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船星パート編
第15話【微熱】
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水泳の補習2日目。船星は昨日と同じように1コースめで泳いでいる。
水泳部の部長に教えてもらった通り息づきをすると、25m一度もプールの底に足をつけずに泳ぎ切ることが出来た。
Uターンしてもう一度25m泳いた後プールから上がる。プールサイドで体育座りをして休憩をとっていると、水の入った500㎖のペットボトルを持った男性が、船星に近づき、ペットボトルをそっと船星の頬に当て思わず———。
船星「冷たっ!?」
少し大きな声を出してしまった。
見上げると、昨日息づきを教えてくれた大柄のいい男性、水泳部の部長が隣で立って白い歯を見せながら笑っていた。
水泳部の部長「お疲れ。見てたぜ、お前の平泳ぎ。まだぎこちないが、最初(昨日)に比べたらちゃんと息づき出来てるな。家で練習したのか?」
船星は照れくさそうに、頷いた。
家でしていた息づきの練習方法は、水の張った洗面器を顔につけて10秒ごとに顔を上げる方法だ。この方法は水泳部の部長が子供の頃に通っていたスイミングスクールの先生から教えてもらったらしい。
水泳部の部長は今でこそ人に教えるほど泳ぐのが上手くなったが、子供頃は船星のように息づきが下手でよく息を止めて泳いでいて、スイミングスクールの先生にいつも怒られていたそうだ。
十分な休憩を取ったと思い、船星は再び泳ごうと立ち上がった。しかし足元がふらついてしまいそのまま倒れた。
どうやら熱中症と軽度の脱水症状それに微熱も有る。船星は大きめのタオルで体に巻き付けられ、そのまま保健室に運ばれた。
2~3時間後目が覚めた。ベッドで寝ていた船星は上半身を起こし周辺を見渡す。
船星「どうして、保健室にいるの?」
その声を聞いた。男性なのか女性なのか、外見だけでは見分けがつかない中性的な顔立ちをした保健室の先生が、カーテンを開けて船星の額に手を当てる。
保健室の先生「熱は引いたみたいですね。学年と名前言えますか?」
船星「あ、はい。1年B組、船星 渉です」
保健室の先生「気持ち悪いとかまだ体が熱いとかありますか?」
船星「いえ。ありません」
保健室の先生「そうですか。では着替えてから、今から渡す用紙を持って牛海先生の所に行って捺印貰って来て下さい。あぁ、それと水泳部の部長にお礼言って下さいね。ここまで運んで来てくれたの彼ですから」
船星「分かりました。ありがとうございます」
保健室の先生から【診察結果】と書かれた用紙を手渡された。仮病で保健室のベッドを使おうとする生徒を減らす為に作られた学校の規則だ。
枕元に置かれたTシャツをとりあえず着て、船星はプールへ向かう。水泳部の部長にお礼を言うとしたが、先に水泳部部長が船星に謝罪した。
体調不良に全く気が付かなかったのは自分のせいだと言い出した。
しかし船星は自分にも非があると言い互いに詫びる。そこへちょうど牛海がいたので、捺印を貰いたい旨を伝えると、船星から用紙を受け取り職員室へ向かう。
牛海「着替えたら、俺の机の上にこの紙を置いておくから取りに来いよ」
船星「は、はい。……あの補習は?」
牛海「ん?あぁ。今日で終わりだ。お疲れ!!」
船星は補習が終わりほっとしたと同時に少し寂しさも感じる。
せっかく知り合えた水泳部の部長に会えなくなるのが残念だなと思うのだった。
船星パート(15)話[水泳補習編(2)完結]End
お題【微熱】24‘11/27
水泳部の部長に教えてもらった通り息づきをすると、25m一度もプールの底に足をつけずに泳ぎ切ることが出来た。
Uターンしてもう一度25m泳いた後プールから上がる。プールサイドで体育座りをして休憩をとっていると、水の入った500㎖のペットボトルを持った男性が、船星に近づき、ペットボトルをそっと船星の頬に当て思わず———。
船星「冷たっ!?」
少し大きな声を出してしまった。
見上げると、昨日息づきを教えてくれた大柄のいい男性、水泳部の部長が隣で立って白い歯を見せながら笑っていた。
水泳部の部長「お疲れ。見てたぜ、お前の平泳ぎ。まだぎこちないが、最初(昨日)に比べたらちゃんと息づき出来てるな。家で練習したのか?」
船星は照れくさそうに、頷いた。
家でしていた息づきの練習方法は、水の張った洗面器を顔につけて10秒ごとに顔を上げる方法だ。この方法は水泳部の部長が子供の頃に通っていたスイミングスクールの先生から教えてもらったらしい。
水泳部の部長は今でこそ人に教えるほど泳ぐのが上手くなったが、子供頃は船星のように息づきが下手でよく息を止めて泳いでいて、スイミングスクールの先生にいつも怒られていたそうだ。
十分な休憩を取ったと思い、船星は再び泳ごうと立ち上がった。しかし足元がふらついてしまいそのまま倒れた。
どうやら熱中症と軽度の脱水症状それに微熱も有る。船星は大きめのタオルで体に巻き付けられ、そのまま保健室に運ばれた。
2~3時間後目が覚めた。ベッドで寝ていた船星は上半身を起こし周辺を見渡す。
船星「どうして、保健室にいるの?」
その声を聞いた。男性なのか女性なのか、外見だけでは見分けがつかない中性的な顔立ちをした保健室の先生が、カーテンを開けて船星の額に手を当てる。
保健室の先生「熱は引いたみたいですね。学年と名前言えますか?」
船星「あ、はい。1年B組、船星 渉です」
保健室の先生「気持ち悪いとかまだ体が熱いとかありますか?」
船星「いえ。ありません」
保健室の先生「そうですか。では着替えてから、今から渡す用紙を持って牛海先生の所に行って捺印貰って来て下さい。あぁ、それと水泳部の部長にお礼言って下さいね。ここまで運んで来てくれたの彼ですから」
船星「分かりました。ありがとうございます」
保健室の先生から【診察結果】と書かれた用紙を手渡された。仮病で保健室のベッドを使おうとする生徒を減らす為に作られた学校の規則だ。
枕元に置かれたTシャツをとりあえず着て、船星はプールへ向かう。水泳部の部長にお礼を言うとしたが、先に水泳部部長が船星に謝罪した。
体調不良に全く気が付かなかったのは自分のせいだと言い出した。
しかし船星は自分にも非があると言い互いに詫びる。そこへちょうど牛海がいたので、捺印を貰いたい旨を伝えると、船星から用紙を受け取り職員室へ向かう。
牛海「着替えたら、俺の机の上にこの紙を置いておくから取りに来いよ」
船星「は、はい。……あの補習は?」
牛海「ん?あぁ。今日で終わりだ。お疲れ!!」
船星は補習が終わりほっとしたと同時に少し寂しさも感じる。
せっかく知り合えた水泳部の部長に会えなくなるのが残念だなと思うのだった。
船星パート(15)話[水泳補習編(2)完結]End
お題【微熱】24‘11/27
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