教科書通りの恋を教えて

山鳩由真

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後日談ーもう一度あの時をー 双子の義弟21

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「でも、あの子は私たちを信頼していないわけではなくて、純粋に、自分が我慢すれば済むと思っただけなの。相手を心配させたくないと、思いやってくれているのね。郁には、家族にもっと甘えて頼っていいことを教えてあげられなかったかもしれない……。あの子は痛くても、さみしくても、相手を思い遣るあまり口に出して言えないことがあるのよ。だから時々、聞いてあげて欲しい。痛くないか、さみしくないか。あの子を愛してくれているなら。あの子の家族になるのなら」

「もちろんです。俺はもう二度と、郁を一人にするつもりはありませんし、郁の気持ちを蔑ろにしません」

 室見の即答を聞いて、カナは目にうっすらと涙を溜めて安心したように頷いた。
 八年前の真実を郁が知ったのはつい最近だ。室見が薬を盛ったためにあの事件が起きたのだと知った時の郁の怒り。到底許せないのに、運命であるばかりに室見を突き放せず、相反する感情に揺れていた瞳は忘れられない。室見はその時、自身が郁を傷つけ、深く悲しませてしまったことをとても悔いた。そしてもう二度と、そんな思いをさせないと誓った。

「一花さん。郁はあなたに何でも話すのかしら。甘えてくれるのかしら?」

 目尻を擦りながら、確認するようにカナは室見を見つめた。室見は微笑んで頷く。

「郁は俺に、父親が亡くなってからはさみしかった、と教えてくれました」

 郁と旅行に行った時に家族の話を聞くと、郁は珍しく心情を吐露してくれた。そのことを話すと、カナの表情がパッと明るくなった。

「まあ! そう! 郁はあなたには心を開いているのね!」

 カナは少し興奮した様子で「よかった、よかったわ!」と繰り返した。

「ええと……そういうの、何て言うんだったかしら……ええと、そうだわ!」

 そして、少女のようにはしゃいで、室見に告げた。
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