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3 翌日
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アリーが目を覚ましたのは翌朝ではなく昼が近い時間だった。
目覚めとともに空腹を覚えるの久しぶりだなと思いつつ、用意してもらっていたこちらの服に袖を通す。
うん、良い感じ。
ゆったりしているから動きに制限がない。体のラインが見える服は美しさ重視だったのがよくわかる。
少し焦りつつ階下に降りると、使用人であるボル婦人が食事を用意してくれた。旦那様への挨拶は後でいいと言われ従う。
皮をむかずにカットされたフルーツ、パンは大皿にてんこ盛り。持ち手のついたカップにはスープ。
婦人に見守られながら食事を終えると旦那様がやってきた。
「アリー、おはよう。服がよく似合っているよ」
「おはようございます。旦那様」
抱きしめられた後に頬にキスを受ける。
こちらの習慣だろうと受け入れるけれどアリーは冷静ではいられなかった。旦那様は大人で、それでいて太陽の匂いがして、どきどきするのだ。
手を繋いで屋敷の敷地を散歩する。
花木のある庭園。木製の巨大なパーゴラは緑のツタが絡まる。これはどの家庭にも一つはあると言う果実で今朝の食卓にも上がっていた。
菜園のある場所は光をいっぱいに浴びて育った野菜が茂っている。
その隣の原っぱは種が飛び勝手に自生した葉野菜がこんもりとしている。
旦那様は一つ一つを指さし、品種と味をアリーに説明する。
「食べ放題。でも野生化した葉っぱは味が落ちるんだ」
ブチッとちぎって口に入れてしまった時には驚いたけど、アリーがそれを真似したら旦那様の方がそれ以上に驚いて、その後で大笑いしていた。
「旦那様は体の弱い方だと聞いていましたが、今は大丈夫なのですか?」
「この時期は問題ないよ。寒い時期になると何度か寝込む事になるけど、そう心配ない。毎年の事だ。それに備えて肉を貯めている。げっそりした姿は自分でも嫌になるからね」
ステファンはお腹をさする。太るには訳があるのだと早いうちにわかってよかった。
木の陰にあるベンチに案内され隣り合って座る。
木漏れ日が旦那様の肩でヒラヒラと揺れ踊っているようだった。
「アリーは僕の事をどれくらい知ってくれているのかな?」
「年齢と、子供の頃から体が弱いこと。二十歳からここの領主を務めていること。家族はいないこと。叔父の知人であること」
そこで言葉をとめると驚く。
「それだけ!? あいつはそれだけで君を送り出したのか。それでよくここまで来たね」
「叔父を信頼しているので。王都にいるより幸せになれると断言されて行かない手はないです」
「アリーは決断力もあるのか。素晴らしい」
昨日から褒められるばかりで、一旦視線を外してしまう。
しかし旦那様が続けた話は、とんでもないの連続で、アリーの小さな照れくささなど吹き飛んでしまった。
目覚めとともに空腹を覚えるの久しぶりだなと思いつつ、用意してもらっていたこちらの服に袖を通す。
うん、良い感じ。
ゆったりしているから動きに制限がない。体のラインが見える服は美しさ重視だったのがよくわかる。
少し焦りつつ階下に降りると、使用人であるボル婦人が食事を用意してくれた。旦那様への挨拶は後でいいと言われ従う。
皮をむかずにカットされたフルーツ、パンは大皿にてんこ盛り。持ち手のついたカップにはスープ。
婦人に見守られながら食事を終えると旦那様がやってきた。
「アリー、おはよう。服がよく似合っているよ」
「おはようございます。旦那様」
抱きしめられた後に頬にキスを受ける。
こちらの習慣だろうと受け入れるけれどアリーは冷静ではいられなかった。旦那様は大人で、それでいて太陽の匂いがして、どきどきするのだ。
手を繋いで屋敷の敷地を散歩する。
花木のある庭園。木製の巨大なパーゴラは緑のツタが絡まる。これはどの家庭にも一つはあると言う果実で今朝の食卓にも上がっていた。
菜園のある場所は光をいっぱいに浴びて育った野菜が茂っている。
その隣の原っぱは種が飛び勝手に自生した葉野菜がこんもりとしている。
旦那様は一つ一つを指さし、品種と味をアリーに説明する。
「食べ放題。でも野生化した葉っぱは味が落ちるんだ」
ブチッとちぎって口に入れてしまった時には驚いたけど、アリーがそれを真似したら旦那様の方がそれ以上に驚いて、その後で大笑いしていた。
「旦那様は体の弱い方だと聞いていましたが、今は大丈夫なのですか?」
「この時期は問題ないよ。寒い時期になると何度か寝込む事になるけど、そう心配ない。毎年の事だ。それに備えて肉を貯めている。げっそりした姿は自分でも嫌になるからね」
ステファンはお腹をさする。太るには訳があるのだと早いうちにわかってよかった。
木の陰にあるベンチに案内され隣り合って座る。
木漏れ日が旦那様の肩でヒラヒラと揺れ踊っているようだった。
「アリーは僕の事をどれくらい知ってくれているのかな?」
「年齢と、子供の頃から体が弱いこと。二十歳からここの領主を務めていること。家族はいないこと。叔父の知人であること」
そこで言葉をとめると驚く。
「それだけ!? あいつはそれだけで君を送り出したのか。それでよくここまで来たね」
「叔父を信頼しているので。王都にいるより幸せになれると断言されて行かない手はないです」
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