大学一のイケメンに好きになったかどうか聞かれています。

はなみ

文字の大きさ
10 / 30
本編2

浮かれてる

 くんくん…なんかいい匂い。おいしそうな匂い……あ、おなか空いてきたなぁ。でもまだいいか…

「……り、ゆうり。優里、朝だよ、起きて」

 耳に優しい程よい低音。

「優里も今日朝から講義あるでしょ。遅刻しちゃうよ」

「うーん」

 …はいはい、講義ね。ありますよ、朝から。金曜日ですもん。
 って!待って!!

「大学!今何時!?」

 今までが夢の中であることに気づいた俺は飛び起きた。

「8時だよ」

「やばい!急がなきゃ!!…ってちょっとまって。ここどこ?」

「俺の家」

「うわっ」

 そうじゃん、ここ春樹の家じゃん。すっかり忘れてたわ。
 昨日引っ越してきたんだった。

 慌てる俺に、「一回落ち着いて」とおでこにキスをする春樹。

「朝ごはんできてるから着替えて、顔洗ったらリビングおいで。タオルは洗面台のところのを使っていいよ」

 朝からまぶしい笑顔で彼はそう言って、部屋を出ていった。


 ……今、朝ごはんできてるって言ったよね?新婚?



 俺は急いで昨日枕元に置いておいた服に着替え、顔を洗ってリビングに行くと、春樹にキスをされる。

「おはよう。今日もかわいいね」

 うひゃあ。
 春樹は今日もイケメンだね!…なんて、今の俺の口はパクパクしててそんなこと言えないけど。


 用意されていた朝ごはんは完璧。
 めちゃくちゃおいしかった。

 ……これがスパダリってやつですか?





 寝坊をしたうえに朝ごはんを味わって食べてしまったので本当に時間がない。
 2人で慌てて家を出ると、春樹が呼んでおいたらしいタクシーに乗る。

 朝からタクシー。贅沢な生活。
 家と大学は意外と近く、普通に間に合った。

 代金は春樹が出していた。俺に払わせてくれないらしい、彼氏だからって。




 ……そんな付き合ってはじめての朝。
 俺、一条優里。実は結構浮かれてたりする。





 ーーーーーーー





 大学構内に入ると黒崎効果が発動することなく、俺ら2人の周りにたくさんの人が集まってくる…ことはなかった。
 普通に黒崎効果が発動しました。

 俺が昨日、みんなの前で人気のある春樹にキスをしたことで、何か言われたりするかな~と少し期待していたのだが、あーんのせいで既に付き合っていると思われていたのを忘れてた。


 今、俺は堂々と春樹と恋人つなぎをしている。
 …恥ずかしい。


 学部が違うので途中で春樹と別れる。

「今日、俺遅くなるから優里は先に帰ってて。これ合鍵。渡しておくね」

 あ、合鍵。セキュリティ高めのマンションの鍵は重みがある。

「できるだけ早く帰るようにするから。また後でね、頑張ってね」

 俺のおでこにキスをして、手を振って去って行く春樹。
 合鍵にびっくりした俺は手を振り返すことしかできなかった。


 鍵を失くさないようにカバンの底にしまい、教室に行こうとすると、たくさんの人が集まってきた。

「優里ちゃん、黒崎くんとめっちゃラブラブじゃん」
「優里ちゃんからキスって嘘だと思ってた」
「黒崎の牽制すごかった…」
「恋人つなぎ…」

 え、めっちゃ話しかけてくるじゃん。
 春樹がいると話しかけられなかったってことか。
 なるほど。

「でも優里ちゃん幸せそうでよかった」
「黒崎くんの片想いじゃなくなったんだね」

 みんなが口々にお祝いの言葉を言い、俺の頭を撫でてきたりする。

「なんか、よくわかんないけどありがとう」

 どうやら俺、みんなに心配されてたらしい。





 俺はいつも通り講義を受けて、栄と昼食を食べて帰る。
 今日は午前中で終わるのだ。

 医学部は昼食時間にも実験をするらしい。大変だよね。



 渡された合鍵を使って部屋に入る。
 色んなところに鍵をかざすので失くしたら大変だとわかった。
 鍵に何かキーホルダーでもつけようかな。


 好きに過ごしていいと言われているので、温かいカフェオレを淹れて、フカフカのソファーに座り、ひと息つく。

 現在14:30。
 時間があるなあ。ゲームもしたいけど、部屋で来週の数学の予習でもしようかな、と思って立つとちょうどインターホンが鳴った。

 宅配とか受け取った方がいいのかな、と思って画面を覗くと、どうやら宅配の人ではなさそうだった。
 黒い髪をチャラい感じに巻いてる男の人。
 …誰?

 とりあえず音声機能で話しかけてみる。

「はい…どちらさまですか」

「???あれ?黒崎…じゃないね?……あ、僕ね、黒崎春樹の友人の結城です。黒崎いるかな?」

「今、いませんが…何か用事ですか?春樹が帰ってくるの遅いと思いますけど上がっていきますか?」

「大丈夫…って言いたいとこだけど、お願いします」

「わかりました」

 ロック解除する。慌ててお茶の準備。


 ………あれ?もしかして家に上げたりしちゃダメだったかな?悪い人じゃなさそうだから通しちゃったけど。
 一応春樹に連絡しとこ。

『"ゆうき"さんって人が家を尋ねてきて、家に上げちゃった。用事があるらしい』

 よし。



 チャイムが鳴って家のドアを開ける。

「いらっしゃい、でいいんですかね?」

「どうもありがとう。お邪魔します」


 訪ねてきたのは、深い緑色の髪のチャラそうなイケメンだった。



感想 1

あなたにおすすめの小説

また恋人に振られたので酒に飲まれていたらゴツい騎士に求婚していた件

月衣
BL
また恋人に振られた魔導省のエリート官吏アルヴィス。失恋のショックで酒に溺れた彼は勢いのまま酒場に現れた屈強な王宮騎士ガラティスに求婚してしまう。 翌朝すべての記憶を保持したまま絶望するアルヴィスだったが当のガラティスはなぜか本気だった。 「安心しろ。俺は誠実な男だ。一度決めたことは覆さない」 逃げようとするエリート魔導師と絶対に逃がさない最強騎士 貢ぎ体質な男が捕まる強制恋愛コメディのつもりです!!

平凡αは一途なΩに愛される

マイユニ
BL
子供の頃一度だけ会った男の子の事が忘れられず、その子に似た雰囲気の子と付き合っては別れるを繰り返してきた響介。 ある日全国にホテルを展開している会社の御曹司とお見合いをすることに。 どことなく初恋の人に面影が似ていて気になったが、相手は終始俯いていて乗り気に見えない。これは無理だなと思っていたのに何故か縁談はまとまり、結婚することに。 甘い結婚生活を期待していた響介に待っていたのは、甘いとは程遠い日常。相手の男は自室に引き籠もったまま出てこない。家事は完璧だが彼が行っているのか、人を雇っているのか定かではない。 この結婚生活に意味があるのか分からなくなり、離婚届を用意するまでに。 そんな時長年付き合ってきた人と結婚した大学時代からの友人の幸せそうな姿を目の当たりにする。彼と話をしようと決意して、帰宅すると彼は発情を起こしていた。 オメガバース設定です。 薬の開発が進んでいて発情を抑制できている世界です。 *マークは背後注意シーンがあります。 後半はずっといちゃついております。*マークずっとついています。 『初めてを君と』に出てきた理仁の友人で、二人も出てきます。 前作を読んでなくても大丈夫ですが、合わせて読んで頂けると嬉しいです。

いつも役立たずで迷惑だと言われてきた僕、ちょっとヤンデレな魔法使いに執着された。嫉妬? 独占? そんなことより二人で気ままに過ごしたいです!

迷路を跳ぶ狐
BL
 貴族の落ちこぼれの魔法使いの僕は、精霊族の魔法使いとして領主様の城で働いてきた。  だけど、僕はもともと魔力なんてあんまりないし、魔法も苦手で失敗ばかり。そんな僕は、どうも人をイラつかせるらしい。わざとやってるのか! と、怒鳴られることも多かった。  ある日僕は使用人に命じられて働く最中、魔力が大好きらしい魔法使いに出会った。たまに驚くようなこともするけど、僕は彼と話すのは楽しかった。  そんな毎日を過ごしていたら、城に別の魔法使いが迎えられることになり、領主様は僕のことはもういらなくなったらしい。売ろうとしたようだが、無能と噂の僕に金を出す貴族はいなくて、処刑しようなんて考えていたようだ。なんだよそれ!! そんなの絶対に嫌だぞ!!  だけど、僕に拒否する権利なんてないし、命じられたら死ぬしかない……  怯える僕を助けてくれたのが、あの魔法使いだった。領主様の前で金を積み上げ、「魔法なら、俺がうまく使えるようにしてあげる。他にも条件があるなら飲むから、それ、ちょうだい」って言ったらしい。よく分からないが、精霊族の魔力が欲しかったのか??  そんなわけで、僕は、その魔法使いの屋敷に連れてこられた。「これからたくさん弄ぶね」って言われたけど、どういう意味なんだろう……それに僕、もしかしてこの人のこと、好き……なんじゃないかな……

ハイスペックストーカーに追われています

たかつきよしき
BL
祐樹は美少女顔負けの美貌で、朝の通勤ラッシュアワーを、女性専用車両に乗ることで回避していた。しかし、そんなことをしたバチなのか、ハイスペック男子の昌磨に一目惚れされて求愛をうける。男に告白されるなんて、冗談じゃねぇ!!と思ったが、この昌磨という男なかなかのハイスペック。利用できる!と、判断して、近づいたのが失敗の始まり。とある切っ掛けで、男だとバラしても昌磨の愛は諦めることを知らず、ハイスペックぶりをフルに活用して迫ってくる!! と言うタイトル通りの内容。前半は笑ってもらえたらなぁと言う気持ちで、後半はシリアスにBLらしく萌えると感じて頂けるように書きました。 完結しました。

【完結】塩対応の同室騎士は言葉が足らない

ゆうきぼし/優輝星
BL
騎士団養成の寄宿学校に通うアルベルトは幼いころのトラウマで閉所恐怖症の発作を抱えていた。やっと広い二人部屋に移動になるが同室のサミュエルは塩対応だった。実はサミュエルは継承争いで義母から命を狙われていたのだ。サミュエルは無口で無表情だがアルベルトの優しさにふれ少しづつ二人に変化が訪れる。 元のあらすじは塩彼氏アンソロ(2022年8月)寄稿作品です。公開終了後、大幅改稿+書き下ろし。 無口俺様攻め×美形世話好き *マークがついた回には性的描写が含まれます。表紙はpome村さま 他サイトも転載してます。

ノリで付き合っただけなのに、別れてくれなくて詰んでる

cheeery
BL
告白23連敗中の高校二年生・浅海凪。失恋のショックと友人たちの悪ノリから、クラス一のモテ男で親友、久遠碧斗に勢いで「付き合うか」と言ってしまう。冗談で済むと思いきや、碧斗は「いいよ」とあっさり承諾し本気で付き合うことになってしまった。 「付き合おうって言ったのは凪だよね」 あの流れで本気だとは思わないだろおおお。 凪はなんとか碧斗に愛想を尽かされようと、嫌われよう大作戦を実行するが……?

無能の騎士~退職させられたいので典型的な無能で最低最悪な騎士を演じます~

紫鶴
BL
早く退職させられたい!! 俺は労働が嫌いだ。玉の輿で稼ぎの良い婚約者をゲットできたのに、家族に俺には勿体なさ過ぎる!というので騎士団に入団させられて働いている。くそう、ヴィがいるから楽できると思ったのになんでだよ!!でも家族の圧力が怖いから自主退職できない! はっ!そうだ!退職させた方が良いと思わせればいいんだ!! なので俺は無能で最悪最低な悪徳貴族(騎士)を演じることにした。 「ベルちゃん、大好き」 「まっ!準備してないから!!ちょっとヴィ!服脱がせないでよ!!」 でろでろに主人公を溺愛している婚約者と早く退職させられたい主人公のらぶあまな話。 ーーー ムーンライトノベルズでも連載中。

騎士団長の秘密の部屋に匿われています!?

krm
BL
王子なのに魔力が異端!?式典中にまさかの魔力暴走を起こした第三王子アストル。地下室に幽閉されそうになったその時、騎士団長グレンの秘密の部屋にかくまわれることに!けれどそれは、生活感ゼロ、無表情な騎士とふたりきりの、ちょっと不便な隠れ家生活だった。 なのに、どうしてだろう。不器用なやさしさや、ふいに触れる手の温もりが、やけに心に残ってしまう。 「殿下の笑顔を拝見するのが、私の楽しみですので」 「……そんな顔して言われたら、勘違いしちゃうじゃん……」 少しずつ近づいていく二人と、異端の魔力に隠された真実とは――? お堅い騎士×異端の王子の、秘密のかくれ家ラブコメディ♡