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おらの太刀

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 おーい!みんな元気だべかあ?
 最近は日が暮れると朝まで冷えてくるべ‥
 婆さん、冷え性なんだべ‥半纏でも見繕うべ。そうと決まれば町さいってくるべわらべたつと赤ん坊のも買うてくるべ!
 山賊さんたつは、日頃から狩ってきた猪や熊の毛皮なめして、暖かそうだべ。

 でも獣臭いのがいけねぇ、わらべたつも赤ん坊も匂いには敏感だべ?
 婆さんにも綺麗なおべべ着てもらいたんだべ!

 さてさて呉服問屋さ来たべ~

「いらっしゃいませ~!‥‥あの、失礼ですが銭はお持ちで?」

 格好が格好だべ、そら疑われるべな。

 ほれ、これくらい有れば足りるべ?

「‥五貫!!(五十数万円~くらい)ごゆるりと、此方の織物は特注品でして‥」


 金があると解ればころりと手のひら返しだべ
 所詮、世の中金だべ‥


「では御注文のお品でございます有り難うございました!」

 ふふ、これでみんな暖かくしてぐっすり眠れるべな!


「おい、待ちな」

 目の前にごろつきがわらわら出てきたべ‥

「お前、そのなりで相当金もってんだなあ?」

「その佩いている太刀と一緒に置いていけ」

 あの店主が大声で金額を叫んだ時に聞かれたべか‥バカやってねえで真面目に働けばいいべ!

「けっ、誰が働くか俺たちゃあ戦で負けて主君から追い出されたんだ!盗み、殺し、拐かし何でもやって生きてんだ!」


 主なしだと何も出来ねえ野良犬がよく吠えているべ。


「なんだと!?キサマ、殺す!」

 すまねぇが‥おめぇさんの手癖の悪い手はもうないだよ?

「!?ギャアーー俺の右手が!」

「いつのまに?抜いたの見えたか?」

「いや‥ん?お、おいこいつの太刀‥3年前の戦で百人の首をとった奴が使った太刀だと言う事は‥」

 なんだべ、そんな化け物をみるような顔は‥
 三年前はまだ武士だったべそれくらいの武功は挙げてたべなあ。


「「「「ひえーーっ」」」」

 本当になんだべ?おらが化け物なら共に戦った奴らはもっと化け物だべ?

 この太刀は元主から授かったもんだべ

 家督譲って隠居生活っていってたべな‥今度俺から誘ってみるかな。
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