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お風呂の前に読んだら?
しおりを挟むぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ……
「ふー、今日は災難だったな。
台風が来てるせいで濡れ鼠になるし。
きっとこんな時は、野良猫なんかも居場所を求めて彷徨うのかな。
誰にも居場所は必要だもんな。
ふー、温かい。お風呂は最高だな。こういう冷える日は本当に良い」
ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ……
天井に目をやり、伸びをする。
「お風呂に入るにしても人によっていろいろ違うよな。朝風呂、夜風呂、シャワーだけ。
体を洗うにしても、人によって体を洗う箇所が違う。
俺は朝と夜2回入るし、ゆっくり湯船に浸かりたい。体はまず頭を洗って、リンスして。体を流して、湯船に浸かる。
軽く風呂でストレッチした後、顔を洗ってって流れがセオリーだ。
だけど、今日は寒かったから全部カットして、湯船に即行使ったよ。まぁ、俺一人だし、気にしなくて良いだろう?」
ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ……
「……にしても、本当に台風は災難だよなぁ。雨が強くなったから外には碌に出られないし。
びちょびちょのままじゃ、部屋にもいられないし。
もうお風呂に入るしか、選択肢は無かったんだよなあ。
あー、にしてもなんで、アイツ、あんな話知ってたんだろ。地元だからか?
あの、通学で通る道の川。昔は毎年、嵐の後には、何かしら流れついて警察が来るとかさ。
で、去年も見つかったとかさ。そんなの聞いたら、面白そうだし暇だからって家から近いから見に行っちゃうじゃん?
まぁ、台風の中ずぶ濡れになって見に行く、俺もアホだけどさ。結局何も無かったし、うん。バカだったよな……」
ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ……
「……いや、まぁ、生きてたら、いろいろ考えちゃうし、良いことも、悪いことも、あるよな。
……なんか、さ、こう、なんていうか、俺みたいに普通に家に帰って、お風呂入る人も。
……あ!そうそう。なんか頭洗う時、目を閉じて、下向いて、シャンプーできない人、いるらしいよ。なんか、目を閉じてる間に、誰かが覗いて、いるみ、たいな?
いろいろ、想像力が豊か?みたいな?」
ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ……
「……俺は、まぁ、見えたものは、まぁ、信じるけど、きっと台風だから、……とか、いろいろ、さ」
ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ……
「……だから、あなたも、違う、よね?」
ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ…… ぽたっ……
今まで、無言で、立っていた、ずぶ濡れの女が、俺の方を見て、にやって、笑ったんだ。
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