19 / 26
第Ⅰ期 Lip Magic Generations 結成
7 マーメイド
しおりを挟む
(1) 海水浴
夏だ。海だ。涙の海水浴だぁ~~
苦節耐える事6年、やっと乙女の胸が膨らみ始める頃、海水浴に来ることができたぁー!
海水浴といっても、これも修行(けっして遊びではない!)の一環である。
この海水浴場の海岸線を歩いていくと洞窟がある。そこが魔窟だ。
でも、折角だし楽しまないとね。
今回は、中級レベルの生徒(クロ、蓮月、碧衣、紅々李、日葵、瑠璃、その他男子数名)と、引率として梅村先生と美夜が来ている。夏休みになり、例のごとく合宿するのだが、今年はいつもの幽霊屋敷ではなく、海での修行である。
去年から私も中級レベルになったので、海の合宿に参加したかったのだが、幽霊屋敷の手続きを済ませるため、泣く泣く幽霊屋敷の修行に臨時講師(一応中級レベルなので、剣術では先生である)として行ってきた。
毎年、地縛霊の面接をするのは面倒なので、浄化(お祓いのできる先生)と面接は寺子屋に委託することにしたのだ。
合宿先の温泉宿までは、江戸から九十九里浜まで馬車で移動した。九十九里は、見晴らし良く日本一海岸線が長い。波に乗っているサーファーも多い。
実は海には始めて来た。当然、妹もである。
格好よく泳いでみせたかったが、泳げない……いわゆる金槌というやつか。
そういうこともあり、海に入っても腰くらいまでである。女子たちとビーチボールをしたり、砂山を作って遊んだ。女子たちとビーチボールをするとどうしても胸に目がいってしまうが、梅村先生を除き、揺れるようなものはない。
女子は梅村先生を恨めしそうに見ていたが、「そのうち私だって」……と握りこぶしを作っていた。男子たちとも、ついでに海で水を掛け合って遊ぶ。
泳ぎがうまいものがいて、海の中から足を引っ張られて、少し溺れそうになった。――ああいう危険な遊びは止めてほしいものである――頭は濡れるし、格好悪いじゃないか(泣)……ま、いいけどね。楽しいし(笑)
妹とは、両手をとって泳ぎの練習である。まずは、バタ足から……自分は泳げなくていいのか?
そんなこんなで一通り遊んだあと、さぁ修行である。
(2) 洞窟(ダンジョン)
夏休みの合宿、1日目は海水浴を楽しんだが、2日目は魔窟の探索だ。
この魔窟も中級レベルの修行を行うこともあり、そんなに攻略レベルは高くない。とはいえ、レベルの低い弱い魔物は出る。深部に行くと、少し強い魔物も出るそうだ。
今回は、5人グループで探索する。引率は美夜だ。
前衛は私とクロ、中衛は美夜、後衛は蓮月と瑠璃という構成にした。ただし、美夜は引率のため、極力手は出さず、様子を見るとのこと。
海水浴場から海岸線に沿って北上していき、岩礁を上り下りした先にその洞窟はあった。まだ昼間なのに、冷っとした感じがする。洞窟の入口から中に入る。
少し暗くなってきたところで、「バタバタバタッ」と音がする。
みんな身構え、各々真剣を持つ。寺子屋の稽古場とは違い、それぞれ親にもらった真剣を身につけている。
黒いコウモリが出てきた。――驚いたぁ
「みんな最初からそんなに緊張してると、長続きしないよ」
美夜は笑みを浮かべ余裕の表情だ。
「私は周りを注意してみるけど、前衛は前方だけ、後衛は後ろだけ注意してね」
しばらく奥に進むと、水晶が薄暗く点っている。魔窟兼訓練場だから多少明かりを入れているのだろう。
クロは生まれながら、種族の特性もあって夜目が利く。今日は黒い忍者姿をしている。
蓮月は音に敏感だ。これも種族特性だ。スキルとは少し違う。
蓮月が奥で岩が崩れる音に気づく。皆、刀を鞘から抜き、身構えながら更に奥に進む。
魔物が現れた! スライムだ……なんか、かわいい。
スライムは、身を揺らしながら襲ってくる。こんなかわいい魔物を傷つけていいのか迷うが、余計な雑念は振り払い、戦うことにする。
剣で切りつけたが、二つに別れたあと、また一つになる。クロも短剣でみじん切りにしたが、また元に戻った。
――意外と強いぞ。
美夜は後ろで微笑んでいる。
美夜がスライムに刀を向けて教えてくれる。
「魔物にはそれぞれ急所があるの。目であったり、首筋であったり、足首だったりね。スライムは透明になってるから分かり易いけど、スライムの中にある少し濃い玉が見えるかしら。それが急所よ」
教えてもらったとおりに、急所を狙ってみた。
スライムは、蒸発して魔核を残して消えていった。その破片を回収し袋に入れておく。スライムは植物性の魔物で傷薬の材料になる。
さらに奥に行くと、大小様々なスライムが数匹出てきた。美夜を除く4人で戦う。
互いに連携をとりつつ、的確に急所を狙っていく。
急所が分かってしまえば、スライムは楽に倒せた。
――◇●◇――
洞窟に入って2時間、約30匹程のスライムを退治したところで、今日は引き上げる。帰ってくるのに2時間、途中にもスライムが出現し、出口に戻るまでに約50匹程仕留めた。――かなり薬の材料も貯まったぞ。
スライムは、粘液質で切るたびに体液が飛ぶから身体がベトベトだ。
「早く帰って、温泉に入ろう。」
潮風に吹かれながら海岸線を歩き、温泉宿に戻った。
「フー疲れた~~」蓮月、瑠璃らもくたくただ。
確かに疲れた。他の組も無事みたいだ。
洞窟は3箇所あり、それぞれ別の入口に入って探索する。奥で繋がっているところもあるが、かなり奥に入らないと合流しない。それぞれ、魔物の種類が違うそうだ。
早速、温泉の洗い場でベトベトの粘液を洗い流した。
この粘液も何かに使えそうだ。どんな成分が入っているか調べてみよう。
温泉に入り、まったりする。
「温泉って気持ちいいな……ここは海が近いから、塩泉だな。若干硫黄も入ってるな」なんて、温泉の泉質を分析しながら入っていた。
例の如く、男子が入ってきて騒がしくなる。まぁ合宿だからしょうがない。
今日の魔物について情報交換しながら、温泉に入った。明日の修行はない。
ここの修行は1日おきに行われる。明日は自由時間。また海水浴だ。
(3) マーメイド
今日は天気はいいが、海が少し荒れている。
サーフィン日和だな――できないけど。
今日も海水浴だ。
女子は、お肌が焼けないようにしっかりお手入れしているが、クロは気にせずそのままだ。今日もまた、それぞれビーチバレー、水泳、砂山遊びに興じている。
私はビーチパラソルを開き、砂の上に寝ていた。
日差しはキツイが、海の風が心地よい。しばらく寝ていたら、妹に起こされ水泳の練習に付き合わされた。
うまいものだ。もうすでにクロールができるようになっている。本当に何をやらせても上達が早いな。私は、まだ足が立つところで、不格好な平泳ぎのようなものしかできない。
――○●○――
妹が「少し泳いでくる」といって、少し沖の方に行ってしまった。
置いてけぼりだ。見てると、すごい勢いで離れていく。
……ずいぶん、上達したな……って思っていたら、少し様子が変だ。
潮に流されてるんじゃないか?
「瑠璃!!」 念波で大きな声で叫ぶ。
瑠璃は振り返り、沖に流されたことに気がついたようだ。
慌てて、こちらに戻ろうとするが、潮の流れが強く戻ってこれないらしい。
「おにいちゃん!!」って念波で叫んでいる。
瑠璃はそのまま姿が見えなくなった。慌てて、瑠璃を追いかける。
★瑠璃視点
「瑠璃!!」 お兄ちゃんの声が頭に聞こえる。
振り返ると、お兄ちゃんが遠くに見える。――こんなに遠くまで泳いできたんだ。
『戻らないと』……えっ全然前に進まない!……足が疲れてきた。
「――アゥ――」 大きな波が来る
「おにいちゃん!」あっしまった。お兄ちゃんを呼んでしまった。
まだ、泳げないのに……「お兄ちゃん来ちゃダメ」
波間から太陽の光芒が振りそそいでいる。……このまま海に沈んじゃうのかな?
海ってきれいだな……息がもうできない。
――あっお兄ちゃんだ。『来ちゃダメ――』
……意識が遠のいていく…… …… ……
――◆□◇――
その時、瑠璃の身体が瑠璃色の光に包まれるように、輝いた。
『水の精霊』が瑠璃の周りに集まってくる。
すると人魚が近づいてきて、瑠璃とショウを掴み、海面から飛び上がった。
バッシャーン!!
海面を叩きつけるような音の後、マーメイドは砂浜まで2人を運んでいった。
2人は意識を失っていた。
真っ先に異変に気がついた、美夜とクロ、日葵が集まってきた。その後、梅村先生や紅々李、蓮月、碧衣たちも遠くから次々集まってくる。
陸に上がったマーメイドはとても息切れしている。
クロがショウに、美夜が瑠璃に人工呼吸を始めた。
心臓の位置にある胸の中央を30回押す、次に2回息を吹き込む。その繰り返しだ。5回くらい繰り返したところで、ショウは海水を吹き出した。
「……ゴホッ。ハーハーハァー ――」
むせたあと、深呼吸する。(頭の中に黒い炎が燃え上がった)
妹は! 大丈夫なのか?
隣を見ると、妹が人工呼吸されている。
「瑠璃!! まだ死んじゃダメだ!」……オレは妹に叫び、揺り動かす。
間もなく、妹も激しく咳き込んで、意識を取り戻した。
――良かったぁ――周りを見渡すと集まってきた仲間が、心配そうに青い顔をして覗き込んでいた。
「みんなごめん。というより本当にありがとう。助かった。妹も助けてもらって本当にありがとう」私は涙ぐみながらお礼を言った。
「おにいちゃん!!」
正気に戻った妹が、オレを抱きしめキスをしてきた。……ちょっとびっくりしたが、6歳だし気が動転しているんだろう。あまり気にしないことにしよう。
周りはかなり驚いていたようだが――アレッ 瑠璃色の炎が瞬いている。
妹は泣きながら、
「怖かったぁ。お兄ちゃんが助けてくれたの?」と聞いてきた。
「助けには行ったけど、オレも溺れてしまって、その後のことは覚えてないんだ」
「あのマーメイドが助けてくれたんだよ」と美夜が教えてくれる。
私はふらつきながら人魚のところに行き、
「本当にありがとうございます。助かりました。なんてお礼を言っていいか……」
「あ、はい。驚きました。海を泳いでいたら、遠くから二人を見かけたんです。そしたら、あちらの方が光って、――あれはそう、水の精霊の加護ですね。精霊が呼んでるのが聞こえて、2人を掴んで、後は無我夢中で……助かってよかったです」
マーメイドは尾ひれをパタパタさせ、安堵した表情だ。
「そうですか。助かりました。このお礼はいずれなにかの時にお返ししないと。 ――もし、困ったことがあったら、私を頼ってください。オレは「立花 翔」っていいます」
今の私に何かできるわけではないが、こう言わずにはおれなかった。
「ん? あなたも少し水の精霊の加護があるような? でも少し違うかな。いずれまた会うこともあるような気がします。…あちらの方は妹さんですか? これからもよろしくお願いしますね」
マーメイドは私にウインクしてきた。
「はい! こちらこそよろしくお願いします」
初めて見るとても美しいマーメイドにカチコチになってお礼をした。
「もしできればなんですけど……私たちあんまり洞窟には入らないんですね。洞窟の中に悪さをするタイ魔王いるんです。いつも私たちが愛し合ってると、邪魔をしにくるんです。タイ魔王を退治してくれるとうれしいかな」
「大魔王ですね。かなり強そうな魔物のようですが、皆と協力して倒してみたいと思います」
「無理しないでくださいね。いずれ皆さんが強くなってからでいいので」
大魔王だもんな。今すぐには倒せないような気がする。いずれ、きっと!
そして人魚は海に戻っていった。――マーメイドって本当に綺麗だな。
私は、思いがけず2つのスキルを取得してしまったようだ。
――★☪★――
夕日が落ち、クロに誘われて、天の川が見える夜の浜辺を歩いている。
クロは浴衣姿だ。
昼間に人工呼吸とはいえ、口づけをした仲だし、ちょっと気不味い。
「クロ、ほんとにありがとう」
「ほんとだにゃん。すごいびっくりしたんだから……また死んじゃうんじゃないかって思って」
――え? また?
「あたしね、変身できるようになったんだにゃん。ほら」と言って猫に変身した。
猫の姿のままで
「好きな人とキスすると変身できるんだにゃん」
――って、それってある意味告白だよね。
クロはまた元の姿に戻った。
人以外の種族は、変身ができる。
ただそれには条件があり、好きな相手に対して口づけをすることであった。
「オレもクロのことは好きだよ。でももっと前から好きだったような気がする。 また死んだって、前世からオレのこと知ってるってこと?」
「ふふ~ ないしょ。 もっともっと前かな~ もっと親密な関係になったら、教えてあげるにゃ」
クロは謎めいているよなぁと思いつつ、夜の浜辺ということもあり、人工呼吸ではなく、
――本当の『キス』をした――
夏だ。海だ。涙の海水浴だぁ~~
苦節耐える事6年、やっと乙女の胸が膨らみ始める頃、海水浴に来ることができたぁー!
海水浴といっても、これも修行(けっして遊びではない!)の一環である。
この海水浴場の海岸線を歩いていくと洞窟がある。そこが魔窟だ。
でも、折角だし楽しまないとね。
今回は、中級レベルの生徒(クロ、蓮月、碧衣、紅々李、日葵、瑠璃、その他男子数名)と、引率として梅村先生と美夜が来ている。夏休みになり、例のごとく合宿するのだが、今年はいつもの幽霊屋敷ではなく、海での修行である。
去年から私も中級レベルになったので、海の合宿に参加したかったのだが、幽霊屋敷の手続きを済ませるため、泣く泣く幽霊屋敷の修行に臨時講師(一応中級レベルなので、剣術では先生である)として行ってきた。
毎年、地縛霊の面接をするのは面倒なので、浄化(お祓いのできる先生)と面接は寺子屋に委託することにしたのだ。
合宿先の温泉宿までは、江戸から九十九里浜まで馬車で移動した。九十九里は、見晴らし良く日本一海岸線が長い。波に乗っているサーファーも多い。
実は海には始めて来た。当然、妹もである。
格好よく泳いでみせたかったが、泳げない……いわゆる金槌というやつか。
そういうこともあり、海に入っても腰くらいまでである。女子たちとビーチボールをしたり、砂山を作って遊んだ。女子たちとビーチボールをするとどうしても胸に目がいってしまうが、梅村先生を除き、揺れるようなものはない。
女子は梅村先生を恨めしそうに見ていたが、「そのうち私だって」……と握りこぶしを作っていた。男子たちとも、ついでに海で水を掛け合って遊ぶ。
泳ぎがうまいものがいて、海の中から足を引っ張られて、少し溺れそうになった。――ああいう危険な遊びは止めてほしいものである――頭は濡れるし、格好悪いじゃないか(泣)……ま、いいけどね。楽しいし(笑)
妹とは、両手をとって泳ぎの練習である。まずは、バタ足から……自分は泳げなくていいのか?
そんなこんなで一通り遊んだあと、さぁ修行である。
(2) 洞窟(ダンジョン)
夏休みの合宿、1日目は海水浴を楽しんだが、2日目は魔窟の探索だ。
この魔窟も中級レベルの修行を行うこともあり、そんなに攻略レベルは高くない。とはいえ、レベルの低い弱い魔物は出る。深部に行くと、少し強い魔物も出るそうだ。
今回は、5人グループで探索する。引率は美夜だ。
前衛は私とクロ、中衛は美夜、後衛は蓮月と瑠璃という構成にした。ただし、美夜は引率のため、極力手は出さず、様子を見るとのこと。
海水浴場から海岸線に沿って北上していき、岩礁を上り下りした先にその洞窟はあった。まだ昼間なのに、冷っとした感じがする。洞窟の入口から中に入る。
少し暗くなってきたところで、「バタバタバタッ」と音がする。
みんな身構え、各々真剣を持つ。寺子屋の稽古場とは違い、それぞれ親にもらった真剣を身につけている。
黒いコウモリが出てきた。――驚いたぁ
「みんな最初からそんなに緊張してると、長続きしないよ」
美夜は笑みを浮かべ余裕の表情だ。
「私は周りを注意してみるけど、前衛は前方だけ、後衛は後ろだけ注意してね」
しばらく奥に進むと、水晶が薄暗く点っている。魔窟兼訓練場だから多少明かりを入れているのだろう。
クロは生まれながら、種族の特性もあって夜目が利く。今日は黒い忍者姿をしている。
蓮月は音に敏感だ。これも種族特性だ。スキルとは少し違う。
蓮月が奥で岩が崩れる音に気づく。皆、刀を鞘から抜き、身構えながら更に奥に進む。
魔物が現れた! スライムだ……なんか、かわいい。
スライムは、身を揺らしながら襲ってくる。こんなかわいい魔物を傷つけていいのか迷うが、余計な雑念は振り払い、戦うことにする。
剣で切りつけたが、二つに別れたあと、また一つになる。クロも短剣でみじん切りにしたが、また元に戻った。
――意外と強いぞ。
美夜は後ろで微笑んでいる。
美夜がスライムに刀を向けて教えてくれる。
「魔物にはそれぞれ急所があるの。目であったり、首筋であったり、足首だったりね。スライムは透明になってるから分かり易いけど、スライムの中にある少し濃い玉が見えるかしら。それが急所よ」
教えてもらったとおりに、急所を狙ってみた。
スライムは、蒸発して魔核を残して消えていった。その破片を回収し袋に入れておく。スライムは植物性の魔物で傷薬の材料になる。
さらに奥に行くと、大小様々なスライムが数匹出てきた。美夜を除く4人で戦う。
互いに連携をとりつつ、的確に急所を狙っていく。
急所が分かってしまえば、スライムは楽に倒せた。
――◇●◇――
洞窟に入って2時間、約30匹程のスライムを退治したところで、今日は引き上げる。帰ってくるのに2時間、途中にもスライムが出現し、出口に戻るまでに約50匹程仕留めた。――かなり薬の材料も貯まったぞ。
スライムは、粘液質で切るたびに体液が飛ぶから身体がベトベトだ。
「早く帰って、温泉に入ろう。」
潮風に吹かれながら海岸線を歩き、温泉宿に戻った。
「フー疲れた~~」蓮月、瑠璃らもくたくただ。
確かに疲れた。他の組も無事みたいだ。
洞窟は3箇所あり、それぞれ別の入口に入って探索する。奥で繋がっているところもあるが、かなり奥に入らないと合流しない。それぞれ、魔物の種類が違うそうだ。
早速、温泉の洗い場でベトベトの粘液を洗い流した。
この粘液も何かに使えそうだ。どんな成分が入っているか調べてみよう。
温泉に入り、まったりする。
「温泉って気持ちいいな……ここは海が近いから、塩泉だな。若干硫黄も入ってるな」なんて、温泉の泉質を分析しながら入っていた。
例の如く、男子が入ってきて騒がしくなる。まぁ合宿だからしょうがない。
今日の魔物について情報交換しながら、温泉に入った。明日の修行はない。
ここの修行は1日おきに行われる。明日は自由時間。また海水浴だ。
(3) マーメイド
今日は天気はいいが、海が少し荒れている。
サーフィン日和だな――できないけど。
今日も海水浴だ。
女子は、お肌が焼けないようにしっかりお手入れしているが、クロは気にせずそのままだ。今日もまた、それぞれビーチバレー、水泳、砂山遊びに興じている。
私はビーチパラソルを開き、砂の上に寝ていた。
日差しはキツイが、海の風が心地よい。しばらく寝ていたら、妹に起こされ水泳の練習に付き合わされた。
うまいものだ。もうすでにクロールができるようになっている。本当に何をやらせても上達が早いな。私は、まだ足が立つところで、不格好な平泳ぎのようなものしかできない。
――○●○――
妹が「少し泳いでくる」といって、少し沖の方に行ってしまった。
置いてけぼりだ。見てると、すごい勢いで離れていく。
……ずいぶん、上達したな……って思っていたら、少し様子が変だ。
潮に流されてるんじゃないか?
「瑠璃!!」 念波で大きな声で叫ぶ。
瑠璃は振り返り、沖に流されたことに気がついたようだ。
慌てて、こちらに戻ろうとするが、潮の流れが強く戻ってこれないらしい。
「おにいちゃん!!」って念波で叫んでいる。
瑠璃はそのまま姿が見えなくなった。慌てて、瑠璃を追いかける。
★瑠璃視点
「瑠璃!!」 お兄ちゃんの声が頭に聞こえる。
振り返ると、お兄ちゃんが遠くに見える。――こんなに遠くまで泳いできたんだ。
『戻らないと』……えっ全然前に進まない!……足が疲れてきた。
「――アゥ――」 大きな波が来る
「おにいちゃん!」あっしまった。お兄ちゃんを呼んでしまった。
まだ、泳げないのに……「お兄ちゃん来ちゃダメ」
波間から太陽の光芒が振りそそいでいる。……このまま海に沈んじゃうのかな?
海ってきれいだな……息がもうできない。
――あっお兄ちゃんだ。『来ちゃダメ――』
……意識が遠のいていく…… …… ……
――◆□◇――
その時、瑠璃の身体が瑠璃色の光に包まれるように、輝いた。
『水の精霊』が瑠璃の周りに集まってくる。
すると人魚が近づいてきて、瑠璃とショウを掴み、海面から飛び上がった。
バッシャーン!!
海面を叩きつけるような音の後、マーメイドは砂浜まで2人を運んでいった。
2人は意識を失っていた。
真っ先に異変に気がついた、美夜とクロ、日葵が集まってきた。その後、梅村先生や紅々李、蓮月、碧衣たちも遠くから次々集まってくる。
陸に上がったマーメイドはとても息切れしている。
クロがショウに、美夜が瑠璃に人工呼吸を始めた。
心臓の位置にある胸の中央を30回押す、次に2回息を吹き込む。その繰り返しだ。5回くらい繰り返したところで、ショウは海水を吹き出した。
「……ゴホッ。ハーハーハァー ――」
むせたあと、深呼吸する。(頭の中に黒い炎が燃え上がった)
妹は! 大丈夫なのか?
隣を見ると、妹が人工呼吸されている。
「瑠璃!! まだ死んじゃダメだ!」……オレは妹に叫び、揺り動かす。
間もなく、妹も激しく咳き込んで、意識を取り戻した。
――良かったぁ――周りを見渡すと集まってきた仲間が、心配そうに青い顔をして覗き込んでいた。
「みんなごめん。というより本当にありがとう。助かった。妹も助けてもらって本当にありがとう」私は涙ぐみながらお礼を言った。
「おにいちゃん!!」
正気に戻った妹が、オレを抱きしめキスをしてきた。……ちょっとびっくりしたが、6歳だし気が動転しているんだろう。あまり気にしないことにしよう。
周りはかなり驚いていたようだが――アレッ 瑠璃色の炎が瞬いている。
妹は泣きながら、
「怖かったぁ。お兄ちゃんが助けてくれたの?」と聞いてきた。
「助けには行ったけど、オレも溺れてしまって、その後のことは覚えてないんだ」
「あのマーメイドが助けてくれたんだよ」と美夜が教えてくれる。
私はふらつきながら人魚のところに行き、
「本当にありがとうございます。助かりました。なんてお礼を言っていいか……」
「あ、はい。驚きました。海を泳いでいたら、遠くから二人を見かけたんです。そしたら、あちらの方が光って、――あれはそう、水の精霊の加護ですね。精霊が呼んでるのが聞こえて、2人を掴んで、後は無我夢中で……助かってよかったです」
マーメイドは尾ひれをパタパタさせ、安堵した表情だ。
「そうですか。助かりました。このお礼はいずれなにかの時にお返ししないと。 ――もし、困ったことがあったら、私を頼ってください。オレは「立花 翔」っていいます」
今の私に何かできるわけではないが、こう言わずにはおれなかった。
「ん? あなたも少し水の精霊の加護があるような? でも少し違うかな。いずれまた会うこともあるような気がします。…あちらの方は妹さんですか? これからもよろしくお願いしますね」
マーメイドは私にウインクしてきた。
「はい! こちらこそよろしくお願いします」
初めて見るとても美しいマーメイドにカチコチになってお礼をした。
「もしできればなんですけど……私たちあんまり洞窟には入らないんですね。洞窟の中に悪さをするタイ魔王いるんです。いつも私たちが愛し合ってると、邪魔をしにくるんです。タイ魔王を退治してくれるとうれしいかな」
「大魔王ですね。かなり強そうな魔物のようですが、皆と協力して倒してみたいと思います」
「無理しないでくださいね。いずれ皆さんが強くなってからでいいので」
大魔王だもんな。今すぐには倒せないような気がする。いずれ、きっと!
そして人魚は海に戻っていった。――マーメイドって本当に綺麗だな。
私は、思いがけず2つのスキルを取得してしまったようだ。
――★☪★――
夕日が落ち、クロに誘われて、天の川が見える夜の浜辺を歩いている。
クロは浴衣姿だ。
昼間に人工呼吸とはいえ、口づけをした仲だし、ちょっと気不味い。
「クロ、ほんとにありがとう」
「ほんとだにゃん。すごいびっくりしたんだから……また死んじゃうんじゃないかって思って」
――え? また?
「あたしね、変身できるようになったんだにゃん。ほら」と言って猫に変身した。
猫の姿のままで
「好きな人とキスすると変身できるんだにゃん」
――って、それってある意味告白だよね。
クロはまた元の姿に戻った。
人以外の種族は、変身ができる。
ただそれには条件があり、好きな相手に対して口づけをすることであった。
「オレもクロのことは好きだよ。でももっと前から好きだったような気がする。 また死んだって、前世からオレのこと知ってるってこと?」
「ふふ~ ないしょ。 もっともっと前かな~ もっと親密な関係になったら、教えてあげるにゃ」
クロは謎めいているよなぁと思いつつ、夜の浜辺ということもあり、人工呼吸ではなく、
――本当の『キス』をした――
0
あなたにおすすめの小説
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく
かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。
ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!?
俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。
第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。
「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」
信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。
賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。
様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する!
異世界ざわつき転生譚、ここに開幕!
※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。
※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。
無能妃候補は辞退したい
水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。
しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。
帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。
誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。
果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか?
誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ
シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。
だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。
かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。
だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。
「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。
国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。
そして、勇者は 死んだ。
──はずだった。
十年後。
王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。
しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。
「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」
これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。
彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
SSSレア・スライムに転生した魚屋さん ~戦うつもりはないけど、どんどん強くなる~
草笛あたる(乱暴)
ファンタジー
転生したらスライムの突然変異だった。
レアらしくて、成長が異常に早いよ。
せっかくだから、自分の特技を活かして、日本の魚屋技術を異世界に広めたいな。
出刃包丁がない世界だったので、スライムの体内で作ったら、名刀に仕上がっちゃった。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる