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死者再誕の儀 保健室登校と先生
人体錬成なんて火遊びだろ?あははは!
しおりを挟む「いけないですね。仕事のし過ぎでしょうか?
少し眩暈が・・・・・・」バタリ
ー 私立ポルタメント女学院 保健室 ー
「う、うーん」
「ススッ!!!!!目が覚めたっ!先生!!!先生!!!!」
どうやら私は倒れてしまったみたいですね。
原因は過労でしょうか?
学生と学園運営の2足のわらじはキツかったみたいだ。
「全く、睡眠を疎かにしたな?
絶対安静!今日は夏休み中だし保健室に泊ること!」
「め、面目ありませんね」
何処の世界でも保健室の先生という物は厄介ですね。
健康のためなら個人のプライベートにも介入してきますから。
それに自分の不甲斐なさでこんなことになったのならば猶更反論できない。
「帆帝君だったか?
お札でヨーグルト4人分買ってきてくれるかい?
お釣りはあげるからさ」
そういってお金を渡し学生長を使いパシリにする先生。
ちゃっかり自分の分も要求してますし。
あれ?4人分?私とアオイと先生で3人のはず。
☆☆☆
ちょっと疑問がわいた。
この人はもしかして私の前世でも先生をやっていたのではないかと。
「昔先生にそっくりな人がいて、
ガサツで、唯我独尊で、それでも私の為に叱ってくれて。
もしかしたら先生はその先生の生まれ変わりじゃないかって思って」
「もしそうであったらロマンチックだろうな。
けど生まれ変わりだとして遺伝子の配列が違うからソイツに引っ張られる。
私は誰の味方でもなく、ただ無茶な生き方をするヤツを止めたいだけさ」
どうしてこうも似ているのだろうか?
喋り方も雰囲気も何もかも。
独自の薬品の香りが染みついた白衣と、
緑髪に片眼鏡でアオイよりも胸がふくよかな女性。
全てを見透かしているような深緑色の瞳を持ちながら
実現不可能なロマンに燃える心。
そのくせ全てが分かるから諦めが早い面倒な性格。
「ニコラス君は錬金術師だったか。
ということは人体錬成とかやっぱりやってるのか?」
「私のことはススと呼んでいただけると助かります。
人体錬成プロジェクトは大人たちが戦争が始めて頓挫する予想です。
遅かれ早かれこの技術は開発されるでしょうし。
・・・・・何故そのことを!!!!!!」
「あはははは、私実は宇宙人のクローンなんだ!
だから錬金術が何なのか知ってるし、
それ以外の分野も!!!
ああ安心してくれ、別にこの惑星を支配したいんじゃないから」
「もうちょっとマシな嘘ついてくださいな」ドン引き
高笑いしながら立ち上がる先生。
この癖も変わらないな。
「そうかそうか、別の私も保健室勤務かぁ~。
全く、宇宙人なら惑星の1個や2個侵略すればいいのに。
まぁこの星のお酒はおいしいからしょうがないな。あはははは」
よく見たらゴミ箱の中身はほとんどビール缶だ。
生徒は夏休みだからといって大人は違うでしょうに。
「火遊びなら若い内にしておくべきだな。
ホレ、私の遺伝子データ。これがあればスス君の先生も作れるはずだ」
「さらっと禁忌勧めてませんか!!!!」
プチンと自分の髪の毛を抜いて渡す先生。
人体錬成を火遊びというのはこの人だけであってほしい。
「でも不思議ですね。先生とは保険委員時代にもあっているのに。
なのに今このタイミングで昔のことを重ねるなんて」
「そんなもんさ、人間の脳なんて曖昧な物。
テストの時だって急にど忘れするだろ?
スス君の性格なら全部独りで背負いこんで頑張るから
周りが見えていない。
今日は弱っていて他人に甘えたくなったんだろ?
考え方が変わって幻影が確信に変化した。
私はそう診断する」
「そうかもしれません。過去に先生に憧れて独りで何とかしようとして
破滅して、失敗して、他人に流されて。
先生とケンカして、失望されて、仲直りもせず、
全てが空回りして・・・・どうしようもなくて。
私のせいだけれども・・・・誰も・・・・助けてくれなくて・・・・それで」
泣き崩れてる私をぎゅっと抱きしめ頭を撫でる先生。
「言葉なんて今の君には届かないだろ?」と見透かされてるようだった。
しばらくして。
「人体錬成ぐらい私もやったさ。離れ離れになった私の妹を・・・・な。
結果は失敗に終わったし、君にも成功できるかは確約できない。
それでもするのかい?」
「今は・・・する気が起きないです。
ただこうして先生の肌のぬくもりを感じていたくて。
思い出とは別人だけれど思い出と同じで。
気持ち悪いですよね。他人の代わりを求められて。
でも私は!!!!!!わたしは!!!!!!!!」
「大丈夫。ここは保健室だ。
別にケガや病気でなくとも気軽に相談に来てくれていい」
もう涙なのか鼻水なのか分かんないぐらい顔がぐちゃぐちゃで。
それでも先生は先生で。
心が積み木ならとっくに崩壊してるレベルの支離滅裂。
「失礼します。ヨーグルト買ってきました」
声?アオイ?・・・・何してるんだ私!!!
こんなとこアオイに見られたら失望されてしまう!!!
制服の袖で涙を拭き急いで先生から離れようとしたけれど
「君には友達がいるじゃないか。私にはいなかったからさ。
きっと成功する。それだけは覚えていてくれたまえ」
そんなささやきズルくないですか?
再び涙が出そうなのを堪えます。
「ああ入ってきてくれ。今麦茶入れるから」
アオイが保健室に入り”4つ”のヨーグルトを先生のテーブルに置く。
意外と整理されていてノートパソコンやペン立てぐらいだ。
どこかの誰かさんも見習ってほしいものですよ。きひひひひ。
「先生、私達以外に人いたんですか?なら錬金術の話ってタブーなんじゃ?」
私とアオイと先生はいいとして4人目はマズイ。
最悪記憶を消すことも視野に・・・。
「いいものが撮れましたよ。きひひひひひひひひひ」
「なっ!!!!!!」
忘れていた!!!!!アオイが人体錬成したコピーな私!!!!
「今すぐ消しなさい!!!!!!というか性格悪いですね!!
盗み撮りなんて!!!!」
アオイ・先生・偽物 (((人の事言える?)))
「そうですか、なら実力行使!偽物には負けませんので!!!」
「偽物?ここで勝てば私が本物!きひひひひひ」
「いいぞー!もっとやれー!
そうだアオイ君も飲むかい?
人体錬成もお酒もそんな悪い事じゃないから」缶ビールカシュッ
「未成年飲酒は犯罪ですよ?」ドン引き
スス・偽物・先生 (((人体錬成も重罪だと思うけど!!!!!)))
どんちゃん騒ぎが部活帰りの生徒に見つかり
私は偽物と合わせて反省文2枚、
先生も反省文。
アオイに関しては全員で無罪を主張し口頭での注意で決着が付いた。
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