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エンゲージゲーム 事故物件王子の新しい婚約者は、魔王のようです。
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凍結を通りこして鉄仮面のようになった妻を、エール子爵が支え、一家が退出していく。妻が尻に敷いているのかと思ったが、案外、割れ鍋に綴じ蓋夫婦なのかも知れない。まあ、子爵家は今夜、修羅場になると予想されるが……。
「アシュレイ・ウィズリーでございます」
ざわめきがおさまらない中、初老の騎士が進み出た。引き締まった長身に、穏やかな雰囲気の人物だが、額の古傷が経歴の一端を物語っている。
「殿下はお忘れかと存じますが、襲爵なさる前に一度、お目にかかったことがあります。八年前、フレイノルで――」
「いや、おぼえている、ウィズリー卿。その額の傷は、逃げ遅れた住民を守った際の、名誉の負傷であったな。だが、妹君夫婦のことは残念だった」
「おお、ご記憶でしたか」
騎士が顔をほころばせた。
「あの災禍で、妹と義弟を失ったのは、私にとって痛恨事でしたが、その後、幸いにも妹の子を見つけ出し、引き取ることができました。これに――」
ウィズリー卿は後ろにひかえていた細身の青年を引きたてた。焦げ茶色の髪をひとつに結って背に垂らし、ハシバミ色の瞳が魅力的な顔立ちは優しげだが、表情は凛々しい。
「マルセル・ウィズリーと申します。今春、王立高等学院を卒業しました。夏には竜騎兵団の入団試験を受ける予定です」
実の伯父でもある養父が言葉をそえた。
「マルセルは混乱の中、ランシエナより駆けつけた竜騎兵団に救助されたのですが、そのとき飛竜の背に乗せてもらったのが、よほど印象深かったようで……」
ランシエナ地方は〈湿地〉の影響か、他では見られない珍しい動植物が多い。あのバイコーンもそうだろうが、飛竜はもっと有名だ。高山地帯に生息する飛竜は、ほとんど人に慣れないが、その飛竜を乗りこなす兵団がランシエナにはある。ただし、地域外からの受験は非常に少ないと聞くから、マルセルはかなりの変わり種だ。
マルセルは短いが、情熱のこもった口調で、飛竜への思いを語った。
エール家の子息が魔道具オタクなら、こっちは飛竜オタクか。
「入団試験は厳しいが、その先はもっと厳しい。心して臨むように」
「はい、頑張りますっ」
大公から賜った言葉に、力強く返事して、マルセルは養父とさがった。
アルファレドは腹の底でうなった。
多くの貴族が挨拶したが、今のところ大公が社交辞令以上の関心をしめしたのは、魔道具オタクの子爵令息と、ウィズリー卿の甥の二人だけ。
魔道具オタク少年はともかく、ケイツビーといいマルセル・ウィズリーといい、やはり、ああいう線の細い美少年が好みなのか? しかも若い方がいいとなると……。
うぬぬ。自分は年下とはいえ、大公の好みからすると少々トウが立ちすぎ、いや、線の細さが足りないのか。この一年食っちゃ寝の生活で、ろくすっぽ部屋から出ず、武術の稽古も遠乗りもサボっていたから、不摂生が祟ってお肌や体型に影響が出ているとか?
凍結を通りこして鉄仮面のようになった妻を、エール子爵が支え、一家が退出していく。妻が尻に敷いているのかと思ったが、案外、割れ鍋に綴じ蓋夫婦なのかも知れない。まあ、子爵家は今夜、修羅場になると予想されるが……。
「アシュレイ・ウィズリーでございます」
ざわめきがおさまらない中、初老の騎士が進み出た。引き締まった長身に、穏やかな雰囲気の人物だが、額の古傷が経歴の一端を物語っている。
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ウィズリー卿は後ろにひかえていた細身の青年を引きたてた。焦げ茶色の髪をひとつに結って背に垂らし、ハシバミ色の瞳が魅力的な顔立ちは優しげだが、表情は凛々しい。
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マルセルは短いが、情熱のこもった口調で、飛竜への思いを語った。
エール家の子息が魔道具オタクなら、こっちは飛竜オタクか。
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「はい、頑張りますっ」
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魔道具オタク少年はともかく、ケイツビーといいマルセル・ウィズリーといい、やはり、ああいう線の細い美少年が好みなのか? しかも若い方がいいとなると……。
うぬぬ。自分は年下とはいえ、大公の好みからすると少々トウが立ちすぎ、いや、線の細さが足りないのか。この一年食っちゃ寝の生活で、ろくすっぽ部屋から出ず、武術の稽古も遠乗りもサボっていたから、不摂生が祟ってお肌や体型に影響が出ているとか?
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