スキルマスター

とわ

文字の大きさ
10 / 57
第一章 ムーン・ブル編

第10話 例外

しおりを挟む
「わかったわ。それじゃあ、ついでにちょっとだけ体を強くしておくわ。それと、忘れるといけないから先に向こうの世界の日にちのことを話しておくわ。子供でも知ってることだから聞き辛いでしょう?」

(凄いご機嫌だな。損のない話だし、ここはひとつ、お世辞でも言っとくか)

「それは助かる! 日にちも、是非、教えてくれ!」

 超ご機嫌な様子の女神は、前のめりで疑問に尋ねた。温和な俺は、頬を緩めて思考し、両手を左右に広げて語気を強めて返事を戻した。超ご機嫌な女神は、益々超ご機嫌な笑顔を見せる。

「まずは、1年って言うのは12か月に分かれてて、1か月は30日あるの。だから、1年間の日にちは360日になるの。あとは、あなたが居た世界と同じように曜日があって四季もあるの。四季はあなたの世界だと変わりそうだから一応話しとくけど、春、夏、秋、冬に分かれてて、だいたい3か月ぐらいで変わるわ。

 他に忘れそうなことは…、そうだわ。世界観は、あなたが居た世界と似てる部分が沢山あるわ。だからたぶん、そんなに戸惑わなくて生活できると思うけど…、違う部分も同じように沢山あるから、そのあたりのことは向こうに着いたら自分で確かめてみて。それと100人目記念の細工もしておいて………。

 ねえねえちょっと聞いてくれる~? 歳もそうなんだけど体を強くする事も凄いことなの。あなたは運がいいわ。私に感謝なさいね。こんな事、今までの子達にはできなかったんだから。なんでできなかったて言うとね、これには決まりがあってね、100人目じゃないとダメだって言われててね。ホント面倒臭い決まりよね。私の世界なんだから好きにさせてくれればいいのに。でもね、私、最近、例外って言葉を覚えたの。勿論この言葉を知らなかったわけじゃないわ。でもね、これを付ければなんだってできることに気付いたの。歳を変えたり体を強くすることは本当はダメなんだけど、これで書き換えてやったわ。ホント便利な言葉よね。他の子達にも色々付けてあげたかったわ。うちの御神達は頭悪いんだから嫌になっちゃうわよね。仕事でこの間キノコ狩りに行った時なんて酷いのよ。女神だから簡単に死なないからって言って私に毒キノコを食べさせたの。じゃあ、同じ神なんだからあなた達も食べなさいって言ったらなんて応えたと思う? 嫌に決まってるだろう。そんなのバカがやることだ。ぎゃははは! って腹を抱えて笑ったの。そのあと私は案の定お腹を壊して寝込んで顔の付いたキノコが怖くなったわ。あんなのホントにパワハラよ。自分がやられて嫌だって思うことは、他人にやっちゃいけないって何で気付けないのかしら。ううん。あの様子だと、その意味をまったく分かってないんじゃないかしら。御神達は本当に頭が膿んでるわ。私、ああいう大バカは大、大、大っ嫌いなの! それと私、小物が好きなの。狭間の世界は、こんなところでしょう。何も売ってないし、自分で用意できるけどこういうのは誰かにプレゼントしてほしいの。ホントに職場の改善を強く願うわ。それと他には、ああ、そうだったわ。その記念のせいであれが変わるけど、それはいいわね。食べたキノコみたいに毒じゃないから特に影響ないわ。それからね、」

「ちょちょちょ、ちょっと待て! 色々言いたいが! あ~なんだ…。とりあえず、100人目記念ってなんだ?」

 普通に話し始める女神は、途中から早口かつ表現豊かにして話し続けていた。平穏な俺は、話を興味深いと聞き始め、途中から視線を逸らして仕事の愚痴は聞きたくないと渋顔を作りながらこの様子では永遠にこれを聞かされるのではないかと不安を募らせ、聞き捨てならない内容を耳にしたと目を丸く開いて視線を慌てて戻して話を中断させるために両腕を伸ばすと同時に声を強く上げ、その後に疑問に尋ねた。話を中断する女神は、視線を俺と合わせた直後に目を驚くかのように大きく見開くと同時に口元を両手で咄嗟に抑え込む。

(ふう~。この女神、おだてると暴走するタイプだな。会社の新入社員みたいだ…。いやそれより、日にちのことは分かったが、その記念って100人目記念のことだよな? 100人目記念が細工って、なんか納得いかないんだが…。早口で愚痴を混ぜるから全部は分からなかったが、あれとか…、なんか言ったな?)

 一時的に安堵な俺は、体を左側に向けて腕組し、右手の指を眉間に当てて内容を整理しようと疑問に思考した。女神を横目にする。微動だにしない女神は瞳孔が開いているように見える。

(やばいな。急がないと)

「ええっと~、それから~…」

(だが、何から聞けばいいんだ?)

「わっ、私ったら…。普段、愚痴をこぼす相手が居なかったからついしゃべり過ぎちゃったわ。ごめんなさいね。すぐやるわね」

「いやそうじゃなくて!」

『ヴワッ!』

「うわっ!」

 危機な俺は、横目を戻してこの手の暴走は容易に防げないために一刻を争うと思考した。眉間に皺を深く寄せながら時間稼ぎのために声を漏らし、目を閉じて疑問に思考した。言葉を詰まらせる女神は、動揺のためか再び早口で話した。最上級に危機な俺は、暴走の再開が早過ぎると再び目を丸く開いて体を慌てて女神に向けると同時に右腕を伸ばして早口で強く声を上げた。女神からの突然の突風にスーツが逆巻いて音を発した。意表な俺は、思わず仰け反ると同時に声を強く上げていた。後方に数歩よろめいて立ち止まる。直ちに顔を女神に向ける。既に俯き加減で両手を胸元で祈りを捧げるように結ぶ女神は、まるで詠唱するようにしていた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

「美少女157人も召喚できるだと!?」社畜の俺、尖ったトラウマを全部『まあるく』収めて大賢者になる。── やっぱりせかいはまあるいほうがいい

あとりえむ
ファンタジー
『ヒロイン全員 挿絵付き』の異世界セラピーファンタジー。あなたの推しのヒロインは誰ですか? 「やはり、世界は丸いほうがいい……」 過労死した元データアナリスト参 一肆(まいる かずし)が女神様から授かったのは、アホみたいな数式から導き出された究極のハーレム召喚だった。 157人のヒロインたちに埋もれて、尖った世界を『まあるく』浄化しくしていく…… Dカップの村娘からIカップの竜の姫君まで、あらゆる属性のヒロイン達と一緒に、襲い来る「社畜のトラウマ」に立ち向かう。 全人類の半分の夢が詰め込まれた、極上のスキンシップの冒険譚が今開幕する!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

構造理解で始めるゼロからの文明開拓

TEKTO
ファンタジー
ブラック企業勤めのサラリーマン・シュウが転生したのは、人間も街も存在しない「完全未開の大陸」だった。 ​適当な神から与えられたのは、戦闘力ゼロ、魔法適性ゼロのゴミスキル《構造理解》。 だが、物の仕組みを「作れるレベル」で把握できるその力は、現代知識を持つ俺にとっては、最強の「文明構築ツール」だった――! ​――これは、ゴミと呼ばれたスキルとガラクタと呼ばれた石で、世界を切り拓く男の物語。

50代無職、エルフに転生で異世界ざわつく

かわさきはっく
ファンタジー
就職氷河期を生き抜き、数々の職を転々とした末に無職となった50代の俺。 ある日、病で倒れ、気づけば異世界のエルフの賢者に転生していた!? 俺が転生したのは、高位エルフの秘術の失敗によって魂が取り込まれた賢者の肉体。 第二の人生をやり直そうと思ったのも束の間、俺の周囲は大騒ぎだ。 「導き手の復活か!?」「賢者を語る偽物か!?」 信仰派と保守派が入り乱れ、エルフの社会はざわつき始める。 賢者の力を示すため、次々と課される困難な試練。 様々な事件に巻き込まれながらも、俺は異世界で無双する! 異世界ざわつき転生譚、ここに開幕! ※話数は多いですが、一話ごとのボリュームは少なめです。 ※「小説家になろう」「カクヨム」「Caita」にも掲載しています。

処理中です...