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予想外にもほどがある
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「疲れた……」
休日の夕方。リビングのソファーで咲耶が寛いでいると、弟の一樹が微妙に生気が無さそうな様子で戻って来た。
「お帰り……、って、どうかしたの? なんだか随分疲れているみたいだけど……」
「姉ちゃん、やっぱり店に抗議した方が良いかな?」
「え? いきなり、何?」
「なんだかさぁ、コンタクトの調子が悪いんだよ。昨日店で、デモのレンズを合わせた時は違和感なかったし、買ったレンズを昨日の夜に家で合わせた時も異常はなかったんだけど、短時間だったからなのかな? 今朝からつけてたけど思ったより見えにくいし、なんか妙に疲れるっていうかさ。眼科で指定されたのと、違うレンズを渡されたんじゃないかと思って。やっぱり今から行こう。店、まだ開いてるよな?」
愚痴っぽく言い出した一樹は、言うだけ言ってスマホを取り出した。そして何やら検索し始めた弟を見た咲耶は、慌てて声をかける。
「ちょっと待って、一樹。あんた、今、コンタクトしてるの?」
その問いかけに一樹はスマホから視線を上げ、気を悪くしたように言葉を返す。
「そう言っただろ? 俺の話、ちゃんと聞いてなかったのかよ」
「聞いてたわよ。だから、見え方がおかしかったのが良く分かったわ」
「だろう? やっぱり店側のミスだよな」
「違うって。あんた、眼鏡してるもの」
咲耶が冷静に指摘してきたが、それを聞いた一樹は怪訝な顔で言い返した。
「何言ってんだよ。見れば分かるだろ? 俺は今日からコンタクトなんだよ。頭おかしいのか?」
「頭おかしいのはあんたよ。コンタクトを装着した上に、眼鏡をかけてるんだから」
「はぁ?」
「ほら」
「…………」
咲耶は問答をしている間に自分のスマホのカメラを起動した上でFaceTimeカメラに切り替え、ディスプレイ側を弟に向かってかざす。それに写り込んだ、眼鏡をしている自分の顔をしっかり認識してしまった一樹は、思わず怒りの声を上げた。
「俺、なんで眼鏡してんだよっ!?」
「今の台詞、そっくりそのまま返してあげるわよ!! その姿で店に乗り込んで赤っ恥かかなくて済んだのは私のおかげよ!! 感謝しなさい!!」
「うぁあぁぁぁっ!! 信じらんねぇぇぇっ!!」
「それはこっちの台詞よっ!! このドアホ!!」
息子と娘の怒鳴り合いをキッチンから眺めた典代は、「長年の習慣って抜けないのねぇ」とクスクス笑いながら、何事もなかったかのように夕飯の支度を続けたのだった。
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「はぁ?」
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「うぁあぁぁぁっ!! 信じらんねぇぇぇっ!!」
「それはこっちの台詞よっ!! このドアホ!!」
息子と娘の怒鳴り合いをキッチンから眺めた典代は、「長年の習慣って抜けないのねぇ」とクスクス笑いながら、何事もなかったかのように夕飯の支度を続けたのだった。
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