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『海』
しおりを挟む「ひゃっほーい」
「海ダァー」
目の前には青い海が広がっている、これぞ夏
「嬉しい海海海、パネパネ」虎鮫代ちゃんは夏の海に感動、舌は出たり入ったり忙しい。
「いつまでも夏が続くと良いなぁ」と海の波を見ながら冬馬君がつぶやく
「夏休みがでしょ」と笑う大喜
「そうそう」
ミーン ミン ミーン
砂浜にビニールシートを敷き座る
「たまらんー」とサーも大ご機嫌。
すると「多網かっこいい」と大喜が
その声に後ろを振り向く冬馬君
「あっ」
多網がサングラスをかけているではないか。
「アイルビー バック」多網の好きなターミネータのマネである。
「多網似合う~」と冬馬君もニッコリ
さっそく、洋服を脱ぎ水着になる子供たち
「ひゃっはー」海に向かって走ってゆく
「あんまり深い場所、行っちゃ駄目ですよ」多網ママが言った。
ザブーン ザブーン
きみ子は突如こんなことを思ふ、海の中なら存分に屁がこける
あんたは、いつだって存分にこいてるだろうきみ子よ。
「アパパネ アパパネ アパパネ」
虎鮫代ちゃんはよっぽど嬉しかったのだろう、突如歌いだしたのだ
「いっい、湯だなぁ~~あはっは~いっいゆ~だなぁ あはは~~」
そりゃ、風呂の歌ではないか?虎鮫代ちゃん。
見ると多網ときみ子は二人シャーシャー言いながらなにか力んでいる、近づく冬馬君
なにしてるんだろう?
二人の後ろでは泡が産まれては消えてゆく
これはっまさか?
ぶっ プッ ぶっ プシュー ブリッ ブオッ プシュー
「うわはっは、屁のコキ放題じゃーあっは~~」叫ぶきみ子
一応言っておこう、彼女はおなごである。
多網も負けてない「じゃーじゃー」ブオッ プリック
プシュー ブリッ
「ひぃー痔になりそぅー」
なんぢゃこの二人
冬馬君は危険地帯から去るようにその場を後にした。
んっ?どうしたんだ?
見ると大喜は自分の世界に入っているのか、目をつむっている
突然、手を上にかざし
ジャンプ
そして
「うーーっ 大喜」と叫んだ。
プッ 冬馬君は笑い吹き出す「何それー 大喜」
ハッ「いゃぁーちょっと正義のヒーローになってたみたい」と照れる大喜
だが後ろはもっとすさまじかった
両手を天にかざし
「ハッ、ところてん」
と叫び彼女は海に沈んでゆく
そ奴の名は
虎鮫代
潜った顔がゆっくり、ゆっくりと海面から表れる
最初は「あっ鮫?」
地表に表れる顔が半分を過ぎた頃
「あれっ虎?」
奴の名は
そう
虎鮫代
顔が全て出た時
海から二本の手が天に向かって突き出される
そして
「ハッ」
「ところてん」
と言って奴は再び海の中に消えてゆく
意味分からんわ!!
砂浜で多網父ことサーは、ああもう仕事なんかしたくない。
一生 海で暮らしたい。
そもそもなんで仕事なんかしなきゃいけないんだ。
頭の中は愚痴のオンパレード
だが、目の前に水着の美女の背中
すぐさま、隣の妻の目を確認する
妻は顔にタオルをかけ、多美と日向ぼっこ
またチラリと水着ギャルの背中を見た父
顔が赤くなり、父は妄想した。
妄想の中
ギャルはこちらを降り向き、顔を赤くする
あっ後ろに私の超タイプのイケメンがいる、すごーい 女性はチラチラ、サーを見る。
そして女性はサーに言う「世界で一番かっこいい人ですね」
サーはタバコをふかし言う
「君こそ世界で一番美しい女性だね」
決まった、ストライク ボーリングのピンは見事に飛び散った。
ニタニタ笑う サー
すると前の女性が振り返る
ハッまさか?すかさず、見つめるサー
「ぬおっっ」サーは声をあげた。
振り返った奴はゴリラに似た長髪の男
「最近、女装にこっちゃって」と、一人つぶやき、そやつはサーを見つめる
「なにーっあのダサメン、世界で一番ダサいんじゃないの」
ブチッ さすがのサーも頭にきた カッカ カッカ
が 怒れない サー
顔はひきつり、不気味な笑みが浮かんでいた
「えへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへへっ」
ゴリラはなにか不吉なものを感じすぐさま前を向く、野生の本能?
子供たちも、海からいったんあがり、浜辺に戻ってきた。
「あーっ、海って最高」
「本当、気持ちいいー」
海を見ながら子供たちは語り始めた。
それはいつもの夜中の語り合いではなく、海辺の語り合い。
「こんな雰囲気の語り合いもまた良い」ときみ子
目の前には青い海そして響き渡る波音
ザザ~~~ッ
ああ、癒されるぅー この波音
冬馬君達は今年の夏を振り返っていた。
「あーっ夏休みも、もう終わっちゃうね」ため息まじりに言う冬馬君
「みんなで、キャンプ行った頃が懐かしい」と多網
「スーのうちのお祭りは、まだ夏休み前だっけ?」大喜も夏を振り返る
「あーっ、面白かった、スー元気かなぁ?」冬馬君はスーの家に泊まったことを思い出す。
虎鮫代ちゃんはなにも知らないはずだが、うんうん頷いている。
「スペイン旅行も本当最高だった」
「うんっ、カマーン正子に」
「そうそう」
「ウェルカムウィメン」
知らない人には、なんぢゃそりゃ、と驚く単語の数々。
虎鮫代ちゃんはしみじみと頷く
うんうん。
楽しかったなぁ
お願い夏
まだ行かないで
もう少し
もう少しで良いから
側にいて
冬馬君はあまりに楽しかった夏休みを振り返り
そんな気持ちになった。
ザブーン ザーッ 波の音が心に深く響いている
夏
僕の大好きな夏
今年も、もう過ぎ去って行っちゃうの?
あれだけ騒がしかった蝉の鳴き声も、この頃には少し静かになってきていた。
しみじみと去ってゆく、この時を子供たちは感じていた。
うんうん
と何故か、誰も何も喋っていないのに
虎鮫代ちゃんのあいづちだけが
波音のように浜辺にこだましていた。
うんうん
うんうん
うんうん
「こ」
一応多網は強烈なスパイスを付け足しておいた。
「うん うんっ」
「こ」
なんぢゃ こりゃ~~
「残りの夏も目一杯楽しもう」冬馬君は立ち上がる
「そうだ」と皆も立ち上がり海にかけだして行った。
夏の海が優しく子供たちを包み遊んでくれる
終わり近く、暖かい夏の海辺でのひと時だった。
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