アンブラインドワールド

だかずお

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〜 迫られた覚悟 〜

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翌日
朝からリタを観察していたのは光堂
光堂はこんな事を考えていた
もし、サタンの配下と戦う事になるのなら、タケルや神井はこれからどうなる……
この宇宙で平穏に暮らす事は、もはや不可能になるだろう…
どれくらいのサタンの配下がこの惑星に訪れているのか?
この任務はまだ彼等には速すぎる
そんな時だった
遠くの方、リタが何やら足早に森から出て行く姿を光堂は見逃さなかった

現在タケルと神井は修行中、マナは薬草を配合する為の材料を確保しに街へ、ペレーは昼寝していた

「おいっ、ペレー、俺は少し出る、何かあったらすぐ知らせてくれ」

「う~~ん光堂、分かったウキ、もう食べられないウキ~」

まったく……

リタの後をつける光堂、リタは街の人間に何かを聞いて歩いていた

光堂はリタに何かを聞かれた人間に問う
「今何を聞かれた?」

「う~ん地球から来た人と、猿も一緒の五人組を見なかったかと」

リタは俺達を探している?

街の鉄塔の一番高い所、リタを憎み、殺そうとしているペダが街を見下す様に見下ろしていた

「黒龍よ、どうだ?今日リタの野郎と白龍を殺らないか?」

「随分急だな、どうした援軍が来るんだろ?それからでも良いじゃないか」

「私は考えたのだよ、現在このペダとリタ、二人の龍使いとしての実力は如何なほどかと」

「ほぉ」

「私は目的が生まれた、リタを殺し、この惑星ペドスドラコを支配すると言う」

「そいつは面白そうだな、全ての龍を支配して闇の帝国でも作るのか?」

「ああ、この時代なら随分後押しされるだろうから、不可能ではないだろう」

「おおペダよ何処までもついていってやろう、どうだまずはリタが今居るあの街を破壊でも」

「それは良いな黒龍、なら手始めに私が生まれた頃から虐待に虐待を重ねて育て上げた兵士、スペーサードラゴンのグワイを向かわせるとしよう」そう言うとペダは口を大きく開いた
すると口の中から体長五メートル程の龍が出現する

「さあ行って街を破壊してこい、そしてあのリタと言う男の死体を持ってこい、出来なかったら貴様の目を潰す」

「グワアアアアオオウッ」

同時刻
修行が一段落し、腰を地面につけるタケル

「あれっペレー、光堂さんは?」

「散歩ウキかね、ムニャムニャ」

「駄目だ、寝ぼけてる、全くリタの警備はどうなってるんだ」

「んっ?」リタの住む森に人影が入って行くのが見えた
くそっ、マジかよ
タケルは走り出す
俺が行くしかねぇ、間に合ってくれ
山を駆け降り、全力でリタの住む森にタケルは向かっていた
森の入り口は、まるで全ての生物が眠りにつき、居ないかの様な、静寂に包まれていた。

確かに人影が森に入って行くのが見えたんだけど

「おやおや、君もこの惑星に来ていたのか」

何処かで聞いたことのある声が、頭上から鳴り響く

「この声はまさかっ」

不気味な道化師の姿、ペイントされた顔は不気味に微笑んでいる

あいつは、ラルフォート・ナザレ

「タケル君だね」

「ラルフォートてめぇ」タケルの脚は震えていた

「まさか君までここに居るとは、それじゃあ、あの北條も一緒かな?」

「何故お前がここに居るんだラルフォート、俺達を狙ってか?」

「あっはっははっはっは、可愛いガキだ」

「なんだと」

「確かにそれも悪くない、だけど少し今は間が悪いんでね、一つ忠告しておくよ、君達の為に」近付いてくるラルフォート

「おやおや、そんなに私を怖がらないでおくれ」

「君達の為の忠告だよ、これ以上この惑星で起こる事に首を突っ込まない方がいい、君達じゃ力不足だ」
ラルフォートはタケルを嘲笑うかの様にすれ違いざまにタケルをジロリと舐める様に見つめた

タケルはラルフォートにそれ以上の質問は出来なかった、何故リタの住む森に来たのか?
これからこの惑星で何が起ころうとしているのか?
聞きたいことは沢山あったのだが、恐怖がそれを阻止していたのだ。

「じゃあね、北條に会ったら伝えといてよ、次は殺すと」

「アッハッハッハ バイバァ~~イ」

くそっ、あいつにはまだ勝てない、タケルの全霊力がその事実をしっかりと、思考による理解を超え、肉体に伝えていた
ペレー達の居る場所に戻り、タケルは再びすぐに修行を開始していた
俺はこのままじゃ駄目だ、このままじゃ誰も守れない

ラルフォートは笑っていた
「なる程、タケル君達がここに来ていると言う事は、連合もここに直に沢山来そうだな、思ったよりも大変な仕事になりそうだ、サタンに、連合、まぁ誰も私の目的なんて知る由もないけどね」

「それにしてもタケル君、本当に警戒心がなさ過ぎる」
ラルフォートは頭上を見上げていた
私が君達を殺そうとしていたのなら、いつでも簡単に殺せていた、居場所が全てばれている
ラルフォートはタケルの後をつけていたのだ
そして突然何かを感じ取り、口角が上がる

タケルは必死だった
くそっ、くそっ、どうしたらあんな強い奴等に追いつけるんだ、本当にこんな修行であんな化物達の様に強くなれるのかよ?
一つの疑念、このままもしかしたら、何も出来ないで終わるのではないか?
結局力も身につかず……なにも………

突如、神井は修行する手を止める
そして凄まじい目つきで前方を睨みつけた。

「貴様ら何者だ?」

「おやおや、中々凄まじい霊力の持ち主ではないか」

前に立つのは六つの人影

「我々はサタン様の命を受け、この惑星にやって来た。この宇宙に住む者は、我々に手を出せない事は知っているな小僧」

サタン、この宇宙で圧倒的な力を持ち、連合すら迂闊に手を出せない程の力と権力を持つと言われる、宇宙に存在する本物の支配者、闇の王の一人か

「さて小僧、質問する。貴様らはここで何をしている?」

「ふんっ、貴様らの知った事か、勝手に推測でもしてやがれ」

ギロリッ
「口を慎めよ小僧、サタン様への反逆とみなすぞ」

「気に食わない態度だ、片足を頂く」
六人のうちで一番小さな、身長百三十センチくらいの緑の肌の男が神井の前に霊力の塊を飛ばす

キイインッ
神井はそれを弾いたのだが、あまりに重い霊力に地面にのめり込んだ

ズウゴオオオオオンッ

その瞬間に悟る
こいつら強い
左足は血塗れになっていた

「あらら、この中で一番弱い自分の今の攻撃でこれじゃあ、君、死んだね」

「俺を舐めるなよ貴様」

ギロリッ

「この糞ガキめ、殺す」

ゾオオオオオッ
背後にとてつもない霊気
六人の気配が一斉に後方に向く

パチパチパチパチ パチパチパチパチ

「いやぁ~威勢が良いね やはり君は」

「貴様は、ラルフォート」

「ああ、こないだは忠告どうも、サタンの下僕さん」

「なんだと」

ラルフォートの姿を目の当たりにし、驚いていたのは神井
ラルフォート、ラルフォート、こいつは俺が殺すっ

「おいおい、その殺気待ちなよ、今は私を殺す場合じゃないだろう、その威勢の良さに心動かされて助けてやろうって言う時に」

強大な霊力に勘付いたタケルがやって来る

「神井、どうした?」

「なんだよこいつら、んっ、ラッ、ラルフォート」

「また会ったね」

「さて、一つ言おう、今の君達じゃあ、あの一番弱い奴にも勝てない現実、しかし勝たなければ背後にあるのは死のみ、しかし、相手はあのサタンの配下、手を出せば一生この宇宙で命を狙われ続ける事になる」

「アッハッハッハ選べよ、今楽に死ぬか、永遠に命を狙われ続ける、平穏を捨てた人生を歩むか」ラルフォートの口調が変わった

タケルと神井は構えていた

躊躇の無い即決
なる程、生半可な覚悟じゃないらしい
それにこの二人、この短期間でここまで霊力を
ふっ、この二人は化ける

「二人共、君達は平穏を捨てた、もう二度と元の生活には戻れない、さて、そんな人生を歩むのを決めた君達に、僕から最初にして最後のご褒美だ」

五人の前に立つラルフォート

「こいつらは私が消す、そいつは二人でやれ、出来なきゃ死ぬだけだ」

「ふざけるな貴様、この俺にこんな雑魚一人、半人前のこいつと戦えだと」

「俺だって同じ意見だよ神井」

「笑かすな、生き残ってから強がれよ」
ラルフォートの真剣な口調に初めて、二人は目の前に立つ相手を直視していた、それは先程までの霊力とは桁外れの霊力を放出する怒れる獣

タケルは覚悟していた、ああこれは…これは……
本当に死ぬかも知れない

「あっはっはっつは」
突然、笑い出したのは神井

本当に嫌になるな、鍛えても鍛えても、埋まらない力の差、目の前に現れる強者
俺は初めて認めよう、自分の弱さを
だが、いつまでも弱者でいるつもりはない、こいつに勝ち、俺は進む

「けっ、神井、今日は随分素直じゃねえか、だけど俺も同じ意見だ、生き抜くには認めたくないけど…」共闘しかない

やってやるっ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオーー



~ アンブラインドワールド ~

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