アンブラインドワールド

だかずお

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〜 遺跡内の攻防 〜

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ザアアアアアアアーー

天井から降りしきる全てを溶かす危険な雨

「さあ皆溶けろ、さようなら宇宙連合の隊長マッカース」

「ふぅ~」小さなため息一つ、次の瞬間マッカースの両手に機関銃が具現化された。

「お前たち本当にめでたいよな、こんなのでこの俺に勝てたと本気で思ったのかな?」

ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ

透明な霊気の玉が無数に発射される。

「なんだと」驚き叫ぶググベルとライアー

これが連合の隊長クラスの実力!!

次の瞬間ググベルとライアーは気を失っていた。
二人の上に座るのはマッカース
「こいつらは船に連行する、色々情報を聞き出す為にな」

「そして、テレパシー通信良くやったジョー、小人も一緒だな。すぐに行く」

その頃、タケル達は終わりの見えない階段をひたすら登っていた

「この段からはまた奇数になる」

「くっそー、面倒くさい階段だぜ」

「おいっ馬鹿タケルそこは奇数だ」肩に乗るブラックが叫ぶ

「うわぁ~」階段が崩れ下に落ちそうになったのをペレーとジョーが掴んでいた。

「助かったぜ」

「気をつけるウキ」

登り続け、ようやく階段のてっぺんに到着した一同
「自分の案内はここまで」

「ありがとうイエロー、こっからは自分です」ブルーが眼鏡をくいっとあげる。

「なぁ、俺、夢見てるんだよな?」

「驚くのも分かるウキ、でも・・・」

登りきった階段の目の前には海が広がっていた。

「この海には落ちたら駄目である」

「どうしてだブルー」

ブルーが小石を拾い、水中に落とす

ガリガリガリガリ

「何ウキかあ~、あの魚達」

「あれはクイピールと呼ばれる危険な魚、海に落ちたものをなんでも噛みちぎる、もし落ちたら骨すら残らない」

「あっちに見える島、あそこに向かうんだな」

「その通りジョー」

「でもどうやって?」

タケルのその質問に鼻で笑ったのは神井「頭をつかえ」霊気を全身に纏い、海の上を歩き出す。

「凄いウキ、霊気を纏えば水上も歩けるウキね、それにあの魚も防げるウキ」

「確かにあれなら海に落ちないし安全だ」タケルも全身を霊気で纏う。

「でもペレーそんな事出来ないウキよ」

「大丈夫俺が背負ってやるよ」

「助かるウキ~、タケル」

ジョーは思う、そんな芸当霊気を使えたって簡単には出来ねえょ

それと、この先どうなるかだ…マッカース隊長がここに来るのが先か?それとも。

「おっ、おおいタケル俺も捕まらせてくれ」

その頃

北條とクラーケンは激しい攻防を繰り広げていた。

その背後からコウモリの様な怪物が現れる「クラーケン様」

「来たか、スターク」

「この先に小人達が居る、先に行け」

「それはさせません」
その瞬間だった、北條の全身に電流が走る

「どうだ俺の放つ電流は?雷レベルの威力はあるんだぜ」放ったのはクラーケン

北條を越え、進んで行くスターク。

「さて俺も行くか」

「ん?」

「私とした事が油断しましたね、一人行かせてしまった」北條は表情一つ変えず立っていた。

「ちっ、厄介な野郎だ」

タケル達は海の上を歩き進んでいる。

「なんだブルーここならお前の道案内必要ないな~」余裕の表情を浮かべるタケル。

その時だった「タケルその位置を進むな」

「え?」

コゴゴゴ~~~海の中、タケルの進もうとした箇所からマグマが吹き上がる。

「んな、馬鹿な」

「ここはちゃんと案内します、死にたくなきゃ油断しないことです」

しっかり手を上げる、タケル、ペレー、ジョー
「ちゃんと言う事聞きます」

一同は反対岸へと、なんとか渡りきった「次は自分だな」パープルが言う。

「さあ、付いて来い、次の試練は今までよりも過酷な事になるぞ」

「頼むウキよ~、ここまで来て脅かさないでくれウキ~」

「いや本当の話だ、みんな覚悟しろ。この先は何も信じるな」

「何だって!?」

「この先俺たちを持つのは幻想の試練」

ダッダッダッダッ

全力で走っているのはマッカース

「お前たち、どうやらマグマは止まった様だ。俺はこの先ジョー達のもとに向かう、あとは任せろ」

「しかし隊長、中にはクラーケンが、それにこんな時に、この星に来てるもう一人の隊長のあの方は何処に?」

「あいつの考えてる事くらい大体想像つく」ちっ、歴代最年少で連合の隊長になった男。
ちったあ手伝えよな。
それと、信じられないのは一人の存在の霊力、多分クラーケンであろうと思われる気を放つ奴と戦っている、何者なんだこのとんでもない霊力を持つ者は。

ザッ ビュンッ シュンッ

必死に北條に攻撃を繰り出すクラーケン。
俺の攻撃がかすりともしねぇ、それにこの野郎まさか?

「貴様、まさか結界の為見えなかったが」

「ええ、そうです」

俺の思考を読んだ?
「俺と戦いながら地球にバカでかい結界を張っていやがるな」
こいつのこの表情、図星か。
なるほど、こりゃあ俺の勝てる相手じゃねえな。
クラーケンは突如、祈り始める
「おお我が主、闇の主。この者を滅ぼし給え、我に力をかしてください」闇の主が目覚めつつある今ならこの祈りは届くかも知れない。

クラーケンは産まれてから僅か三年、自身の家族が皆殺しにされてから神は信じなくなった。
ある時、噂を耳にする

「なぁ、知ってるか闇の主。宇宙に存在する、なんだか謎の生命体それに憎悪を込め、祈り続けると力を与えてくれるそうだぜ」

それを聞いた直後からクラーケンは祈り続けた、俺の家族を殺した者達を皆殺しにして給えと。
なんとそれは奇妙な数字の一致と共に、三年後の家族が殺された同じ日時に実る事となる。
実際闇の主の力か、偶然かは分からなかったが、それ以来、クラーケンは闇の主を信仰する事となる。

それから三百年以上、祈らない日はなかった。

「私に力を、私に力を」

「クラーケン、大人しくしてればあなたを傷つけませんだから」
その時だった北條の顔が歪む。

ズゥオオオンッ なっなんだ?

「おお、これは主、闇の主への祈りが通じたんだ~~~ああ~」
興奮するクラーケン

残念だがそいつは違うな
クラーケンの後方からの声

「てめぇ生きてやがったか」

そこに立つのはマッカース
「先程の会話聞かせてもらったよ、なあ地球の人」

「今のはまさか?」

「そう、あんたの今の衝撃は地球に張る結界が攻撃された衝撃、今、死神率いる闇の巨大艦隊が地球を攻撃しに来ている」

ふぅ~こんな時にですか。

「何を抜かすマッカース、今のは闇の主の思し召しだ」

「やれやれくだらねぇ、何を信じてるんだか、そんな意志は闇の主にねえよ」

ガガガガ
直後、激しい戦闘を繰り広げるマッカースとクラーケン

「だがな地球の方安心しろ、連合の隊長達が地球に向かっている所だ」

「そうですか、だが、あれくらいの攻撃なら然程心配はしてませんよ、地球にも私の信頼できる弟子や友がおりますから」

「そりゃ頼もしい」

「ですが少し急がせてもらうとしましょう」

「ああ同感だな」

「貴様らあああっ、殺す皆殺しだ~~」

「悪想念の残る殺しは好きません、浄化させてもらいます」

「優しいこった、分かったよ地球のお方、いくぜ」
二人の攻撃がクラーケンを跡形も無く、ふっ飛ばした。

「あんたこの碁に及んで、あのクラーケン相手に、苦痛の無い、しかも悪想念すら残さない浄化と言う方法で魂を引き離した、気に入った連合の隊長になってくれよ」

「断ります、私にはする事が沢山あるのでね、先を急ぎましょうか」

「残念だ、そうするとしよう」

俺は……そう確か変な洞窟に入った。
パープルがここから幻想の試練が始まると言ったあの場所から。
タケルは困惑していた。

これは夢だよな?
なんで、なんで神井がジョーを殺してんだよ。
これは幻想なんだよな?
なぁ誰か教えてくれよ・・・・・・これは幻想なんだろ?
現実じゃあないんだよな?

タケルの目の前には、ジョーの心臓を、鋭く尖った霊気で貫通させた神井の姿があった。



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