59 / 106
恋仲編
59.つよがり
ドアスコープの向こう、少し背中を丸めて歩いていく玲央の姿がエレベーターに消えるまで見届けてから、僕はゆっくりと顔を離した。
冷たい金属のドアに、そのまま背中を預けてズルズルとしゃがみ込む。
「……はあ」
大きく息を吐くと、肺の中の空気が全部抜けていくみたいだ。
一緒にいられないのは、寂しい。
強がって見せたけれど、本音を言えば、ゴルフバッグなんて投げ捨てて行かないで欲しかった。 こんなことになるなら、金曜日の夜から、あえて自宅に帰っていればよかったのかもしれない。そうすれば、この「寂しさ」に襲われることもなかった。
でも、会いたかった。 一分一秒でも長く、顔を見ていたかった。
昨夜、誘いを断って身体を重ねなかったのは、僕なりのけじめだ。 もし流されていたら、僕は絶対に泥のように眠って、出発時間になっても起き上がれなかっただろう。
せめて、笑顔で見送りくらいはしたかった。
玲央的にはセックスした方が嬉しいんだろうけど。
「……遊びに行く人の中に女性がいる、か」
さっきの会話を思い出して、胸がチクリと痛む。
『浮気したら別れる』なんて啖呵を切ったけれど、あれは虚勢だ。 玲央は華がある。人当たりも良くて、ハイスペックで、誰からも好かれる。
付き合いで女性のいる店に行くこともあるだろうし、言い寄られることだって日常茶飯事だろう。
それを、僕なんかがすべて制限して、独占するなんて、到底無理な話だ。 「行かないで」と泣いて縛り付ける資格なんて、僕にはない気がしてしまう。
がらんとした広いリビングを見渡す。
主のいない部屋は、静まり返っていて、やけに広く感じる。 ここに一人で残っていると、玲央の残り香に包まれて、余計に寂しさが募るだけだ。
「……家に、帰ろうかな」
自分の狭いアパートの方が、今の僕には身の丈に合ってる気がした。 僕は重い腰を上げ、少しだけ散らかった部屋を掃除して、自分の荷物をまとめ始めた。
冷たい金属のドアに、そのまま背中を預けてズルズルとしゃがみ込む。
「……はあ」
大きく息を吐くと、肺の中の空気が全部抜けていくみたいだ。
一緒にいられないのは、寂しい。
強がって見せたけれど、本音を言えば、ゴルフバッグなんて投げ捨てて行かないで欲しかった。 こんなことになるなら、金曜日の夜から、あえて自宅に帰っていればよかったのかもしれない。そうすれば、この「寂しさ」に襲われることもなかった。
でも、会いたかった。 一分一秒でも長く、顔を見ていたかった。
昨夜、誘いを断って身体を重ねなかったのは、僕なりのけじめだ。 もし流されていたら、僕は絶対に泥のように眠って、出発時間になっても起き上がれなかっただろう。
せめて、笑顔で見送りくらいはしたかった。
玲央的にはセックスした方が嬉しいんだろうけど。
「……遊びに行く人の中に女性がいる、か」
さっきの会話を思い出して、胸がチクリと痛む。
『浮気したら別れる』なんて啖呵を切ったけれど、あれは虚勢だ。 玲央は華がある。人当たりも良くて、ハイスペックで、誰からも好かれる。
付き合いで女性のいる店に行くこともあるだろうし、言い寄られることだって日常茶飯事だろう。
それを、僕なんかがすべて制限して、独占するなんて、到底無理な話だ。 「行かないで」と泣いて縛り付ける資格なんて、僕にはない気がしてしまう。
がらんとした広いリビングを見渡す。
主のいない部屋は、静まり返っていて、やけに広く感じる。 ここに一人で残っていると、玲央の残り香に包まれて、余計に寂しさが募るだけだ。
「……家に、帰ろうかな」
自分の狭いアパートの方が、今の僕には身の丈に合ってる気がした。 僕は重い腰を上げ、少しだけ散らかった部屋を掃除して、自分の荷物をまとめ始めた。
あなたにおすすめの小説
主人公のライバルポジにいるようなので、主人公のカッコ可愛さを特等席で愛でたいと思います。
小鷹けい
BL
以前、なろうサイトさまに途中まであげて、結局書きかけのまま放置していたものになります(アカウントごと削除済み)タイトルさえもうろ覚え。
そのうち続きを書くぞ、の意気込みついでに数話分投稿させていただきます。
先輩×後輩
攻略キャラ×当て馬キャラ
総受けではありません。
嫌われ→からの溺愛。こちらも面倒くさい拗らせ攻めです。
ある日、目が覚めたら大好きだったBLゲームの当て馬キャラになっていた。死んだ覚えはないが、そのキャラクターとして生きてきた期間の記憶もある。
だけど、ここでひとつ問題が……。『おれ』の推し、『僕』が今まで嫌がらせし続けてきた、このゲームの主人公キャラなんだよね……。
え、イジめなきゃダメなの??死ぬほど嫌なんだけど。絶対嫌でしょ……。
でも、主人公が攻略キャラとBLしてるところはなんとしても見たい!!ひっそりと。なんなら近くで見たい!!
……って、なったライバルポジとして生きることになった『おれ(僕)』が、主人公と仲良くしつつ、攻略キャラを巻き込んでひっそり推し活する……みたいな話です。
本来なら当て馬キャラとして冷たくあしらわれ、手酷くフラれるはずの『ハルカ先輩』から、バグなのかなんなのか徐々に距離を詰めてこられて戸惑いまくる当て馬の話。
こちらは、ゆるゆる不定期更新になります。
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
穏やかに生きたい(隠れ)夢魔の俺が、癖強イケメンたちに執着されてます。〜平穏な学園生活はどこにありますか?〜
春凪アラシ
BL
「平穏に生きたい」だけなのに、
癖強イケメンたちが俺を狙ってくるのは、なぜ!?
トラブルを避ける為、夢魔の血を隠して学園生活を送るフレン(2年)。
彼は見た目は天使、でも本人はごく平凡に過ごしたい穏健派。
なのに、登校初日から出会ったのは最凶の邪竜後輩(1年)!?
他にも幼馴染で完璧すぎる優等生騎士(3年)に、不良だけど面倒見のいい悪友ワーウルフ(同級生)まで……なぜか異種族イケメンたちが次々と接近してきて――
運命の2人を繋ぐ「刻印制度」なんて知らない!
恋愛感情もまだわからない!
それでも、騒がしい日々の中で、少しずつ何かが変わっていく。
個性バラバラな異種族イケメンたちに囲まれて、フレンの学園生活は今日も波乱の予感!?
甘くて可笑しい、そして時々執着も見え隠れする
愛され体質な主人公の青春ファンタジー学園BLラブコメディ!
月、水、金、日曜日更新予定!(番外編は更新とは別枠で不定期更新)
基本的にフレン視点、他キャラ視点の話はside〇〇って表記にしてます!
魔法使い、双子の悪魔を飼う
よんど
BL
「僕、魔法使いでよかった」
リュシーは宮廷専属の優秀な魔法使い。
人が寄りつけない程強い自身の力のせいで常に孤独なリュシーは、ある日何気なく街を歩いていた際に闇商人の話を聞いてしまう。貴重で価値ある''モノ''を高値で買い取る悪趣味な会が近くであるらしく気になったリュシーは其処で不思議な双子と出逢いを果たす。
本の見よう見まねで無償の愛を与え続けるリュシーに育てられた双子はいつしか胸の内に何とも言えない感情を抱く様になり...
独りぼっちだった魔法使いが出逢いを通して彼等と関係を紡いでいき幸せを知る微闇要素有りのBLファンタジー。
(※) 過激描写のある話に付けています。
*** 攻め視点
※不定期更新です。
※誤字脱字の報告助かるので嬉しいです。
※何でもOKな方のみ拝読お願いします。
扉絵
YOHJI@yohji_fanart様
(無断転載×)
幼馴染がいじめるのは俺だ!
むすめっすめ
BL
幼馴染が俺の事いじめてたのは、好きな子いじめちゃうやつだと思ってたのに...
「好きな奴に言われたんだ...幼馴染いじめるのとかガキみてーだって...」
「はっ...ぁ??」
好きな奴って俺じゃないの___!?
ただのいじめっ子×勘違いいじめられっ子
ーーーーーー
主人公 いじめられっ子
小鳥遊洸人
タカナシ ヒロト
小学生の頃から幼馴染の神宮寺 千透星にいじめられている。
姉の助言(?)から千透星が自分のこといじめるのは小学生特有の“好きな子いじめちゃうヤツ“だと思い込むようになり、そんな千透星を、可愛いじゃん...?と思っていた。
高校で初めて千透星に好きな人が出来たことを知ったことから、
脳破壊。
千透星への恋心を自覚する。
幼馴染 いじめっ子
神宮寺 千透星
ジングウジ チトセ
小学生の頃から幼馴染の小鳥遊 洸人をいじめている。
美形であり、陰キャの洸人とは違い周りに人が集まりやすい。(洸人は千透星がわざと自分の周りに集まらないように牽制していると勘違いしている)
転校生の須藤千尋が初恋である