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第2章 穏やかな新婚生活?
(21)大公夫妻御披露目活動
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領地の館に落ち着いたセレナとクレアは、その翌日から連日二人で街へと繰り出した。住民達がそれを見て見ぬふりなどできるわけは無く、以前から噂になっている元王太子のバルド大公夫妻を一目見ようと、行く先々で連日人だかりになっていた。
「ロデム、マーニャ、久し振りね。クライブと一緒にお昼を食べようと思って、寄らせて貰ったわ」
その日も、複数の店舗で買い物をする毎に増えた野次馬を引き連れながら、セレナが馴染みの食事処に顔を出すと、初老の主夫婦が満面の笑みで二人に歩み寄りながら挨拶してきた。
「セレナ様! お久しぶりでございます!」
「いやぁ、話には聞いていましたが、本当に別嬪さんの旦那様ですなぁ」
「ちょっとあんた! 大公様に向かって、何て失礼な事をほざいてんだい! 失礼だろうが!」
しげしげとクレアの顔を眺めながら、感心したように感想を口にした夫を、女主人であるマーニャが叱りつける。しかしクレアは、苦笑しながら彼女を宥めた。
「ご夫人、大丈夫ですよ? 自分の顔立ちが女性的なのは、私自身が一番理解していますから、今更気にする事ではありません」
そう言ったクレアは、そこで少々考え込む風情を見せてから、セレナに視線を合わせつつ笑いを含んだ口調で続ける。
「ああ……、そう言えば、気にした時もありましたね。セレナと出合った頃、『並の女性よりも美形な男なんて、はっきり言って嫌みなだけよ』と、散々素っ気ない態度を取られました」
「お嬢様! 当時はれっきとした王太子殿下だったクライブ様に対して、何を言ってるんですか!?」
「いやぁ、本当に度胸がありますなぁ……」
マーニャ達が驚いてセレナに向き直ると、彼女は不本意そうに肩を竦める。
「だって本当に、私達の事が明らかになってからも、行く先々で言われているもの。『クライブ様のお相手だからどんな美女かと思いきや、平凡極まりないじゃないか』とね」
「仕方がありません。私の心を捕らえたのは貴女の容姿ではなく、心映えと理知的な行動なのですから」
クレアが穏やかにそのように述べると、周囲から感心とも羨望とも取れる溜め息が漏れる。
「本当に、無事にご結婚されて良かった。ささやかなお祝いに、今日は何でも好きな物をご馳走しますよ!」
「遠慮なく召し上がってください」
ロデムとマーニャは奥のテーブルを勧めながら笑顔で申し出たが、ここでクレアは逆に頼み込んだ。
「ご亭主。そのお気持ちは大変嬉しいのですが、今日はあなた方にお願いがあるのです」
「何ですか? 大公様」
「街のこの辺りの皆さんへのご挨拶も兼ねて、今日のこの店の支払いは全て私が持ちますから、食材がある限りお客に無料で料理を提供して貰いたいのです。取り敢えずこの位で。不足する場合には、後から館に請求してください」
「え? あ、いや、そいつは……」
そう言いながらクレアは服のポケットから布袋を取り出し、マーニャの手に乗せる。突然の話にロデムは当惑するばかりだったが、反射的に縛ってある袋の口を解いてみたマーニャは、中に入っている硬貨の種類と量を確認して動揺した。
「いっ、いえいえ、そんな事は! 第一これでは、今日一日幾ら料理を作って提供したとしても、明らかに多すぎます!」
「実は昨日も一昨日も、街の違う地区で同じように周辺の住民の皆さんにご馳走しておりまして。駄目でしょうか?」
重ねてクレアに懇願された二人は、思わず顔を見合わせてから即決した。
「分かりました。お前達、話は聞いたな? 酒と食材をありったけ調達してこい!」
「はい!」
「分かりました!」
「お代は計算してきちんと頂戴しますが、余分な分は後からお屋敷にお返しに参ります」
「急ぐ必要はありませんから」
先程から厨房から様子を窺っていた下働きの者達にロデムが声をかけると、彼らは弾かれたように満面の笑みで店の外に駆け出して行った。そこでセレナが、周囲をぐるりと見回しながら、大声で語りかける。
「皆! 私達の結婚で、心配してくれた人が多いと思うけど、この通り落ち着いたから安心して頂戴ね!」
「今日は皆様のお心を煩わせたささやかなお詫びに、こちらでの飲食の支払いは全て私が負担します。遠慮なく飲んで食べてください」
セレナに続いて、穏やかな声でのクレアの宣言を聞いた途端、周囲から歓声が沸き上がる。
「そりゃあありがたい!」
「ありがとうございます、バルド大公様!」
「こりゃあ太っ腹な御仁だな」
「お二人とも、ご結婚おめでとうございます!」
「バルド大公とセレナ様に乾杯!」
「これでレンフィス伯爵領は安泰だな!」
それから周りに押されるようにして店の奥に進んだ二人を見送り、更に人波が店内に押し寄せる様子を少し離れた所から窺っていたパトリックとコニーは、少々不安そうに顔を見合わせた。
「今日も大変な盛り上がりだな」
「本当に、警備されているんだろうな?」
そんな事を囁いていると、周りから不審そうに声をかけられる。
「何だ、兄さん達、見慣れない面だな」
「随分、良い物を着ているし」
「ああ、いえ、その……」
「怪しい者では無いから」
「あんた達、王都の人だろ。ここら辺の奴には見えんし」
忽ち数人の男達に囲まれてしまった二人だが、その中の一人が思い当たったらしく確認を入れてくる。
「あ、もしかして、あんたらセレナ様達の護衛さんか?」
「ええ……」
「はい、一応……」
「それなら、何ぼさっと突っ立ってんだよ!」
「ほら、セレナ様と大公様の所に行かないと!」
「そうだよ、何遠慮してるんだよ」
「あ、いや、そうではなくて」
住人達に笑顔で押し出された二人は、「大公様達の護衛さんだから通るぞ」との声と共に人垣の中を進み、忽ち二人の前に到達してしまった。
さりげなく護衛する筈が、連日周囲に不審がられて看破されてるのを繰り返していた二人は、少々面目なさげな表情になっており、それを見たクレアは笑いを堪える羽目になった。
「セレナ様! 大公様! お付きの人を案内して来ましたよ!」
「やあ、パトリック、コニー。今日も街の人に捕まりましたね」
「……面目ありません」
そこで気の毒になったセレナが、二人を慰める。
「無理ありませんわ。街の人間は余所者には敏感ですし、王都暮らしのお二人は地味でも洗練された着こなしと、華やかな空気を醸し出していますから」
「そういう物ですか?」
「あまり自覚は無いのですが」
首を傾げている二人にセレナも苦笑していると、店の入り口の方から少々がらの悪い二人組の男が、セレナ達のテーブルに向かって歩いて来た。
「よぅ~、気前の良い大公様」
「哀れな領民の俺達にも、少~しばかり良い目を、うおっ! あっ、危ねえだろうがっ!」
「ぐほっ! なっ、何しやがる!?」
思わずパトリックとコニーが顔付きを険しくしながら振り返ったが、その目の前で一人の男は座っていた女性が伸ばした脚に躓いて転び、もう一人の男は不意討ちで脇腹に肘鉄を喰らわされて呻いた。
「あぁ~ら、ごめんなさい。足が引っ掛かっちゃったわ」
「おう、すまないな。椅子を引こうとしたら、まともに脇腹に肘が入るとは。ちょっとあっちで休ませて貰うか」
「すみません、お手すきの方、お連れして貰えませんか?」
そのわざとらしい女性の声に、即座に周りにいた男が三人歩み寄り、不埒者を取り囲んで威圧する。
「さぁ、ちょっと向こうに行こうか」
「ついでに、礼儀って物を教えてやるよ」
「親切だなぁ、俺達」
「何だよお前ら!」
「おい、ちょっと待て、離せよ!」
二人が問答無用で店外に叩き出され、店内に元通りの喧騒が戻ってくると、パトリックとコニーは溜め息を吐いて囁き合った。
「一昨日からずっと、こんな感じなんだよな」
「ああ。変に絡んだり不穏な気配を醸し出している奴は、悉く周りがさりげなく排除しているし」
「一体、どれだけの人員が、展開されているんだよ」
「本当に、レンフィス伯爵家の私兵集団は侮れないな」
結局二人はセレナ達と同じテーブルに着き、店主自慢の料理のお相伴に預かる事となった。
「セレナ様、まずこちらからどうぞ」
「ありがとう、マーニャ。クライブ、これは私の好きな料理なの。まずは一口食べてみて? はい、あ~ん」
「ええ」
早速セレナ達がこの間の習慣になってしまった食べさせ合いを始めると、周囲から驚きと冷やかしの歓声が沸き起こる。しかし二人は全く恥ずかしがる事無く、笑顔で食べ進めた。
「美味しいです。貴女の好物なのに、先に食べてしまってすみません。次は貴女の番ですよ? はい、口を開けて」
「はい。…………うん、やっぱり美味しいわ。貴方と食べると余計に美味しいし」
「それは私も同感です」
「本当に仲が宜しいですね。こちらもお試しになってください」
「仲の良い、大公夫妻に乾杯!」
もう店内は大盛り上がりであり、テーブルを挟んでセレナ達の仲睦まじさを散々見せ付けられているパトリック達は、項垂れながら愚直めいた呟きを漏らした。
「……俺達、ここにいる必要あるのかな」
「何だか、王都に帰りたくなってきた。毎日クライブ様達の様子を見せ付けられる羽目になっている上、私達の出番も無いし、ものすごくいたたまれない……」
そんな二人の様子を横目で窺っていたセレナとクレアは、(そろそろ王都に帰って貰えるかも)と考えながら、必死に笑いを堪えていた。
「ロデム、マーニャ、久し振りね。クライブと一緒にお昼を食べようと思って、寄らせて貰ったわ」
その日も、複数の店舗で買い物をする毎に増えた野次馬を引き連れながら、セレナが馴染みの食事処に顔を出すと、初老の主夫婦が満面の笑みで二人に歩み寄りながら挨拶してきた。
「セレナ様! お久しぶりでございます!」
「いやぁ、話には聞いていましたが、本当に別嬪さんの旦那様ですなぁ」
「ちょっとあんた! 大公様に向かって、何て失礼な事をほざいてんだい! 失礼だろうが!」
しげしげとクレアの顔を眺めながら、感心したように感想を口にした夫を、女主人であるマーニャが叱りつける。しかしクレアは、苦笑しながら彼女を宥めた。
「ご夫人、大丈夫ですよ? 自分の顔立ちが女性的なのは、私自身が一番理解していますから、今更気にする事ではありません」
そう言ったクレアは、そこで少々考え込む風情を見せてから、セレナに視線を合わせつつ笑いを含んだ口調で続ける。
「ああ……、そう言えば、気にした時もありましたね。セレナと出合った頃、『並の女性よりも美形な男なんて、はっきり言って嫌みなだけよ』と、散々素っ気ない態度を取られました」
「お嬢様! 当時はれっきとした王太子殿下だったクライブ様に対して、何を言ってるんですか!?」
「いやぁ、本当に度胸がありますなぁ……」
マーニャ達が驚いてセレナに向き直ると、彼女は不本意そうに肩を竦める。
「だって本当に、私達の事が明らかになってからも、行く先々で言われているもの。『クライブ様のお相手だからどんな美女かと思いきや、平凡極まりないじゃないか』とね」
「仕方がありません。私の心を捕らえたのは貴女の容姿ではなく、心映えと理知的な行動なのですから」
クレアが穏やかにそのように述べると、周囲から感心とも羨望とも取れる溜め息が漏れる。
「本当に、無事にご結婚されて良かった。ささやかなお祝いに、今日は何でも好きな物をご馳走しますよ!」
「遠慮なく召し上がってください」
ロデムとマーニャは奥のテーブルを勧めながら笑顔で申し出たが、ここでクレアは逆に頼み込んだ。
「ご亭主。そのお気持ちは大変嬉しいのですが、今日はあなた方にお願いがあるのです」
「何ですか? 大公様」
「街のこの辺りの皆さんへのご挨拶も兼ねて、今日のこの店の支払いは全て私が持ちますから、食材がある限りお客に無料で料理を提供して貰いたいのです。取り敢えずこの位で。不足する場合には、後から館に請求してください」
「え? あ、いや、そいつは……」
そう言いながらクレアは服のポケットから布袋を取り出し、マーニャの手に乗せる。突然の話にロデムは当惑するばかりだったが、反射的に縛ってある袋の口を解いてみたマーニャは、中に入っている硬貨の種類と量を確認して動揺した。
「いっ、いえいえ、そんな事は! 第一これでは、今日一日幾ら料理を作って提供したとしても、明らかに多すぎます!」
「実は昨日も一昨日も、街の違う地区で同じように周辺の住民の皆さんにご馳走しておりまして。駄目でしょうか?」
重ねてクレアに懇願された二人は、思わず顔を見合わせてから即決した。
「分かりました。お前達、話は聞いたな? 酒と食材をありったけ調達してこい!」
「はい!」
「分かりました!」
「お代は計算してきちんと頂戴しますが、余分な分は後からお屋敷にお返しに参ります」
「急ぐ必要はありませんから」
先程から厨房から様子を窺っていた下働きの者達にロデムが声をかけると、彼らは弾かれたように満面の笑みで店の外に駆け出して行った。そこでセレナが、周囲をぐるりと見回しながら、大声で語りかける。
「皆! 私達の結婚で、心配してくれた人が多いと思うけど、この通り落ち着いたから安心して頂戴ね!」
「今日は皆様のお心を煩わせたささやかなお詫びに、こちらでの飲食の支払いは全て私が負担します。遠慮なく飲んで食べてください」
セレナに続いて、穏やかな声でのクレアの宣言を聞いた途端、周囲から歓声が沸き上がる。
「そりゃあありがたい!」
「ありがとうございます、バルド大公様!」
「こりゃあ太っ腹な御仁だな」
「お二人とも、ご結婚おめでとうございます!」
「バルド大公とセレナ様に乾杯!」
「これでレンフィス伯爵領は安泰だな!」
それから周りに押されるようにして店の奥に進んだ二人を見送り、更に人波が店内に押し寄せる様子を少し離れた所から窺っていたパトリックとコニーは、少々不安そうに顔を見合わせた。
「今日も大変な盛り上がりだな」
「本当に、警備されているんだろうな?」
そんな事を囁いていると、周りから不審そうに声をかけられる。
「何だ、兄さん達、見慣れない面だな」
「随分、良い物を着ているし」
「ああ、いえ、その……」
「怪しい者では無いから」
「あんた達、王都の人だろ。ここら辺の奴には見えんし」
忽ち数人の男達に囲まれてしまった二人だが、その中の一人が思い当たったらしく確認を入れてくる。
「あ、もしかして、あんたらセレナ様達の護衛さんか?」
「ええ……」
「はい、一応……」
「それなら、何ぼさっと突っ立ってんだよ!」
「ほら、セレナ様と大公様の所に行かないと!」
「そうだよ、何遠慮してるんだよ」
「あ、いや、そうではなくて」
住人達に笑顔で押し出された二人は、「大公様達の護衛さんだから通るぞ」との声と共に人垣の中を進み、忽ち二人の前に到達してしまった。
さりげなく護衛する筈が、連日周囲に不審がられて看破されてるのを繰り返していた二人は、少々面目なさげな表情になっており、それを見たクレアは笑いを堪える羽目になった。
「セレナ様! 大公様! お付きの人を案内して来ましたよ!」
「やあ、パトリック、コニー。今日も街の人に捕まりましたね」
「……面目ありません」
そこで気の毒になったセレナが、二人を慰める。
「無理ありませんわ。街の人間は余所者には敏感ですし、王都暮らしのお二人は地味でも洗練された着こなしと、華やかな空気を醸し出していますから」
「そういう物ですか?」
「あまり自覚は無いのですが」
首を傾げている二人にセレナも苦笑していると、店の入り口の方から少々がらの悪い二人組の男が、セレナ達のテーブルに向かって歩いて来た。
「よぅ~、気前の良い大公様」
「哀れな領民の俺達にも、少~しばかり良い目を、うおっ! あっ、危ねえだろうがっ!」
「ぐほっ! なっ、何しやがる!?」
思わずパトリックとコニーが顔付きを険しくしながら振り返ったが、その目の前で一人の男は座っていた女性が伸ばした脚に躓いて転び、もう一人の男は不意討ちで脇腹に肘鉄を喰らわされて呻いた。
「あぁ~ら、ごめんなさい。足が引っ掛かっちゃったわ」
「おう、すまないな。椅子を引こうとしたら、まともに脇腹に肘が入るとは。ちょっとあっちで休ませて貰うか」
「すみません、お手すきの方、お連れして貰えませんか?」
そのわざとらしい女性の声に、即座に周りにいた男が三人歩み寄り、不埒者を取り囲んで威圧する。
「さぁ、ちょっと向こうに行こうか」
「ついでに、礼儀って物を教えてやるよ」
「親切だなぁ、俺達」
「何だよお前ら!」
「おい、ちょっと待て、離せよ!」
二人が問答無用で店外に叩き出され、店内に元通りの喧騒が戻ってくると、パトリックとコニーは溜め息を吐いて囁き合った。
「一昨日からずっと、こんな感じなんだよな」
「ああ。変に絡んだり不穏な気配を醸し出している奴は、悉く周りがさりげなく排除しているし」
「一体、どれだけの人員が、展開されているんだよ」
「本当に、レンフィス伯爵家の私兵集団は侮れないな」
結局二人はセレナ達と同じテーブルに着き、店主自慢の料理のお相伴に預かる事となった。
「セレナ様、まずこちらからどうぞ」
「ありがとう、マーニャ。クライブ、これは私の好きな料理なの。まずは一口食べてみて? はい、あ~ん」
「ええ」
早速セレナ達がこの間の習慣になってしまった食べさせ合いを始めると、周囲から驚きと冷やかしの歓声が沸き起こる。しかし二人は全く恥ずかしがる事無く、笑顔で食べ進めた。
「美味しいです。貴女の好物なのに、先に食べてしまってすみません。次は貴女の番ですよ? はい、口を開けて」
「はい。…………うん、やっぱり美味しいわ。貴方と食べると余計に美味しいし」
「それは私も同感です」
「本当に仲が宜しいですね。こちらもお試しになってください」
「仲の良い、大公夫妻に乾杯!」
もう店内は大盛り上がりであり、テーブルを挟んでセレナ達の仲睦まじさを散々見せ付けられているパトリック達は、項垂れながら愚直めいた呟きを漏らした。
「……俺達、ここにいる必要あるのかな」
「何だか、王都に帰りたくなってきた。毎日クライブ様達の様子を見せ付けられる羽目になっている上、私達の出番も無いし、ものすごくいたたまれない……」
そんな二人の様子を横目で窺っていたセレナとクレアは、(そろそろ王都に帰って貰えるかも)と考えながら、必死に笑いを堪えていた。
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