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みつおと雑草
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みつおは一人自転車に乗って、怒っていた。
「いいよ、俺なんてもう、どうせ神様なんていないんだ」
ずっと頑張ってきた事が、何一つうまくいかず 苛立っていた。
ワイシャツの一番上まで、とめてあるボタンをはずし、川辺の橋の日陰に寝転んだ。
「あーっもうイライラする、いっそのこと消えてやりたい」
どうしてこんなに頑張ってるのに、何一つ上手く行かないんだ。
みつおは何だか不甲斐ない気持ちがして、涙した
どうせ俺の頑張りなんて誰も見てないんだ、やってられねえよ、何にもうまくいかねぇし、失敗ばかりだ。
立ち上がるつもりはなかった。
ふと目にした、太陽の下 咲き誇る花々
美しく花を咲かし 凛として立ち輝いていた
しばし、みつおは花に見惚れた。
自分とは違う、自分には、花なんて一つだって咲いていないし、咲かせた事もない。
自分のパッとしない生き様、何一つ結果の出した事の無い人生が浮かぶ。
そしてすぐさま、ふて寝を始める。
ふと、寝転ぶ上に見える橋の天井を見つめた。
ここは向こうと違い、陽の光すら当たらない こんな陰の下に生まれついたんじゃあ どうせ 何も出来ないんだ。
日陰の下に生えている、元気の無い草達が瞳に映る。
自分に似ている、才能も運も無い、誰も相手にする者もいない、君達は自分にそっくりだ。
みつおは怒りを込めて一人つぶやいた。
その時、ハッとする光景がみつおの胸に伝わった
それは一本の雑草
小さな小さな雑草だった。
それはコンクリートで蓋をされていたにもかかわらず、コンクリートを突き破る様に生えていたのだ。
「こんな状況の下でどうやって、お前、顔だして育ったんだ」
こんな陰の下、重い石の下、でも、きちんと育つんだなぁ
みつおは感心した。
花はなく、見栄えは悪い
だけれども どの花よりも力強く思えた
その雑草は立派に育ち、自分の姿を誇り、大地に立っていたのだ。
花がなくとも 魅入ってしまう 美しさ
それを見ていた みつおは、もはや他と比べることが無意味なことに思えた。
きっとあそこは 一年中でも陽のあたらない場所
誰が見るわけでも無い場所
けれども、きちんと育ち、しっかりと大地に脚をつけ立ち、輝いて見えたのだ。
あんな場所でも木々はちゃんと育つ。
空を見上げた
ちゃあんと見てるんだ
みつおは雑草に頭を下げ
自転車に飛び乗った。
橋の上を走るみつおの自転車の足どりは軽かった。
「いいよ、俺なんてもう、どうせ神様なんていないんだ」
ずっと頑張ってきた事が、何一つうまくいかず 苛立っていた。
ワイシャツの一番上まで、とめてあるボタンをはずし、川辺の橋の日陰に寝転んだ。
「あーっもうイライラする、いっそのこと消えてやりたい」
どうしてこんなに頑張ってるのに、何一つ上手く行かないんだ。
みつおは何だか不甲斐ない気持ちがして、涙した
どうせ俺の頑張りなんて誰も見てないんだ、やってられねえよ、何にもうまくいかねぇし、失敗ばかりだ。
立ち上がるつもりはなかった。
ふと目にした、太陽の下 咲き誇る花々
美しく花を咲かし 凛として立ち輝いていた
しばし、みつおは花に見惚れた。
自分とは違う、自分には、花なんて一つだって咲いていないし、咲かせた事もない。
自分のパッとしない生き様、何一つ結果の出した事の無い人生が浮かぶ。
そしてすぐさま、ふて寝を始める。
ふと、寝転ぶ上に見える橋の天井を見つめた。
ここは向こうと違い、陽の光すら当たらない こんな陰の下に生まれついたんじゃあ どうせ 何も出来ないんだ。
日陰の下に生えている、元気の無い草達が瞳に映る。
自分に似ている、才能も運も無い、誰も相手にする者もいない、君達は自分にそっくりだ。
みつおは怒りを込めて一人つぶやいた。
その時、ハッとする光景がみつおの胸に伝わった
それは一本の雑草
小さな小さな雑草だった。
それはコンクリートで蓋をされていたにもかかわらず、コンクリートを突き破る様に生えていたのだ。
「こんな状況の下でどうやって、お前、顔だして育ったんだ」
こんな陰の下、重い石の下、でも、きちんと育つんだなぁ
みつおは感心した。
花はなく、見栄えは悪い
だけれども どの花よりも力強く思えた
その雑草は立派に育ち、自分の姿を誇り、大地に立っていたのだ。
花がなくとも 魅入ってしまう 美しさ
それを見ていた みつおは、もはや他と比べることが無意味なことに思えた。
きっとあそこは 一年中でも陽のあたらない場所
誰が見るわけでも無い場所
けれども、きちんと育ち、しっかりと大地に脚をつけ立ち、輝いて見えたのだ。
あんな場所でも木々はちゃんと育つ。
空を見上げた
ちゃあんと見てるんだ
みつおは雑草に頭を下げ
自転車に飛び乗った。
橋の上を走るみつおの自転車の足どりは軽かった。
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