51 / 60
第3章 交錯する思惑
(15)終わりの始まり
しおりを挟む
「あまり広くない屋敷で、助かりましたね」
極力足音を立てないように進みながら、その場の指揮を執る事になったユージンが囁くと、同様に油断無く進むアトラスが、面白く無さそうに応じる。
「全くだな。貴族の三男坊を、一人で住まわせるには妥当な広さだ。平民にしてみれば、無駄以外の何物でも無いが」
「確かに無駄なスペースは多いですし、他の家族や複数の使用人の目もありませんから、ろくでもない事を見咎められる可能性は低いですね」
「そういう事だな…………。アルティナ」
「はい」
一つの扉に張り付き、僅かに隙間を開けて室内を覗き込んだアトラスは、アルティナを手招きした。それに応じて近付いて慎重に隙間から覗き込むと、複数の男達の背中を認めた直後に、リディアの声が聞こえてくる。
「図々しいわね。どこまで自分達に都合の良い筋書きを書いているの?」
「それが“真実”だからな」
「“真実にしたい”だけでしょう?」
「お嬢さんがどれだけ不本意でも、結果には変わりがないからな」
どうにも相当拙い状況なのを見て取ったアルティナは、ユージンに場所を譲ってからアトラスに頷いてみせた。するとアトラスが、解説を加えてくる。
「こちらに背を向けている中央の男は、あの背格好と声ならブレダ画廊主催者のトーマスで間違いないな」
「早速、口封じに来たわけですね?」
忌々しげにユージンが呟くと、アトラスが皮肉っぽく笑う。
「こちらにしてみれば一度に確保できて、好都合でしか無いがな」
「よし、多少怪我をさせても構わないが、全員生きたまま捕らえるぞ」
その指示に、付き従って来た騎士達が、即座に小声で応じる。
「はい」
「了解しました」
「それでは行くぞ!」
その号令と共にドアを勢い良く押し上げたユージンは、外で待機している部下達にも聞こえるように大声で叫んだ。
「お前達! 抵抗を止めておとなしくしろ! 殺人未遂、及び、違法薬物密売の罪で、近衛騎士団執務棟に連行の上、取り調べる!」
その宣言にトーマス達は仰天して振り返ったが、リディアも完全に驚愕して声を裏返らせた。
「なっ!? どうして近衛騎士団が、こんなに早く!」
「アルティナ!?」
そんな友人に、ユージンに続いて室内に押し入ったアルティナは、素早く剣を鞘から抜き去りながら叫ぶ。
「リディア! 分かっているでしょうけど、団長と隊長からの叱責と、始末書は確実よ! せめてこいつらの捕縛と護送を、手伝って頂戴!」
「勿論やるわ! むしろやらせて!」
嬉々として剣を構え直したリディアだったが、ここで狼狽しながら周囲を見回していたトーマスが、引き連れてきた男達に向かって、破れかぶれとしか言いようの無い命令を下した。
「ふざけるな! お前達! 女や年寄りを除けば、大した人数じゃない! 全員さっさと殺して逃げるぞ!」
「おう!」
「さっさと殺してずらかろうぜ!」
ここで捕まったら一巻の終わりだと分かっていた彼らは、早速アルティナやアトラス、リディアに率先して襲いかかったが、彼らの思惑通りそう簡単には突破できなかった。
「それはどうかな?」
「ぐあぁっ!」
「こっ、このジジイ!」
いまだ剣を抜いていないアトラスだったが、どこに隠し持っていつ取り出したのか分からない速さで、投げナイフを至近距離から放ち、それを顔や首にまともに受けた男達が、動きを止めてうずくまる。そこをアルティナが、容赦なく蹴り飛ばした。
「女と年寄りも、ちゃんと数に入れるべきね! 今後の教訓にしなさい!」
「げはっ!」
そして転がった男達を、すかさず他の騎士達が武器を取り上げて縛り上げる。そこで切りかかってきた男の剣を自分の剣で受けながら、リディアが叫んだ。
「アルティナ! こいつらに、今後なんてあるわけ!?」
そう吐き捨てた彼女が勢い良く相手の臑を蹴りつけた為、その男がとっさに後ずさりしながら悪態を吐く。
「ぐあっ! この女ぁぁっ!」
「それもそうね!」
「ぎええっ!」
すかさず背後から距離を詰めたアルティナが、その男の後頭部を渾身の力を込めて剣の柄で殴った為、彼は呻き声を上げて膝を折って倒れ臥した。
トーマス自身はさっさと男達を見捨てて、窓から外に出て逃走を図ったが、待ちかまえていたユージンの部下達に真っ先に捕らえられる羽目になり、騒ぎが静まってからユージンが周囲を見回した。
「さて、これで片付いたか?」
目の前に引きずられて来たトーマスを見下ろしながら呟いていると、部下達が次々に報告してくる。
「小隊長! この屋敷から逃げ出した者は、全員捕らえました!」
「例の馬車を使って、このまま騎士団執務棟に護送してよろしいでしょうか?」
「そうしてくれ」
そして意識が無い者から順に運び出されていくのを見送りながら、ユージンは冷え切った目をトーマスに向けた。
「残念だったな。この前は下っ端を切り捨てただけで済んだが、今回お前達がダリッシュとこの近衛騎士を、保身の為に殺害しようとした事は明白だ。今頃は貴様の画廊と屋敷にも、改めて騎士団が踏み込んでいる。今更、言い逃れできるとは思うなよ?」
「くそっ……」
縛り上げられたトーマスは心底忌々しそうに歯軋りしたが、アルティナは完全に彼らを無視して、リディアに駆け寄った。
「リディア、怪我はない? 大丈夫?」
「平気よ。それよりも、迷惑をかけてごめんなさい」
神妙に頭を下げてきた彼女を見て、アルティナは何とも言えない表情になりながら首を振る。
「私は良いのよ。取り敢えずこれから王宮に戻って、団長と隊長に頭を下げるわよ? 確かにダリッシュに騎士団の動きを伝えて自首を促した気持ちは分かるけど、それで今までの調査が無駄になる可能性があったわけだから、責任は取らないとね」
「……うん、分かっているわ」
ここで気落ちしているリディアがさすがに気の毒になったアルティナは、慰めの言葉を口にした。
「だけど、ダリッシュがその提案に頷かなかった事まで、あなたが気に病む事は無いわよ。完全にそいつの責任だから」
「それも分かっているわ。あの男、提案に頷かないどころか、私を殺して国外に逃げるつもりだったし」
リディアがそう正直に述べた途端、アルティナが怒りの表情で、つい先程マークスが運び出されたドアを睨み付けながら悪態を吐いた。
「はぁ!? あいつ、どこまで性根が腐ってたの!? 運び出される前に、一発殴っておくべきだったわ!」
「アルティナ。ダリッシュは既に殴られて、昏倒していたんだから」
意識の無い相手を本気で殴りかねないアルティナの剣幕に、リディアはつい笑いを誘われながら宥めた。するとここで、屋敷内を探索していた顔見知りの騎士から声がかかる。
「アルティナ、リディア! ジャービスの乾燥葉が、大量に見つかったぞ! 地下室から運び出すのを手伝ってくれ!」
「はい!」
「分かりました!」
そこで二人は即座に真顔になり、顔を見合わせて頷いてから、地下室へと駆け足で向かった。そのダリッシュ邸で少々の小競り合いの後、マークスとトーマスを捕らえた上、ジャービスを発見したとの報は、王都内の各所に届けられた。
「シャトナー副隊長、報告します! ダリッシュ邸に踏み込んだ隊が、大量のジャービスの乾燥葉を発見、回収に取りかかっております。それに先立ち、マークス・ダリッシュ及び、トーマス・ブレダ両名を、殺人未遂の容疑で捕縛済みです」
それを聞いたケインは、すぐ近くに見えるペーリエ侯爵邸の門を凝視しながら、満足そうに笑った。
「それは効率が良かったな。ブレダ画廊に向かった隊にも、同様の知らせは伝えてあるな?」
「勿論です」
「ご苦労」
短く伝令を労ったケインは、すぐさま背後に待機させていた部下達を振り返り、指示を出した。
「皆、今聞いた通りだ。ぐずぐずしていると、証拠隠滅の恐れがある。これからペーリエ侯爵邸に踏み込むぞ! 門扉の錠を、ただちに叩き壊せ! 玄関も然りだ! 全責任は俺が取るから、思う存分派手にやれ!」
「了解しました!」
「行くぞ、ぐずぐずするな!」
「こっちに戦斧をよこせ!」
責任者たるケインから許しが出た部下達は、嬉々として門扉を壊しにかかった。その騒音と喧騒を聞き流しながら、ケインは目の前の屋敷に潜り込ませている、面々の事を思い浮かべる。
(この騒ぎで、奴らも俺達が動いた事にすぐ気が付くだろうし、色々上手くやってくれよ?)
そのケインの予想通り、住み込みの使用人達が時ならぬ騒ぎに右往左往する中、いち早く異常に気が付いた彼らは事前の打ち合わせ通り、行動を開始した。
極力足音を立てないように進みながら、その場の指揮を執る事になったユージンが囁くと、同様に油断無く進むアトラスが、面白く無さそうに応じる。
「全くだな。貴族の三男坊を、一人で住まわせるには妥当な広さだ。平民にしてみれば、無駄以外の何物でも無いが」
「確かに無駄なスペースは多いですし、他の家族や複数の使用人の目もありませんから、ろくでもない事を見咎められる可能性は低いですね」
「そういう事だな…………。アルティナ」
「はい」
一つの扉に張り付き、僅かに隙間を開けて室内を覗き込んだアトラスは、アルティナを手招きした。それに応じて近付いて慎重に隙間から覗き込むと、複数の男達の背中を認めた直後に、リディアの声が聞こえてくる。
「図々しいわね。どこまで自分達に都合の良い筋書きを書いているの?」
「それが“真実”だからな」
「“真実にしたい”だけでしょう?」
「お嬢さんがどれだけ不本意でも、結果には変わりがないからな」
どうにも相当拙い状況なのを見て取ったアルティナは、ユージンに場所を譲ってからアトラスに頷いてみせた。するとアトラスが、解説を加えてくる。
「こちらに背を向けている中央の男は、あの背格好と声ならブレダ画廊主催者のトーマスで間違いないな」
「早速、口封じに来たわけですね?」
忌々しげにユージンが呟くと、アトラスが皮肉っぽく笑う。
「こちらにしてみれば一度に確保できて、好都合でしか無いがな」
「よし、多少怪我をさせても構わないが、全員生きたまま捕らえるぞ」
その指示に、付き従って来た騎士達が、即座に小声で応じる。
「はい」
「了解しました」
「それでは行くぞ!」
その号令と共にドアを勢い良く押し上げたユージンは、外で待機している部下達にも聞こえるように大声で叫んだ。
「お前達! 抵抗を止めておとなしくしろ! 殺人未遂、及び、違法薬物密売の罪で、近衛騎士団執務棟に連行の上、取り調べる!」
その宣言にトーマス達は仰天して振り返ったが、リディアも完全に驚愕して声を裏返らせた。
「なっ!? どうして近衛騎士団が、こんなに早く!」
「アルティナ!?」
そんな友人に、ユージンに続いて室内に押し入ったアルティナは、素早く剣を鞘から抜き去りながら叫ぶ。
「リディア! 分かっているでしょうけど、団長と隊長からの叱責と、始末書は確実よ! せめてこいつらの捕縛と護送を、手伝って頂戴!」
「勿論やるわ! むしろやらせて!」
嬉々として剣を構え直したリディアだったが、ここで狼狽しながら周囲を見回していたトーマスが、引き連れてきた男達に向かって、破れかぶれとしか言いようの無い命令を下した。
「ふざけるな! お前達! 女や年寄りを除けば、大した人数じゃない! 全員さっさと殺して逃げるぞ!」
「おう!」
「さっさと殺してずらかろうぜ!」
ここで捕まったら一巻の終わりだと分かっていた彼らは、早速アルティナやアトラス、リディアに率先して襲いかかったが、彼らの思惑通りそう簡単には突破できなかった。
「それはどうかな?」
「ぐあぁっ!」
「こっ、このジジイ!」
いまだ剣を抜いていないアトラスだったが、どこに隠し持っていつ取り出したのか分からない速さで、投げナイフを至近距離から放ち、それを顔や首にまともに受けた男達が、動きを止めてうずくまる。そこをアルティナが、容赦なく蹴り飛ばした。
「女と年寄りも、ちゃんと数に入れるべきね! 今後の教訓にしなさい!」
「げはっ!」
そして転がった男達を、すかさず他の騎士達が武器を取り上げて縛り上げる。そこで切りかかってきた男の剣を自分の剣で受けながら、リディアが叫んだ。
「アルティナ! こいつらに、今後なんてあるわけ!?」
そう吐き捨てた彼女が勢い良く相手の臑を蹴りつけた為、その男がとっさに後ずさりしながら悪態を吐く。
「ぐあっ! この女ぁぁっ!」
「それもそうね!」
「ぎええっ!」
すかさず背後から距離を詰めたアルティナが、その男の後頭部を渾身の力を込めて剣の柄で殴った為、彼は呻き声を上げて膝を折って倒れ臥した。
トーマス自身はさっさと男達を見捨てて、窓から外に出て逃走を図ったが、待ちかまえていたユージンの部下達に真っ先に捕らえられる羽目になり、騒ぎが静まってからユージンが周囲を見回した。
「さて、これで片付いたか?」
目の前に引きずられて来たトーマスを見下ろしながら呟いていると、部下達が次々に報告してくる。
「小隊長! この屋敷から逃げ出した者は、全員捕らえました!」
「例の馬車を使って、このまま騎士団執務棟に護送してよろしいでしょうか?」
「そうしてくれ」
そして意識が無い者から順に運び出されていくのを見送りながら、ユージンは冷え切った目をトーマスに向けた。
「残念だったな。この前は下っ端を切り捨てただけで済んだが、今回お前達がダリッシュとこの近衛騎士を、保身の為に殺害しようとした事は明白だ。今頃は貴様の画廊と屋敷にも、改めて騎士団が踏み込んでいる。今更、言い逃れできるとは思うなよ?」
「くそっ……」
縛り上げられたトーマスは心底忌々しそうに歯軋りしたが、アルティナは完全に彼らを無視して、リディアに駆け寄った。
「リディア、怪我はない? 大丈夫?」
「平気よ。それよりも、迷惑をかけてごめんなさい」
神妙に頭を下げてきた彼女を見て、アルティナは何とも言えない表情になりながら首を振る。
「私は良いのよ。取り敢えずこれから王宮に戻って、団長と隊長に頭を下げるわよ? 確かにダリッシュに騎士団の動きを伝えて自首を促した気持ちは分かるけど、それで今までの調査が無駄になる可能性があったわけだから、責任は取らないとね」
「……うん、分かっているわ」
ここで気落ちしているリディアがさすがに気の毒になったアルティナは、慰めの言葉を口にした。
「だけど、ダリッシュがその提案に頷かなかった事まで、あなたが気に病む事は無いわよ。完全にそいつの責任だから」
「それも分かっているわ。あの男、提案に頷かないどころか、私を殺して国外に逃げるつもりだったし」
リディアがそう正直に述べた途端、アルティナが怒りの表情で、つい先程マークスが運び出されたドアを睨み付けながら悪態を吐いた。
「はぁ!? あいつ、どこまで性根が腐ってたの!? 運び出される前に、一発殴っておくべきだったわ!」
「アルティナ。ダリッシュは既に殴られて、昏倒していたんだから」
意識の無い相手を本気で殴りかねないアルティナの剣幕に、リディアはつい笑いを誘われながら宥めた。するとここで、屋敷内を探索していた顔見知りの騎士から声がかかる。
「アルティナ、リディア! ジャービスの乾燥葉が、大量に見つかったぞ! 地下室から運び出すのを手伝ってくれ!」
「はい!」
「分かりました!」
そこで二人は即座に真顔になり、顔を見合わせて頷いてから、地下室へと駆け足で向かった。そのダリッシュ邸で少々の小競り合いの後、マークスとトーマスを捕らえた上、ジャービスを発見したとの報は、王都内の各所に届けられた。
「シャトナー副隊長、報告します! ダリッシュ邸に踏み込んだ隊が、大量のジャービスの乾燥葉を発見、回収に取りかかっております。それに先立ち、マークス・ダリッシュ及び、トーマス・ブレダ両名を、殺人未遂の容疑で捕縛済みです」
それを聞いたケインは、すぐ近くに見えるペーリエ侯爵邸の門を凝視しながら、満足そうに笑った。
「それは効率が良かったな。ブレダ画廊に向かった隊にも、同様の知らせは伝えてあるな?」
「勿論です」
「ご苦労」
短く伝令を労ったケインは、すぐさま背後に待機させていた部下達を振り返り、指示を出した。
「皆、今聞いた通りだ。ぐずぐずしていると、証拠隠滅の恐れがある。これからペーリエ侯爵邸に踏み込むぞ! 門扉の錠を、ただちに叩き壊せ! 玄関も然りだ! 全責任は俺が取るから、思う存分派手にやれ!」
「了解しました!」
「行くぞ、ぐずぐずするな!」
「こっちに戦斧をよこせ!」
責任者たるケインから許しが出た部下達は、嬉々として門扉を壊しにかかった。その騒音と喧騒を聞き流しながら、ケインは目の前の屋敷に潜り込ませている、面々の事を思い浮かべる。
(この騒ぎで、奴らも俺達が動いた事にすぐ気が付くだろうし、色々上手くやってくれよ?)
そのケインの予想通り、住み込みの使用人達が時ならぬ騒ぎに右往左往する中、いち早く異常に気が付いた彼らは事前の打ち合わせ通り、行動を開始した。
8
あなたにおすすめの小説
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
「がっかりです」——その一言で終わる夫婦が、王宮にはある
柴田はつみ
恋愛
妃の席を踏みにじったのは令嬢——けれど妃の心を折ったのは、夫のたった一言だった
王太子妃リディアの唯一の安らぎは、王太子アーヴィンと交わす午後の茶会。だが新しく王宮に出入りする伯爵令嬢ミレーユは、妃の席に先に座り、殿下を私的に呼び、距離感のない振る舞いを重ねる。
リディアは王宮の礼節としてその場で正す——正しいはずだった。けれど夫は「リディア、そこまで言わなくても……」と、妃を止めた。
「わかりました。あなたには、がっかりです」
微笑んで去ったその日から、夫婦の茶会は終わる。沈黙の王宮で、言葉を失った王太子は、初めて“追う”ことを選ぶが——遅すぎた。
侯爵家の婚約者
やまだごんた
恋愛
侯爵家の嫡男カインは、自分を見向きもしない母に、なんとか認められようと努力を続ける。
7歳の誕生日を王宮で祝ってもらっていたが、自分以外の子供を可愛がる母の姿をみて、魔力を暴走させる。
その場の全員が死を覚悟したその時、1人の少女ジルダがカインの魔力を吸収して救ってくれた。
カインが魔力を暴走させないよう、王はカインとジルダを婚約させ、定期的な魔力吸収を命じる。
家族から冷たくされていたジルダに、カインは母から愛されない自分の寂しさを重ね、よき婚約者になろうと努力する。
だが、母が死に際に枕元にジルダを呼んだのを知り、ジルダもまた自分を裏切ったのだと絶望する。
17歳になった2人は、翌年の結婚を控えていたが、関係は歪なままだった。
そんな中、カインは仕事中に魔獣に攻撃され、死にかけていたところを救ってくれたイレリアという美しい少女と出会い、心を通わせていく。
全86話+番外編の予定
【完結】6人目の娘として生まれました。目立たない伯爵令嬢なのに、なぜかイケメン公爵が離れない
朝日みらい
恋愛
エリーナは、伯爵家の6人目の娘として生まれましたが、幸せではありませんでした。彼女は両親からも兄姉からも無視されていました。それに才能も兄姉と比べると特に特別なところがなかったのです。そんな孤独な彼女の前に現れたのが、公爵家のヴィクトールでした。彼女のそばに支えて励ましてくれるのです。エリーナはヴィクトールに何かとほめられながら、自分の力を信じて幸せをつかむ物語です。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる