Liedgeschichte

雨宮律

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ムズィーク祭1日目!

ゼクスの大ファン

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「おー!やってるやってる!」
『M and S』のトークショーが終わったシャロはチェキ広場に来ていた。
ここではメンバーとチェキが撮れる様になっていて、色んなポーズを指定したり体を密着させて撮ることが出来る様になっていた。そして今の時間は『BeTeN』の時間だった。
笑顔でそつなくこなしていくアインスに比べてツヴァイはポーズや表情に戸惑っていたり、プロデューサー的存在のドライのポーズ指定に手で金を作るのがあったりしてどこもかしこも盛り上がっている中…
何故かフィアのところは『ただいま休憩中ー』の文字がありシャロは不思議に思いながらも先を見ると目を大きく見開いた。
それもそのはず、目の前に広がるのは他のメンバーとは比べものにならないくらいの長蛇の列が出来上がっていたからだ。驚いたシャロだったがすぐに謎は解けた。
長蛇の先にいるのは子供の時からモデルとして人気のゼクスだからなのである。
(そりゃ、ファンも多いわー…)
そう思いながらスタッフに許可を得て、シャロはゼクスのチェキを近くで見せてもらう事にした。
「あら、シャロ。見ていくの?」
「モデルのチェキを見せてもらうよ、俺の仕事の役に立ちそうだし」
「高いわよ、見学料」
…なんて冗談を混ぜながら見ていくとやはり1つ1つの動作が美しく、シャロはボーッと眺めていた。
そしてスタッフが次のファンの子を入れた瞬間、シャロはその場でずっこけそうになってしまった。
「よろしくお願いしまーす!」
まさかの入って来たのがフィアだったからだ。
「ちょ、何で!?てかお前の休憩ってまさかのゼクスとのチェキの為!?」
「あ、シャロちゃん!そうだよ、だってオレはゼクスくんの大ファンだもん」
「はぁ!?なにそれ!?」
初めて知った事実にシャロはずっと驚いている間にゼクスとフィアはチェキを撮って、ゼクスがサインを書き込み渡すとフィアの目はパァっとキラキラ輝き出して、嬉しそうに笑った。
「ありがと!ゼクスくん!」
「全く…変わらないわね、アンタは」
「え、変わらないってどう言う事?」
ゼクスの言葉に疑問を抱いたシャロが問い掛けるとゼクスは溜め息をついてから話し出した。
「フィアはね、小さい頃から私のファンなのよ」
「え!?そうなの!?」
「そう!会員番号00002番!!それがフィアくんなのであーる!」
そう言ってゼクスのファン会員カードを掲げて見せてくるフィアにゼクスはもう一度溜め息をつくと「早く行きなさい」とシャロも一緒に出されてしまった。
「しかし、すごいね。憧れの人と一緒に今アイドルやってるなんて」
「うん…でもそれもあと少しだけどね」
ボソッと呟かれたフィアの小さな言葉。シャロは「え?」と聞き返したがスタッフに呼ばれてフィアは走って自分のところに戻って行ってしまった。
謎を抱えたままシャロはチェキ会場を後にするのであった。
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