とあるアプリで出題されたテーマから紡がれるストーリー

9話【力を込めて】

　南十字星のような4つの点が紙切れ以外にも発見した。それは机が置かれた【南】側の白い壁だ。
白い点ではなく今度はわかり易く黒の点が4つ描かれている。

シュウ「こんなの最初見た時にはなかったぞ」

シュウは、恐る恐る4つの点を十字に指でなぞり中央にあたる部分を力を込めて押してみた。
ズボッ！？壁に指のサイズと同じ大きさの穴が空いた。空けた時の感覚が障子の和紙の部分に指を突っ込んだ時と似ていた。正直、壁をなぞっている時から見ためとは裏腹に柔らかい感触があった。ペンキや漆喰で塗っている感じとも違う、これはよくある紙で貼られたタイプなのは間違いなさそうだ。それでも人差しだけで簡単に壁を突き抜けるほど、シュウは武道派のアニメや漫画のキャラの真似事なんて出来ない、ただの凡人だ。
モブキャラに近い存在だとシュウは自負している。

シュウ「どうして壁に穴が空いたんだ。なんか分かるようで分からねぇ」

シュウは腕を組み壁の前で首を傾げる。
分かったとしても判断するにはまだ早く材料が足りない気がする。現段階では穴は1つだ。

シュウ「この(南)の壁にさっきと同じ黒い点がないか探して見るか」

見つけ次第、さっきと同じように指に力を込めてみようと思うシュウだった。

　
9話End 続く◇ 

お題【力を込めて】24‘10/8