アンブラインドワールド

だかずお

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〜 青龍の覚悟 〜

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龍神出現まで後五日

三人の修行はその後も休む事なく続けられていた
タケル、神井、光堂
こないだのサタンの幹部の霊力を感じてしまった以上、休んでる暇などなかった

マナは早朝より精霊の星の女王ぺぺとコンタクトを取っていた

「マナ、私の方にも龍神から直接メッセージは来ておりません、極秘で何かをしようとしているのは確かです、そして五日後ペドスドラコで何かが起こる、今多くの惑星の存在達がペドスドラコで起こる事に注目しています、この先の宇宙の行く末を大きく変える出来事が、その日に起こる事は間違いありません、そしてその出来事が今後のこの宇宙にポジティブに働くか、ネガティブに傾くかも…」

「分かりました」

「ただ一つ私に分かった事があります、十二の霊力が一箇所に集まっています、これは私だから感知出来た、何かに覆われ封じ込められている様な霊力、人が放っていると言うよりも物質から放出されているもの」

「十二?」

「思い当たるものがありますね」

「十二の霊力、まさか…」霊力が普通の人じゃ感知出来ない様に隠されてる…

「クリスタルスカルですね」

「連合からその事について報告は?」

「何も聞いていません」

「何かが私達の知らない所で動いている様です、マナ 充分に気を付けるのですよ」

「はい」

ゴゴゴゴーゴオオオー

「ペダよ、いつあの白龍とリタの二人を消すつもりだ」

「そう慌てるな黒龍、今は連合の奴等が周りに居て非常に目障りだ、もうすぐ援助者が来る、奴が来てからでも良いだろう」

「怪物クラーケンか」

その夜

タケル達は皆で集まり食事をとっていた。
「神井はまだ修行してるのか?」リタが言う

「一緒に食べたくないだけだろ、どうせ後で一人で食べるさ」タケルが答える

「神井は、ほんと誰の事も仲間だと思ってないウキね」

「ああそう言う奴さ」タケルは窓の外の暗い森をジッと見つめながら言った

「それにしても龍神は今まで出現する時期や場所を告知して姿を現わすなんてこと無かったんだろ?一体何をするつもりなんだろうな」タケルは青龍を見る

「ここ何万年で初めての事だ、間違いなく闇の主についての事だとは思うが」

光堂は昼間に、マナから報告を受けていた
クリスタルスカルが一箇所に十二集まっている可能性がある事を
間違いない、この短期間で全てを集められるのは、既にスカルをいくつか集めていた連合くらいにしか出来ない
俺達に秘密で何かが動いている

「それにしても白龍ずっとピリピリしてるよな」リタが食事も食べずに一匹、木の上でジッとする白龍を気遣う

「警戒してるのかもな黒龍を、それに龍神様の事だってある」
青龍はタケルを鋭い目つきで見つめた

「やはり、今のままじゃ厳しいな」

「え?」

「お前の霊力、これから起こる戦についていくのは厳しいと言っているのだ」

「おいおい無茶言うなよタケルは全力でやってるんだ、これ以上何をやれって言うんだ」リタが反論する

「光堂、この者を借りていく、試練の洞窟に連れて行く」

リタの表情が変わる
「待て青龍、お前が一緒に行くって言うのか?」

「そうだ」

「駄目だ、それだけは僕が許さない」

「ならば今日限りでお前は我の主ではない」

「強くなりたいかタケル?」

「ああ」

「ならばついて来い」

「やめろ青龍」酷く動揺するリタの姿を光堂は見つめていた

その時だった背後から声が

「待て、俺も行く」
その声の主は神井

青龍は神井を見つめ小さなため息をつく、奇妙な運命だな出来ればこの者は連れて行きたくは無かったが…

「良いだろうついて来い」
二人は青龍に付いて歩き出す

「心配しないで大丈夫ウキよリタ、タケル達ならきっと試練の洞窟なんて言う所から強くなって戻って来るウキ」

「違うんだペレー」

皆はリタの表情を見て、驚く
リタの瞳からは溢れんばかりの涙がぽろぽろとこぼれていた

「違うって何が違うウキか?」

「戻ってこられないのは青龍なんだ」

「え?」

「試練の洞窟の入り口は入った直後に完全に特殊な霊力を込められた神石と言うもので閉じられるんだ」

何処となく神聖な空気漂う、恐らく相当な年月をかけ、一つ一つの石を、手作業によって積み上げられて作られた風貌を持つ、古い祠の前にタケルと神井は辿り着いていた

「おい青龍、入った途端、入り口しまったけど、どうやったら出れるんだ?試練とか言うのをクリアしたらか?」

「まぁそう言う事だ」

青龍の額の目が突如開き、瞳は三つとなる

「この洞窟は試練の洞窟と言う、ここを出るには我を殺す以外に方法はない」

「何言ってんだ青龍?」

「我に勝ち、我が死んだ時のみここは開く」

「馬鹿野郎出来るわけねぇだろ、俺にお前を殺すなんて」

「笑わせる、我に本気で勝てるとでも?」

「行くぞ小童共」

「龍よ、俺はこいつの様に甘くないぜ、遠慮なく殺させてもらおう」神井が霊気を全力で研ぎ澄ます

「ほぉ凄まじい霊力」

ギロリ

場面は地球
北條は瞑想をしている
地球に近づくどんな霊力も見逃さないように地球に結界を張っていた
何事も起こらない事を祈りますが、私の予知能力で見た起こり得る可能性、未来では何者かが地球に攻めてきていた
もし私の結界を抜けられる様な事態が発生したら地球は危ないかも知れません
北條は世界中にテレパシーを送る
それは世界に散らばる自身の弟子、仲間達に向けて
この五日間、特に気を抜かず地球に結界を強く張って下さい

北條の予知は最悪な形で的中する事となる
宇宙中が龍神の出現するペドスドラコの惑星に目が向いている間
死神率いる軍団は地球を我が物にするつもりでいたのだ

「おやおや地球にもとんでもないのが居ますね、この結界はかなり厄介ですね、なんとかするのに数日はかかってしまいます、まぁ想定内ですが。連合の隊長達が多く地球にやって来る前に我々の地球侵略計画を完成させたいのですがね、時代は直にひっくり返ります、闇が支配する時代に」
死神は不気味に笑っていた

試練の洞窟内
血塗れになった二人が居た
つぇぇ、これが龍の力

「白龍は我の三倍は強いぞ、この程度で根を上げるならお前たちに未来は無い」

くそっ、青龍を殺すなんて出来ねぇ、だけど何もしなかったらこっちが殺されちまう、どうすれば良いんだ。

「タケル、お前は何も分かっていない」

「まだ我と戦う事を躊躇しているお前は今のこの状況を何も理解していない」

「?」

「何故我が命を落とす覚悟でお前達をここに連れて来たのか、お前は理解していないのだ」

「良いか、闇の主が復活すればこの宇宙は確実に暗黒の宇宙になる、終わりなく、未来永劫に続く闇の時代の到来、そして龍神様は今回それを阻止する為、命を懸けて何かをなさるつもりなのだろう、そんな闇の時代に龍神様程の光の波動を放つ存在が一つこの宇宙から消える事がどれ程の一大事かお前は分かっていないのだ」

「タケル、お前の大事な友や家族、全ての者達が永遠に抜けられない地獄の闇に落とされる事態を前にして、お前はまだ覚悟を決めていないのか?まだ事の事態の重要さが判らんのか?」

「覚悟なんて決めてらぁ、でもお前を殺すなんてそんな覚悟は決められるか」

「笑止、お前は何も理解していない」

「良いだろう、我は全力でお前達を消す事に専念しよう」青龍は背後に物凄い殺気を感じ、身を躱す

ザアアアンッ

「ふっ、お前には躊躇が無い様だな」

「躊躇?お前を殺すのにか?当たり前だろう」

青龍は冷酷で鋭く尖る神井の瞳を見つめる
強力な霊力、今避けなければ我の身体は真っ二つになっていたな。

青龍はこの時何かに気付く、なるほど、この男の異様な程の禍々しい霊気何処かで感じた事がある訳だ
ああ……この二人は
恐るべき運命
一体宇宙はこの二人に何を望んでおられると言うのだ?

「ほぉ」

タケルの瞳の変化に気付く青龍

「それで良い、その気になったな」

「人間とは面白い、心が変われば顕著に表情に現れる」

「最初から覚悟は決めてた」

「?」

「でもそれはお前を殺す覚悟じゃない、強くなる覚悟。俺は俺の在り方を他人に変えられるつもりはねぇ、どうするかはいつだって俺が選ぶ」

「ふっ、なににせよ戦う覚悟は決まった様だな、行くぞ二人の青年よ」

同時刻
とある惑星

「さて、そろそろペドスドラコに向かうとするか」
それは惑星ペドループでタケル達と死闘を繰り広げた相手クラーケン

「お前達も行くんだろう」

クラーケンの背後に立つのは鬼神

「当たり前だ、我々もペドスドラコへ向かう、なぁ女狐、そして…」

「時代を越えて集まった元大帝国幹部、白い刃の諸君」

いざペドスドラコへ

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴオオオォーー

龍神出現まで後四日




~ アンブラインドワールド ~



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