Liedgeschichte

雨宮律

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三期生の2人組アイドル『M and S』

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後輩達の頑張りを考えながら歩いていると階段の踊り場から話し声が聞こえてきて、近寄り誰なのかを確認すると2人組が話をしていてシャロは納得してしまい2人に近寄った。
「やっほー、2人とも!」
「あ、シャロちゃんやーん!聞いてやー!!」
訛り男子のゾネがシャロを見た瞬間に抱き着いてきて、シャロは一瞬驚いたが背中に腕を回してよしよしと撫でながら「どうした?」と問い掛けた。
「フォルの奴がワイの歌がズレてるって言うんや!!」
「だってズレてるんだもん」
笑顔で毒を吐くのは王子様キャラとして人気のフォルモートだった。

三期生の中では早くも人気になった2人組アイドル『M and Sエムエス
王子様のフォルモートと訛り元気なゾネの絡みがファンに人気だった。

「じゃあわかった、俺が聞いてあげるから2人で歌って」
「おう!シャロちゃんにワイの歌声を届けるわ!」
「はーい、シャロさん、ちゃんと聞いてくださいね」
ゾネはシャロから離れてフォルモートの隣に立つと自信満々な顔でリズムを取ってから歌い出した…。
綺麗な2人のハーモニー…だったが終わった時にはシャロはその場に崩れていてゾネとフォルモートは驚きを隠せないでいた。
「何でやー!誰がシャロちゃんをこんな目に合わせたんやー!!」
「明らかにゾネくんですよー」
「いやワイな訳…「ゾネくんです」
ゾネが言い終わる前に伝えるとゾネはオーバーリアクションでその場に崩れて、少し経ってから涙目で「ワイの天才的な歌声の何処に問題があるんや!」と聞いてきたのでシャロとフォルモートは容赦なくミスの部分を伝えるとがっくりとゾネは涙を流しながら落ち込んでいた。
「フォルくん、これ本番大丈夫?」
「まぁ…ゾネくんの歌下手は今更ですから」
「いや!これはワイの上手さにシャロちゃんもフォルも気づいていないだけや!!」
ガバッと起き上がり言ってきたゾネの言葉にフォルモートは溜め息を吐くと、ゾネに近寄り腰に腕を回して顎を掴むと顔を近づけてゾネの顔は一気に真っ赤になった。
「なっ、ちょっ!?」
「ゾネくん、ちゃんと出来るまで今夜は寝かさないからね?」
「いやぁー!それはいややー!」
イチャイチャしだした2人にシャロは邪魔者になるな、と考えるとゾネの助けを無視して「じゃあ頑張ってね」と伝えるとその場から逃げ出した。

「あ、シャロちゃん!待って!マジで助けて!ほんまに!!ちょ、待って!行かんといてーーー!!!」

ゾネの叫ぶ声が響き渡ったがシャロは無視をしてその場を後にした。
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