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深海の魔女
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「ふぅ~ん……。じゃあまだここには来そうになさそうかな? 教えてくれてありがとね~」
「……バカモンどもが」
船長は急に饒舌になった船員たちを見て、悪態をつく。船長も船員たちの気持ちがわからないではない。ここから生きて出られるのなら話してしまうのも無理はないのだ。しかし、深海の魔女ともあろうものがそう簡単に解放するとは考えられなかった。
「は、話したんだ……! 俺たちを自由にしてくれ!」
「そ、そうだ!」
「陸に、帰してくれ! 俺にはまだ幼い子供がいるんだ!」
船員達は口々に深海の魔女に解放しろと呼びかける。
「いいわよ~。あたしは約束は守る、いい魔女なの……。ここから出してあげるわ」
ファラーシャが何かを呟くと、船員たちの拘束が解け、彼らは自由になった。その中で唯一船長だけは縛られたままだった。
「せ、船長はなんで拘束されたままなんだよ!」
「情報は喋ったじゃないか!」
「だって~、彼は何も答えなかったもの。それにそろそろ時間だしね~。ほら、解放したんだからさっさと出ていったら? 外に船を準備しておいたから出られるわよ~?」
魔女の圧に耐えられなかった船員から、この部屋を出ていく。船長を説得していた者も、最終的には船長を見捨てて部屋を後にした。
「……くそっ!」
「うふふ……あなたはこれから何が起きるかなんとなく読めてたのね」
部屋の外からは何も聞こえない。この部屋だけは空気があるため船員たちは話すことができたが、それ以外の場所は全て水に浸かっているのだ。
深海の魔女の根城はその名の通り深海にあるのだから。
なんの装備もなく部屋から出てしまっては、呼吸もできず水圧の影響で命はないだろう。
「なんで頭の足りない連中って見ていて愉快なのかしら~。この部屋から出れば助かるなんて、ここは深海だというのにね~」
「なぜこんなことを!!」
「だって~、私の可愛い子たちにご飯を上げなきゃいけない時間だったし、あれだけ浮かべば少しは足しになるんじゃないかしら?」
部屋の窓から見えるのは、船を襲った水竜や、クラーケンたちが水中で動けなくなっている船員を捕食している瞬間だった。赤く染まった海水も、次第に薄れて元の色に戻っていく。おそらく生きて陸に上がれる者はいないだろう。
「……なんで俺だけ残した……ッ!」
「ん~……。なんとなくかしら? あなたは他の情報も持ってそうだし、話し相手くらいの価値はあるかもだし~」
深海の魔女は部屋から出ていき、船長一人だけが残った部屋で、彼は窓の外を眺める。海獣たちに食われる元船員たちのことを思いながら涙を流していた。
「……勇者って強いのかしらねぇ? 九人もいるなら楽しみも九回あるってことなのかしら……。今から楽しみだわ~」
ファラーシャは深海の奥深くでうっすらと笑みをこぼしていた。
「……バカモンどもが」
船長は急に饒舌になった船員たちを見て、悪態をつく。船長も船員たちの気持ちがわからないではない。ここから生きて出られるのなら話してしまうのも無理はないのだ。しかし、深海の魔女ともあろうものがそう簡単に解放するとは考えられなかった。
「は、話したんだ……! 俺たちを自由にしてくれ!」
「そ、そうだ!」
「陸に、帰してくれ! 俺にはまだ幼い子供がいるんだ!」
船員達は口々に深海の魔女に解放しろと呼びかける。
「いいわよ~。あたしは約束は守る、いい魔女なの……。ここから出してあげるわ」
ファラーシャが何かを呟くと、船員たちの拘束が解け、彼らは自由になった。その中で唯一船長だけは縛られたままだった。
「せ、船長はなんで拘束されたままなんだよ!」
「情報は喋ったじゃないか!」
「だって~、彼は何も答えなかったもの。それにそろそろ時間だしね~。ほら、解放したんだからさっさと出ていったら? 外に船を準備しておいたから出られるわよ~?」
魔女の圧に耐えられなかった船員から、この部屋を出ていく。船長を説得していた者も、最終的には船長を見捨てて部屋を後にした。
「……くそっ!」
「うふふ……あなたはこれから何が起きるかなんとなく読めてたのね」
部屋の外からは何も聞こえない。この部屋だけは空気があるため船員たちは話すことができたが、それ以外の場所は全て水に浸かっているのだ。
深海の魔女の根城はその名の通り深海にあるのだから。
なんの装備もなく部屋から出てしまっては、呼吸もできず水圧の影響で命はないだろう。
「なんで頭の足りない連中って見ていて愉快なのかしら~。この部屋から出れば助かるなんて、ここは深海だというのにね~」
「なぜこんなことを!!」
「だって~、私の可愛い子たちにご飯を上げなきゃいけない時間だったし、あれだけ浮かべば少しは足しになるんじゃないかしら?」
部屋の窓から見えるのは、船を襲った水竜や、クラーケンたちが水中で動けなくなっている船員を捕食している瞬間だった。赤く染まった海水も、次第に薄れて元の色に戻っていく。おそらく生きて陸に上がれる者はいないだろう。
「……なんで俺だけ残した……ッ!」
「ん~……。なんとなくかしら? あなたは他の情報も持ってそうだし、話し相手くらいの価値はあるかもだし~」
深海の魔女は部屋から出ていき、船長一人だけが残った部屋で、彼は窓の外を眺める。海獣たちに食われる元船員たちのことを思いながら涙を流していた。
「……勇者って強いのかしらねぇ? 九人もいるなら楽しみも九回あるってことなのかしら……。今から楽しみだわ~」
ファラーシャは深海の奥深くでうっすらと笑みをこぼしていた。
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