に弾き飛ばされているが、それでも諦めずに飛びかかってゆく。
 しかし、弾き飛ばされているように見えて、実のところレオンは殆どダメージを受けていない。
 ゴッセルの攻撃を無理に受けようとせずにその勢いに身体を預けて衝撃を受け流そうとした結果、派手に飛ばされているように見えるのだ。
 強大な敵に対峙するとき、敵の攻撃をまともに受け止めると、押し切られて深刻なダメージを受けたり、場合によっては押し潰されることもある。
 これもゼロに教わったことだ。

(勝てないにしても、負けないようにすることはできている!一瞬だ!一瞬のチャンスを掴むんだ!)

 レオンはゴッセルの攻撃を浴びながらも起死回生の一撃を狙っている。
 それを感じ取ったイザベラとアランは互いに連携してゴッセルの側面から牽制の攻撃を仕掛け、その攻撃を受けるため、ゴッセルの横腹がレオンの正面に晒された。

「今だっ!」

 その隙を見逃さなかったレオンは捨て身の一突きを繰り出した。

「ふんっ!甘いわ!」

 レオンの狙いを読んでいたゴッセルは敢えてイザベラ等の攻撃に気を取られたかに見せてレオンの攻撃を誘い込んでいた。
 ゴッセルはイザベラ達の攻撃を片手で弾き返し、レオンに向けて大上段から剣を振り下ろした。
 
 レオンは刺突を止め、槍を頭上に構えた。

(まともに受けたら終わりだ!)

 ゴッセルの剣を受ける直前、僅かに槍を傾けて剣を足下に受け流し、即座に槍を回転させてその矛先をゴッセルの胸目掛けて突き出した。

「未熟!」

 即座に反応したゴッセルは左手でレオンの矛先を逸らす。
 レオンの槍はまたしてもゴッセルを捉えることはできなかった。
 しかし  

「むぅ、余に傷をつけおった」

感心したようにゴッセルが自らの右肩を見る。
 ゴッセルに逸らされた矛先が掠めた右肩、僅かながら皮膚が避けて出血している。
 ダメージを与えたと言うにも値しない掠り傷だが

「魔王に傷をつけた!やっぱり武器だけならば負けていない」

レオンの闘志を更に熱く燃やすには十分な結果だった。

「貴方、やりますわね。流石はあのおバカネクロマンサーの教えを受けただけのことはありますわ」
「まだまだ成長過程だが、お前の英雄の力は本物だ」

 イザベラとアランだけではない、当のゴッセルまでも

「驚いたものだ。余が全力をもって叩き潰すに相応しい英雄だ」

レオンの力を賞賛し、彼を倒すために全ての力を解放した。

 ゼロはアンデッドと共に多彩な攻撃を見せるが、その全てをゴッセルに躱されていた。
 それでもゼロの言うとおり絶望的な力の差ではなかった。

 ゼロの背後で援護をしていたアルファがゴッセルに氷結魔法を叩き込み、ゴッセルを氷塊で包み込んだ。
 しかし、ゴッセルには何の痛痒にならず、氷塊を砕き去る。
 ゼロはこの隙を見逃さず、ゴッセルが氷を砕くと同時に剣を振り下ろした。
 ゴッセルは2本あるその右手の片方でゼロの剣を素手で受け止めた。
 剣を掴まれてゼロの動きが止まり、そこにゼロを叩き潰そうとゴッセルの左腕が迫る。
 その時、ゴッセルの左腕とゼロの間にスケルトンロード、シールドが割り込んでその重厚な盾でゴッセルの拳を受け止めた。
 ゼロはその間に掴まれた剣をゴッセルの右手ごと振り抜いた。
 ゴッセルの右手から肘にかけて切り裂かれる。
 こちらの戦いでもゼロの剣は魔王に通用する。

「貴様ぁっ!」

 右腕を切り裂かれたゴッセルは怒りを露わにした。
 左腕でシールドを弾き飛ばし、ゼロに向けて雷撃魔法と左腕の拳を同時に浴びせかけた。
 雷撃魔法はアルファの氷の守りとゼロの防御魔法で受け流したが、力押しの左拳がゼロの腹部に打ち込まれた。

 危険なほど強烈な一撃にゼロは吹き飛ばされ、壁に叩きつけられ、意識を失ってしまった。
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