6 / 26
第0章 天界
初2日目 (選択)
しおりを挟むまた天使見習いのアンの講義である。
「今日は、皆さんのこれからのことをお話しま-す。
皆さんはこれからどうなると思いますか?
初めて死んだ方もいると思うので、よ――く聞いてくださいね。
選択を誤ると大変なことになるかもしれませーん」
見習い天使アンは腰に手をあて、人差し指1本を立てる。
ミニスカに天使の羽をつけている。……なんか色っぽい。
「選択1でーす。 一番多い選択肢ですが、現世で生まれ変わりまーす。
――ただこれは、皆さんが死ぬ前に行ってきたことが反映されまーす。
つまり、善い行いをたくさんした人、努力した人は生まれ変わるともっと良い人生を歩めるかもしれませーん。でも、皆さんはK組です。言わなくても分かりますね。
――でも言っちゃいます。フフ、あまり変わり映えのしない人生でしょう」
中指を立て、指2本目を立てた。
「選択2でーす。 過去に遡りまーす。
……まぁやり直したい人にはいいかもしれませんが、同じ人間にはなれませんし、遡る時間もランダムでーす」
薬指を伸ばし、指3本目を立てた。
「選択3でーす。 現世の人の守護霊をしながら修行をしまーす。
だいたいはあなたの子孫を守ってもらいまーす。
何から守るかって?」
皆、何だろうという顔をしている。
「それはもちろん悪霊でーす」
「地縛霊が多いですが、中には恨み・辛みなどの人間の感情から守らないといけない場合もありまーす。
でも、もちろん霊なので、物理的なことから守ることはできませーん」
――霊と霊は戦えるのかな?
「基本的には話しかけることもできませんし、孤独な戦いとなりま~す。
だから修行なのでーす。
その方が亡くなるまで守り続けることになりますが、途中で止めてここに戻ってくることもできまーす。
でも、その場合は修行失敗となり、ペナルティがつきまーす。
見事成功すれば、その年数と成果によって階級が上がりま~す」
質問してみようかな。
「先生、ペナルティってどうなるんですか?」
「はい。例えば、今はK組ですが、1年くらいで戻ってくるとP組くらいまで下がる感じかな」
――1年で5段階も下がるとか、とんでもないな。
見習い天使は、小指を伸ばし、4本指を立てた。
「最後の選択4でーす。神との契約により、異世界に行きまーす」
『異世界』……この言葉が出たとき、会場がざわめいた。
「皆さーん。静かにしてくださぁーい!
異世界はたぶんあなた方には未知の世界でーす。
あまりお勧めはできませんし、異世界の神が皆さんを拒否した場合には行くことはできませーん。
何か特殊な能力、現世でオリンピック選手だったとか、とても有名な画家やミュージシャンなどごく限られた方が選ばれやすくなっていまーす。
K組の皆さんは期待しないようにしてくださいね。
なお、落選された場合は、選択3に自動的に回されまーす」
まだ会場は騒めいている。
「この人神世界では、現世に戻ると人間の場合は前世の記憶はなくなりま~す。でもその記憶はなくなったわけではなくて、深層記憶に入っていま~す。ここでの講義も深層記憶に記録されているので、しっかり覚えてくださいね」
――ということは、人間以外の場合は記憶はあるんだ。
「それから皆さんは、初6日までにどれかを選んでくださいね。
何も選べなかった方も、選択3になりまーす」
今日を入れて5日のうちに決めないといけないようだ。
まだ時間はあるし、よく考えて決めることにしよう。
でも人間はともかく、猫やカエルなどの動物はこの講義の内容は理解できるのだろうか?
ふと隣にいる、黒猫「クロ」に聞いてみた。
「ここの説明は、イメージで入ってくるからあまり理解に苦しまないにゃ。
猫族はほとんど人間語のことは解釈してるんだにゃん。
ただ、声帯が違うから話せないだけにゃ。
その点、猫族の言葉は世界共通語だけど、イントネーションの違いがあって猫語を聞き分けるのは人間には困難だにゃん」
声帯が違うから人間語は話せないんじゃなかったのか?
霊界にきた時点で話せるようになったんだろうか。
まぁ、そういうことにしておこう。
あれ? なぜクロって名前が分かったんだろう?
深層記憶だろうか? 天界はそういう場所なのかな。気にしないでおこう。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる