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18.愛欲 6
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「ん、ん……っ、はっ、はな……して……っ、いちか……」
「……もう一回、呼んで」
「あ……っ、いちか……」
「もう一回」
「……いちか……」
「……うん……。郁……愛してるって、言って」
「あ……あ……、どう……して……」
一度達すれば落ち着くはずなのに、熱がおさまる気配がまったくない。それどころか、今たっぷり吐き出した陰茎は、吐精前よりも張りつめていた。後孔にはいつの間にか室見のものはなく、振り向くと室見は自分のものをタオルケットに包みそこに吐精しているようだった。室見は達する寸前で引き抜いて、外で出していた。オメガのヒートはアルファの精を中に吐き出されなければおさまらない。郁は息を切らせながら室見の腕を引いた。
「なんで……っ、はぁ……っ、出して……っ、中で出して……っ、いちか……っ」
「ん……、だめ。郁、愛してるって、言って」
吐精が終わった陰茎を拭いたタオルケットを脇に置くと、室見は熱に浮かされて力の入らない郁の手をやんわりと制止して、ベッドに仰向けに寝かせた。あまりにも長い時間焦らされ続けた郁の身体は、限界を越えて禁断症状のように震えていた。
「や……、やだぁ……っ、しずめて……っ、くれるって……っ、入れて……っいちか、いちかぁ……っ」
郁はしゃくりあげて泣いて懇願する。
「郁……愛してる、って、言って……!」
涙で濡れた頬から目尻までを舐めあげて、室見は郁の目を見て命令する。切れ長の瞳は鋭く光って郁が目をそらすのを許さない。
「あ、……、あい……してる……あいしてるいちか……っ、たすけて……っいちかぁ……っ」
両手の指を絡めて顔の横に固定されて、郁は身動き取れずに震えながら叫んだ。
「郁……俺を、愛してくれるの……?」
その瞬間、室見から放たれていた威圧的な空気が払拭される。キスを受け入れながら、郁はうわ言のように答える。
「ん……っ、あいしてる……から……あいしてる……っおねがい……いちか……いちか……」
子供のように甘えてすり寄る郁の身体を、室見の腕が強く抱き寄せた。
「郁……」
あいしてる、あいしてるから……とか細く呟きつづける郁の唇を塞いで、室見はすべてを飲み込む。俺もだよ。俺も愛してる。室見は大切な存在を癒すために、やさしく動いた。
「……もう一回、呼んで」
「あ……っ、いちか……」
「もう一回」
「……いちか……」
「……うん……。郁……愛してるって、言って」
「あ……あ……、どう……して……」
一度達すれば落ち着くはずなのに、熱がおさまる気配がまったくない。それどころか、今たっぷり吐き出した陰茎は、吐精前よりも張りつめていた。後孔にはいつの間にか室見のものはなく、振り向くと室見は自分のものをタオルケットに包みそこに吐精しているようだった。室見は達する寸前で引き抜いて、外で出していた。オメガのヒートはアルファの精を中に吐き出されなければおさまらない。郁は息を切らせながら室見の腕を引いた。
「なんで……っ、はぁ……っ、出して……っ、中で出して……っ、いちか……っ」
「ん……、だめ。郁、愛してるって、言って」
吐精が終わった陰茎を拭いたタオルケットを脇に置くと、室見は熱に浮かされて力の入らない郁の手をやんわりと制止して、ベッドに仰向けに寝かせた。あまりにも長い時間焦らされ続けた郁の身体は、限界を越えて禁断症状のように震えていた。
「や……、やだぁ……っ、しずめて……っ、くれるって……っ、入れて……っいちか、いちかぁ……っ」
郁はしゃくりあげて泣いて懇願する。
「郁……愛してる、って、言って……!」
涙で濡れた頬から目尻までを舐めあげて、室見は郁の目を見て命令する。切れ長の瞳は鋭く光って郁が目をそらすのを許さない。
「あ、……、あい……してる……あいしてるいちか……っ、たすけて……っいちかぁ……っ」
両手の指を絡めて顔の横に固定されて、郁は身動き取れずに震えながら叫んだ。
「郁……俺を、愛してくれるの……?」
その瞬間、室見から放たれていた威圧的な空気が払拭される。キスを受け入れながら、郁はうわ言のように答える。
「ん……っ、あいしてる……から……あいしてる……っおねがい……いちか……いちか……」
子供のように甘えてすり寄る郁の身体を、室見の腕が強く抱き寄せた。
「郁……」
あいしてる、あいしてるから……とか細く呟きつづける郁の唇を塞いで、室見はすべてを飲み込む。俺もだよ。俺も愛してる。室見は大切な存在を癒すために、やさしく動いた。
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