異世界でショタ指揮官になりました

yasaca

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※ 53話 実験

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「起きろ」

 水をかけられ、目を開ければ森の真ん中に座っていた。ここは先程の森で合っているのか? 何かで縛られながら椅子に座っている。そして目の前にはデュラハンとアラクネと何故か机が置かれていた。

「久しぶりね、アーロ・ガルシア」
「お前は!」
「随分と縮んじゃって」
「触るな」

 近づいてきたアラクネが私の頬を触る。触られただけでこいつに咬まれた首が疼《うず》く。

「あら、柔らかい」
「そこまでにしろ」

 私が動けないのをいいことに、私の頬をアラクネが伸ばして遊んでいる。やめろ。人の頬で遊ぶな。抗議しようと口を開いたが、それを止めたのはデュラハンだった。

「いいじゃない。今だけしか出来ないんだから」
「後からでも出来る」

 そういって机に向かって行く。よく見れば、そこには瓶や皿が置かれていた。なんだ、あれは。なにかは分からないが、口にするべきではない。もしかしたらギリシャ神話のザクロと同じで食べたらもう、英国に戻れないかもしれない。

「食え」

 皿を目の前に出されたが、誰が食うか。それに、縛られているからそもそも食えん。
 ここでは会話もしない方がいいだろう。その間に口に捻じ込まれたら吐き出せるとは限らないからな。

「食え」
「そんなんで食べるわけないじゃない」

 頬に皿を押し付けてくるが、決して口は開けない。デュラハンの行動にしびれを切らしたアラクネが近づいてきて、持っている皿に指を付けた。持ち上げた指には、血のように赤黒い粘着質なものが付いている。

「さぁ、どうぞ」

 口元に近づけて来たが、口を開ける気はない。

「これ、美味しいわよ。魔界では人気の食べ物よ」

 魔界で人気とか知るか。そんな血の色をしたようなものを私が食べたいとでも思っているのか?
 そもそも、なぜ怪物どもに私は今奉仕されているんだ?

「食べないの?」

 アラクネが首を傾げているが、そんなことしたって誰が口を開けるものか。口に入れようとしてくるアラクネの指を避けていると、後ろから手が伸びてきて、私の頬を掴んだ。小手についているとげが痛いのだが。

「隙あり!」
「ゔぇ」

 閉じている口を貫通して喉の奥にまで来た。喉を通って鼻にまで匂いが来る。なんだ、これは。腐った卵よりも匂いが強烈すぎる。シュールシュトレミング以上だ。
 それに、この感覚は……。

「ゔぉえ」
「あ、そういえば人にとっては猛毒だったわね」

 こいつ、わざと……。
 目の前がぼやける。
 何も見えない。
 何も聞こえない
 なにも考えられない。
 いのなかのものがのぼってくる。
 くびがあつい。
 しんぞうがいたい。
 みみとはなからなにかでている。
 せりあがってくるものを、とめられない。



 せかいがまわっている。


「まだ……ある……ね」
「さすが……様の……りだ」

 かすかにしかこえがきこえない。

「も……ま…しょう」
「もう……て」

 やめろ……。

「つぎ……ね」
「かん……わ……た……いい……」

 やめてくれ。まだ、こいつをしょりできていないんだ。

「はいて……ちょく……ほうが……じゃない」
「ふむ。それは……だ」

 こうたいをつくるにも、じかんがいる。これいじょうなにをするきだ。
 なんだ、ひだりのほおがつめたい。なにがおきている。

「ぅぎ……!」

 やめろやめろやめろやめろ! にどもかむな。ただでさえ、なにがおきているかわからないのに。これいじょう、からだのなかに……!

 あついあついあつい!
 からだのなかにとげをいれられたかのようにぜんしんがいたむ。
 ほねがきしむ!
 あたまがいたい!
 はきけがする!
 きもちわるい!

「ダンスでも踊りましょう?」
「そんなことしている暇はない」
「いいじゃない。動けば動くほど全身に毒が回るわ」

 やめてくれ。たのむ。ふたつのどくのこうたいをいっきにはつくれない。

「あら、泣いてる。可哀想に」

 むりだ、からだがたえられない。

「頑張れ♡」
「お主は期待されているのだからな」

 きたいなんて、だれに、だ。
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