とあるアプリで出題されたテーマから紡がれるストーリー

4話【奇跡をもう一度】

　紙切れに書かれた文字はシュウが書く字と酷似していた。少し癖のある丸文字で、文章が長くなるほど右に下がっていく。　

シュウ「この文字見れば見るほど俺の字とそっくりなんだよなぁ」

つまりは未来のシュウはこの部屋から脱出したのだろう。そう考えたシュウは……。

シュウ「だったら奇跡をもう一度起こして、また脱出すればいいだけの話じゃねぇか！」

少しばかりだが、希望が見えてきた。脱出ゲームではよくあるパターンでは身近なところにヒントが隠されている事が多い。まずは手に持った紙切れの文章から探して見てみよう。4、5分紙切れと睨めっこしてようやくたどり着いた答えが––––––。

シュウ「他に思いつかねぇ。とりま(とりあえずの略)部屋の周りから見てみるか」

だった。洋室っぽい雰囲気に床はフローリング、部屋の中央にベットが置かれている。特筆したレイアウトではない。

シュウ「大学の友人ダチと似ているなぁ」

一人暮らしを始めたばかりの、友人の家に遊びに行った時がそんなレイアウトだった。軽く一周して分かった事。

シュウ「なんか違和感あるだよな、あっ！？窓だよ！小窓一つねぇ！」

シュウはおかし過ぎて笑えていない。窓がないだけで違和感を感じ、その不自然が故にじわりじわりと恐怖を覚えつつある。シュウは中央に置かれたベットにも疑問を抱くのだった。

4話End 続く◇


お題【奇跡をもう一度】24’10/3