エンゲージゲーム 事故物件王子の新しい婚約者は、魔王のようです。

ミツユビナマケモノ

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エンゲージゲーム 事故物件王子の新しい婚約者は、魔王のようです。

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 ミリアム・シャトナー男爵令嬢は、アルフより一つ年下。成りあがりの新興貴族シャトナー男爵の庶子で、ずっと平民として暮らしていたが、母親が亡くなったのを機に父親にひきとられたという話だった。十五歳で男爵家に入り、そのまま右から左へ学院に入学したミリアムは、貴族としての常識もマナーも身につけておらず、学院内でも浮いた存在として、はじめは遠巻きにされていた。
 しかしながら、型抜きクッキーのように均一に躾けられた令嬢たちと違い、闊達で率直にふるまう彼女に、眉を顰める者がいる一方、魅了された者が多かったのも事実だ。
 アルフ自身も魅了された一人だった。
 当然ながら、ファナにとっては面白い話ではない。自ずと言葉も態度も尖り、かえってアルフの心はファナから遠ざかり、ミリアムに近づいた。
 だから、繰り返し耳元で囁かれる噂を信じた。
 ファウスティーナ・グレイルは完璧な淑女を装いながら、その実、冷酷で傲慢、目下の者を虐げ、陰で他人を嘲笑う、嫉妬深い性悪女だと――。
「――殿下?」
 夫人の呼びかけに、アルファレドは過去から引き戻された。
 ファウスティーナとの婚約が決まったとき、幼い令嬢に妃教育をほどこすよう、王室から依頼されたのがアードラー伯爵夫人だ。夫人にとってファナは手塩に掛けて育てた愛弟子であり、娘のように可愛がっていたと聞く。ファナがミリアム・シャトナー男爵令嬢を虐めたと告発され、冤罪を着せられたときは、夫人も復権に手を貸したとか……。
 冤罪をふっかけた張本人が、アルファレドだ。
 嫌われるわけだ。
 これ以上の立ち話も何なので、アルファレドは夫人を自室に招き、召使にお茶を持ってこさせた。
「しかし、妃教育でないのなら、なにを……?」
「夜会のつきそいがいるというので、御指名いただきましたの」
「夜会?」
「この先一週間、大公をお招きしての大きな夜会が十以上企画されていますのよ。それと、お茶会も。大公の上洛は事前に知らされておりませんでしたから、慌てて準備をととのえた向きが多いと見えて、日程がかぶりにかぶって、夜会と茶会のスシ詰め状態ですの……」
「スシ?」
 ではなく、日数より夜会の数があからさまに多い気がするが。それよりも。
つきそいシャペロンがいる年でもあるまい……?」
 未婚で未成年の子女が社交の場、とりわけ夜会などに出入りするときは、間違いがないようお目つき役として年上の女性がつきそうことが多い。
 大公は、どちらかと言えば、つきそう側の年齢だろう。
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