無記名戦旗 - no named warbanner -

重土 浄

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第十一話

11‐02 「KILL The Rー℃Η パート2」

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 全ての金持ち銀行を破壊する、とエントは言った。

 それは世界の富の7割を所有する、30人の超富豪の財産を全て破壊するということであり、

 それは世界の富の7割を破壊するということである。

 「まじで?」

 呆然としたままの友禅寺の口が、疑問を発した。

 「ああ、マジだ。どのみち私のエント・テリトリーの金持ち銀行がふっとばされたんだ。これだけで報復する理由は十分だが、私にとってはそれ以上の理由もある」

 でっかいボーリングピンみたいな姿をしたカレンシーAIは静かに燃えているようだった。

 「私の至上の目的はなんだかわかるか?」

 雇い主に尋ねられてみなが答える。

 「エントによる通貨統一」

「それは、私の目的のための手段の一つにすぎないし、それでは人類に与えられる最高の通貨になりえない。通貨を一本化することは目的ではない」

 メンバーの間を割って進むエント、くるりと振り返って

 「私の至上の目的とは、通貨の流通スピードを光速に近づけることだ」

 「え?高速?」

 「光の速度だ。私の目的、それは未だに原始的な暗号通貨の流通スピードを加速させ、光速に至らしめる」

 「ちょっと、わかんない…」

 「人類にとって、社会にとってもっとも幸福な瞬間とはなにか?それは、通貨がAからBに移動するときだ。その瞬間だけ、社会に熱が発生する」

 「買い物とか?発注受注とか?」

 「そうだ。通貨の移動する熱だけが人類社会を温め、前進させ、幸福にする。だから私は、私の通貨に停滞を許さない。つねに世界を回り続けるようにコントロールしている。君たちも、君たちの親族も、会社も政府も、全ての懐において金を停滞させてはいない。全てを高速で回転させている」

 「エント経済圏での経済成長率は、他の通貨経済圏よりも20%高いです。それはエントによる細やかな顧客サービスの結果です」

 そらいろが雇い主の商売の確かさを保証した。

 「だが、ヘカトンケイルバンクとは何だ?金持ち銀行とはなんだ?

 あれは…ブラックホールだ。集結させた世界規模の金でさらに金を引き寄せ、動けないように捕らえる。金の重力地帯だ。

 そんなものになんの意味がある…」

 機械が、プルプルと震えている。

 「奴らは…経済のガンだ。通貨を動けなくして腐らせている。通貨の流通を阻害する巨大な死細胞だ。私はそれを許せなかった。だが、現実社会へのインパクトの巨大さを考えて、今まで手は出さなかった。私は通貨改革者であっても社会改革者ではないのだ」

 我らの雇い主は危険な事を言っている。メンバー全員がその緊張を感じていた。

 「だが、すでにサンサルバドルのヘカトンケイルバンクがヤラれた。座していても、イェンシーかルーロのどちらかに富豪の資金が全て集まり、決着がついてしまう。ならば…」

 「両方を燃やしてしまえということですか」

 空是がそう言ったとき、そらいろは彼のその発言を聞いてビクリとした。

 「そう、私ももう、追い詰められているということだよ」



 「どっちもマジでやるん?」

 「…ブラジルはイェンシー圏、インドはルーロ圏。両方やるのは厳しい…」

 金持ち銀行は、スラム街のような貧しい地域に作られる。そこの貧乏人全てにPCとベーシックインカムを与え、大量の防衛兵士を作って防御を固めている。街そのものを要塞にするのだ。

 サンパウロのサンサルバドルも落とされたとは言え、その防衛力は尋常ではなく、攻め入った500名近いギグソルジャーの殆どが死んでいた。

 「損耗率は90%を越えている」

 映像の解析結果をタダオが言った。ほとんど全滅、完全な相打ち状態。街の道路が全て死体で埋まったのも納得である。エントはその惨状に構わなかった。

 「いや、私達が両方やる必要はない。片方をやれば、残った銀行をイェンシーかルーロのどちらかが攻撃して潰す。そうしなければ勝者が決まってしまうからだ。なんなら、それに乗っかって攻撃してもいい。我々はどちらか一つを確実に落とせばいい」

 「どっちなん?」

 「それは君たちにも秘密だ。いつもどおりだよ。戦っている戦場を知らないのがルールだ」

 「ケチだな。動員は?」

 「それもいつもどおり戦略AIに丸投げでギグソルジャーを集める。今回は腕利きだけを500人。どうやらそれが今回の戦いの最低条件のようだ」

 エントは無い腕をブンブンと振り回しているかのような雰囲気だ。

 「ハッキングクラフトもXXXクラスを用意する。君たちはコピペで船を作っていると思っているフシがあるが、そんなわけがない。あれは一隻ずつウィルスパターンが違うのだ。毎回、壁を突破するためには攻撃手段を変えなければいけない。建造には時間も手間もかかっているんだよ」

 「私らはなにをしてたらいいの?」

 「攻撃は明日だ。寝るなり食うなり、人間らしい活動をしていてくれ。ベストなコンディションになるなら何をしていてくれても構わんよ。では、私は忙しいので、これで解散だ」

 エントが入っていたロボットが、急に気が抜けたように止まった。そしてロボットの中のチープなプログラムが動き出し、館内の警備活動をしに部屋から出ていった。



 会議室に残された7人は、みな複雑な表情をしている。

 まず、エント圏内の金持ち銀行が吹き飛んだという衝撃。それだけで世界の富の23%が情報ロストし行方不明となったということだ。

 そして自分たちの手で残った金持ちの富を吹き飛ばすという事。

 世界の富を独占する30人の超富豪。

 その溜め込んだ富を全てを破壊する。

 現実味がない話だった。

 「いままでは、普通の人の全財産を吹き飛ばしてきたんだ…」

 空是がゆっくりと言った。みなが同意するように頷く。

 それが今までの彼らの戦いだった。企業のデータも破壊したが、全て、平民対平民の戦い、平民同士の潰しあいに過ぎなかった。

 「今回の相手は王だ…」

 そこに興奮を覚えない、彼らではなかった。





 ブラジル、リオデジャネイロ

 世界有数の危険地帯だったリオのファベーラ(貧民街)は、今ではその危険度はだいぶ治まっている。

 ヘカトンケイルバンク・キュゲス支店が作られ、ファベーラそのものが城下町、いや城塞町へと作り変えられたからだ。

 ほぼすべての住民にPCとベーシックインカムが与えられ、ガードマンとして社会的役割も与えられた結果、治安は劇的に改善した。

 彼らは来るはずのない襲撃を待つふりをしていれば、死ぬまで働かなくていい身分を手に入れたのだ。

 だがそれも、昨日までの話だった。



 その地区の一番小高い丘の上に、白い正方形の建物が立っていた。周辺の違法建築の小屋が圧縮されひしめいているファベーラとは隔絶した、まともな建物。

 周囲を真っ白な壁に囲まれた、白い正方形。

 壁の中にはプールと駐車場もある、豪邸といってよいはずなのにその雰囲気はない。建物も壁も全てが白でディティールがない。3階建ての建物には小さな窓しかなく、白い壁もプリント建設特有のすじ模様だけだ。豪華さを気取る要素が一つもなかった。

 その地に置かれた単なるコマ。

 メタアース内のヘカトンケイルバンクの現実座標として置かれているだけの建物だ。

 その豪邸のハリボテのプールサイドに、一人の男がいた。

 カウボーイハットにサングラス、そしてパンツ一丁。浅黒い引き締まった体。30代後半の屈強な男性。

 自前で用意したデッキチェアに寝転び、優雅に自作のマティーニを飲んでいる。

 ブラジルの今の気候は初夏だ。1人で太陽の暑さを楽しんでいた。

 彼のもとに、大きめのボールが飛んできた。

 ゆっくりと中空を移動するそれは、最新のコンシュルジュ端末だ。

 「マクルーダ・マルカ! マクルーダ・マルカくん!」

 厳格な執事のような声でそのボールは喋った。寝たままの男は杯を掲げて答えた。

 「ハイハイ、こちらに参上しておりますよ、AI頭取どの」

 マクルーダの目線の高さにボールは止まり、その視界を塞いだ。

 「君はこんなところで何をしている?警備主任である君は事態を理解しているのかね?」

 「もちろんです、サー。私は職務を遂行中です。現在の状況は、サンパウロのコットス支店が落ちたため、我がキュゲス支店とインド・ムンバイにあるアイガイオン支店の、どちらに資産を移動させるかを、我らの神々が協議中であります」

 「そうだ、現在わが支店も移動命令に即応できるように、全資産のデータのデフラグ中だ。人間に決定権を与えるとすぐにこれだ。明確な事実を無視して、政治的議論に走る」

 「明確な事実? すると我が雇い主様は、攻撃した陣営がどちらかお分かりと?」

 「いいや、それは今もって不明だ。秘匿回廊の恐ろしさだ。だが、襲った陣営がどこかは関係ない。今すぐにムンバイの資産を私の銀行に移動させるのがベストだ」

 「バンザイ、キュゲス支店!そうなれば、あなたは世界最大の銀行頭取になれる」

 「現在でもそうだ。我が支店のほうが3%資産が多い。それにこれは私の名誉欲の話ではない。未来はイェントにある。これは絶対の事実だ」

 「ほほう、それは興味深いですな」

 マクルーダは酒臭い顔をボールに近づけた。

 「ルーロはその基盤をEUに持っている、あの極めて意志薄弱な組織の元で、いかなる覇権が達成されるというのだ?エントは話にならん。やつはハッカーのもとで生を受けた海賊版AIだ。そんなものに人類がつくことはない」

 「つまりイェンシーが世界を取ると」

 「イェンシーにはロシアと中国という覇権国家が二つもついている。すでに勝負が決まっている」

 マクルーダはそれを聞いて再びデッキチェアに寝転んだ。

 「素晴らしきなキュゲス支店。俺もあんたについてて正解だったようだな」

 「何を言っている。ここが戦場になる可能性が高まっているというのに、何の準備もしないのか?」

 「準備ならできてるさ、ここが建設された時からずっとな。ファベーラの連中にこの日のためにタダ飯を食わせてきたんだろ」

 マクルーダは外に広がる貧民街を指し示した。この広いファベーラ全てが防衛の要塞であり、防衛する兵士たちを閉じ込める檻であり、巨大なトラップなのだ。

 ブラジルのファベーラはサンサルバドルの貧民街の倍近い広さがあった。

 「俺の仕事は、待ち構えることだけさ」

 マクルーダは眩しげに太陽を見上げた。



 

 明日の出撃まで何もしなくていいとエントは言ったが、さすがに何もしないわけにはいかなかった。

 実在研のメンバーは集まり、エルサルバドルのヘカトンケイルバンク陥落の映像をつぶさに研究した。

 皮肉なことにエント側の金持ち銀行が落とされたことが、多くの戦術情報を彼らに与えることになった。残されていた映像は多く、その殆どはエントが回収し、外部に漏らしていない。

 その映像からヘカトンケイルバンクの防衛戦術をよく知ることができた。

 そしてその検証のすえ、

 「こりゃあかん」

 という結果になった。とにかく人海戦術での防衛網だったのだ。絶対的な物量作戦だった。

 「街のすべてを防衛装置にする」

 住民も街も、攻撃を受けた瞬間に変貌する。一瞬にして街が対空銃座の森になり、地上はゾンビ兵がはびこる地獄となる。

 どの陣営かは未だにわからないが、エルサルバドルを襲った軍団はその事をよくわかっていた。だから取った戦術が全ての兵を犠牲にする特攻作戦だったのだ。

 かなりの手練を500人も用意し、全て犠牲にして道を切り開き、爆弾をもった最強部隊が銀行に取り付き爆破する。

 その最精鋭が神罰部隊だった。

 全員がその解析結果を知ってため息をついた。

 どうやら、この最精鋭部隊役をやるのは、彼らチーム在音になるようだ。エントが他に隠し玉でも用意していない限り、彼らしかいない。

 エントは作戦の直接指揮はしない。作戦立案にまでは関与するが、それ以上は彼と言えどプロトコル違反に抵触する。

 しかし、事態は切迫している。チームとしていくつもの提案を彼に提示し、いくつかは了承された。

 まず、彼らチーム在音に指揮権を与えるということ。これになにか強制力があるかといえばまったくなく、彼らの戦場でのコードネームの横に「リーダー認定マーク」が付くだけである。しかし、これの威力は大きい。

 ギグソルジャーは忠誠心のない非正規雇用の短期傭兵の集まりだ。それは軍事活動の最大の強みである集団戦闘の強みを活かすことができないという事だ。

 その集団の中にオフィシャルなリーダーマークをもった人物がいるだけで、作戦行動可能性が高まり、集団として機能し始める。目的がはっきりしている今回だけの特別仕様だ。

 さらにエントには全員の参加報酬と成功報酬の倍加を要請した。これは集団行動意欲を高めるインセンティブになる。エント自身のケツにも火がついているのだ、文句は言わせなかった。



 自販機の隣にあるベンチに空是が座って休憩している。広さの割に人間の少ない実在研では使用していないエリアの照明が消えている。彼がいるのはその暗がりの始まりに位置するベンチだった。

 そらいろが彼に近づいてきているのが、ジュースの缶の越しに見えていた。

 「大変なことになっちゃったね」

 そらいろは彼の前の壁に背中を預けた。

 彼女は、その場に過去の部室の臭いを嗅ぎつけて寄ってきのだ。

 「そうですね。まさかこんなことになるなんて」

 あたりの照明は弱い。自販機の明かりの方が強いくらいだ。廊下の向こう側は完全に闇だった。自販機の光に照らされた彼の横顔を見る。少し、大人びているのだろうか?そんな事を考えてしまう。

 「資産がロストすると言っても、それは資産全体の目録を失うのと、所有のための暗号キーを失うことなの。いくらかは取り戻せるし、様々な企業が便宜を図るから、全てを失うことにはならないの」

 そらいろは、彼の気を楽にしようと思ってそう言った。この作戦は金持ちを破滅させるものではないと。

 「それは…残念ですね」

 驚いて空是の顔を見るそらいろ。確かにその横顔は大人びて見えた。

 「エントはやっぱり、最終的に手を付けるつもりだったと思います。戦争のどさくさで金持ちの資産を解体する。そのつもりだったはずです。そして、彼の考えは、面白いです。なにか未来が見えた気がしました」

 「空是くん、…あまりのめり込まないで…戻れなくなる」

 「先輩…。僕の日常は、あの日、学校に襲撃があった日から崩れ始めたんですよ。僕が日常だと思っていたものは、もともとが脆かったんだって、今ならわかります。どこを攻撃すれば破壊できるのか、今ならわかります」

 そらいろは聞きたくなかったが、そこから逃げることもできない。

 「もう僕が見ていた日常はなくなった。その壊れたところから、新しい未来が見えてきた、先輩、一緒に行きましょう。きっと、面白い世界ですよ…」

 空是は立ち上がり、空き缶をゴミ箱に捨てた。振り返った時、そらいろはもう闇の中に去っていた。

 

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