tukumo 短編集

tukumo

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罪悪滔天

 やっと穏やかな日常を送れるようになった
 他人を気遣う心も芽吹きはじめた


 なのに__

「返せよ!それは僕のだッ!」


「……必要ないだろう」


「誰だかしらねぇが必要なんだ返せッ!」


 なんで人生ってなあ無慈悲なものか僕からそれを盗られてしまったらまたあの頃に逆戻りじゃないか…


「だからさ…お前は人一人も救えないのに何故諦めた?」


 こいつあ何者なんだろうか僕の何を知っているのだろうか偉そうに



「なんでも知っているお前は俺、俺はお前なのだから__もう一度聞く、はじめて本気で救おうと思った人を救えず挙げ句避けられ拗ねている何故諦めない?」



 こいつ!?いや……


「僕はあの人の過去を聞いて思い知らされたこの世では本当に救いを求めている人には救いの手をさし伸ばされないと、でもだからこそ僕はあの人を救いだしたい!一刻を争う事態だけれど場所も名前もわからないそれに距離を置かれた!」



 頼ってほしいでも頼ってもらえない


「なら今はその時じゃないもし俺が奪った救いの心これが必要になるときはもう過ぎたあとは次を待つしかない此方が何を言おうとあの人は疲弊するだけ」


 それでも手遅れになったら僕は_


「遥か彼方に行ってしまったらどうすればいい」


「お前は俺、俺はお前だもう答えは出てるんだろう?」


 その通りだでも、できればこれを使いたくない


「お前の手が綺麗だといつまで錯覚しているお前はこれまで散々他人を家族を裏切り苦しみ泣かせてきたではないか今更怖いのか」


「ああ怖いよ怖いけれどあの人の為なら俺は身をもって挑む」


「たかが数日、メッセージのやり取り小一時間の通話の見ず知らずの相手にか我ながら狂ってるな」


 真実とは見えない見えにくい例え騙されていても奥底は救いを求めている実に空虚だ。


「罪悪滔天、僕は背負うあの人からコンタクトがなくなってもだもし音沙汰なく時が過ぎようとも僕は背負うこの思いを糧に救えなかったあの日を死ぬまで」


 今宵は七夕、こんな日に誓うものではないのだろうが__いや固く決心しよう。


 罪悪滔天、この溢れでる未熟で甚だしい僕が救えなかった人の安寧の為に僕は狂おうが穢れようがこの地を踏みしめる。








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