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10.旅行 2
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ハイキングコースの末端になっている見晴らしの良い広場をしばらく眺めた後は、再びケーブルカーに乗って麓まで降りた。ホテルに行く道すがらに公園があったので、そこを散策しながら帰ることにした。
「温室にハーブ園がある……郁見たい?」
公園の入り口で園内マップを見た室見が郁に訊いた。家でも数種類のハーブを鉢に植えて育てて料理に使っているので、興味がある。
「ああ。時間があるなら見たいな」
室見は頷いて、行こう、と郁の手を引いた。夕方に差し掛かり肌寒いせいだけではなく、室見の手が温かく心地よいものに感じた。
「これ、ちょっといい匂いかも」
温室の中で、室見が垂れ下がった黄色い花に顔を近づけて呟く。郁も顔を寄せて嗅いでみると、甘く華やかな香りがした。
「本当だ」
何というハーブなのか近くにあった説明プレートに目を通して確認すると、郁は固まってしまった。
「へ~。催淫効果もあるんだ」
横から覗いた室見が、さりげなく郁の頬に音を立てて唇をつけてから言う。
「これの苗買って、家で育てようか? 郁がえっちになっていっぱい俺を求めてくれたら嬉しいし」
室見にいたずらっぽい顔で提案されて、郁は頬をおさえて俯く。
「……こんなもの、無くても……」
たくさん、毎日してるじゃないか。そう目で訴えると、室見は郁の頭を抱いて耳元で囁いた。
「俺のこと、欲しいと思ってくれてる?」
ドクリと胸が鳴る。一気に顔に血が集まって、熱くなった。その室見の問いには答えられないまま、公園を後にしてホテルに戻った。
「温室にハーブ園がある……郁見たい?」
公園の入り口で園内マップを見た室見が郁に訊いた。家でも数種類のハーブを鉢に植えて育てて料理に使っているので、興味がある。
「ああ。時間があるなら見たいな」
室見は頷いて、行こう、と郁の手を引いた。夕方に差し掛かり肌寒いせいだけではなく、室見の手が温かく心地よいものに感じた。
「これ、ちょっといい匂いかも」
温室の中で、室見が垂れ下がった黄色い花に顔を近づけて呟く。郁も顔を寄せて嗅いでみると、甘く華やかな香りがした。
「本当だ」
何というハーブなのか近くにあった説明プレートに目を通して確認すると、郁は固まってしまった。
「へ~。催淫効果もあるんだ」
横から覗いた室見が、さりげなく郁の頬に音を立てて唇をつけてから言う。
「これの苗買って、家で育てようか? 郁がえっちになっていっぱい俺を求めてくれたら嬉しいし」
室見にいたずらっぽい顔で提案されて、郁は頬をおさえて俯く。
「……こんなもの、無くても……」
たくさん、毎日してるじゃないか。そう目で訴えると、室見は郁の頭を抱いて耳元で囁いた。
「俺のこと、欲しいと思ってくれてる?」
ドクリと胸が鳴る。一気に顔に血が集まって、熱くなった。その室見の問いには答えられないまま、公園を後にしてホテルに戻った。
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