大学一のイケメンに好きになったかどうか聞かれています。

はなみ

文字の大きさ
13 / 30
本編2

お悩み

(前半:春樹side 後半:優里side)



 結城翠。裏の顔は"情報屋マリス"。

 裏でその名を知らぬものはいない。
 金さえ払えばどんな情報でも手に入る、最も有能な情報屋。

 優里には、スイとの関係を友人ということにしてあるが、実際はただの仕事仲間だ。



 情報屋や俺のような闇医者は、優先する組織が多少あるものの、どの組織にとっても必要な存在のために比較的中立の立場にある。

 そんな立場の俺たち2人は師匠セヤを通じて知り合った。
 どちらの立場からしても知り合っておくには害がない、というよりむしろ有益だ。

 そこから交流していくうちに、一緒に遊びに行ったり、食事をしたり、恋愛相談したり、もはや普通の友達レベルの仲の良さではあるが。


 しかしながら、いくらスイと俺の仲が良くても、彼に恋人がいても、優里とはこんなに早く会わせるつもりはなかった。
 一人占めしていたかったし、そもそも俺の仕事について話していないし。

 と、思っていたがそこはさすが情報屋。
 優里が俺の家にいるのをいち早く把握し、俺がいないときを狙ってやって来た。
 俺がスイに何も伝えるつもりはないと予想していたのだろう。



 もちろん彼が何の目的もなく、俺の家に突撃してくるような人ではないことを知っている。ちょっとチャラいが。
 今回は"一条優里"という人物への接触と俺への忠告だろう。
「くれぐれも気を付けろよ」と。

 俺に恋人がいることが広まれば、それは俺の弱点を広めているのと同義。つまりは優里が俺の代わりに命を狙われる可能性が出てくるということ。
 それを言いに来たんだと思われる。

 スイも理央くんも優里に、俺が闇医者だと告げていないことを察しているだろう。
 2人から彼に何か言ったりはしないようだが、彼らなりに何も知らない優里を気にかけてくれているようだった。


 まさか忠告に来たそっちの2人が狙われるとは思っていなかったが。



 あのとき、優里がもしもグラスを投げていなかったらと思うとぞっとする。
 あのナイフのスピードではさすがに俺もスイも理央くんを守るための対応はできなかっただろう。

 ちゃんとした店だから、と油断していた。


 俺と付き合うことで優里が危険にさらされる、その事実をやっと自分事として感じられた。

 ーーー本当は俺のそばにいない方が安全だ。
 だからといって、離れる、なんて選択肢は俺の中にはない。
 そう、俺が守ればいいだけなのだから。と、完結させる。



 しかし、1つの問題がのこる。
 いつ優里に本当のことを言うか、だ。

 スイが彼に情報屋だと伝えると少し複雑な顔をした。
 びっくりしているような、苦虫を噛み潰したような、それをうまくごまかそうとしているような。

 正直、反応は芳しくない。
 いきなり裏社会の住人だと伝えられてとまどっているのか、はたまた引いているのか。


 今、はまだそのときではないはずだ。
 けれど、いつかは嫌われる覚悟を持って…いや、それなら今の方がいいのではないか?





 問いの答えも嫌われる覚悟も嫌われない自信もない。
 ただひとつ、けれど大きな隠し事をして、俺は彼の恋人で居られるだろうか……違う。居続けるんだ。










 ーーーーーーー










 結城さんと理央くんは衝撃的な事実を残して帰っていった。
 濃い1日だった!!!
 とにかくお疲れなので、早々に風呂に入り、ベッドに横たわる。


 俺の後にベッドに入ってきた春樹。
 俺を抱きしめて、眠りに誘導するようないい声で「おやすみ」と声をかけられる。
 そして夢の世界へ……




 そう、お気付きだろうか。
 キスから先がない!!のである。
 とはいえ、まだ付き合って2日目だが。

 いやいやいや、そもそもそれっぽい雰囲気が全くない。
 付き合いたてのカップルが同じベッドだぞ?
 うーん、俺にそういう魅力がないのだろうか…困った。


 何せ、俺はそういうことは初めてなのだ。
 全くこれまでに恋人がいなかったわけではないが、「やっぱり違う」と言われ、恋人に戻ること数回。

 そういう雰囲気になったことがなく、持っていき方もわからない。


 よし!
 ここはあの人に相談しよう。
 最近、俺と同じポジションだとわかった、先輩であるあの人に!!!






「優里ちゃん。今回は何の相談?」

相変わらず、俺の呼び出しにすぐに応じてくれた栄。
今回もコーヒーを奢ることになっている。


「夜の話」

「ブーー!!」

 飲んでいたコーラを吹き出す栄。


「ゲホゲホッ……は?」

「栄はアジュと付き合ってるんでしょ?ってことは…そういうのも…だから、アドバイス欲しくて」

「え?優里ちゃん、その……まだなの?あいつ、手早そうなのに」

「うん、同じベッドで寝てはいるんだけどね。キスしかしない」

「まじかぁ」

「俺に魅力ないのかな?どうしたらいいんだろ…」

「でもさ!まだ2日くらいでしょ?……いや、ヘタレな可能性も…?」

「どうしたらいいかな?誘えばいいのかな?」

「うーん、俺じゃわかんないな。よし、アジュに聞いてみるか。とりあえず呼ぶわ」



 いつも夜はアジュから誘われるために、誘い方がわからない栄は、俺の悩みを丸投げするためにアジュを呼び出してくれることになった。



感想 1

あなたにおすすめの小説

また恋人に振られたので酒に飲まれていたらゴツい騎士に求婚していた件

月衣
BL
また恋人に振られた魔導省のエリート官吏アルヴィス。失恋のショックで酒に溺れた彼は勢いのまま酒場に現れた屈強な王宮騎士ガラティスに求婚してしまう。 翌朝すべての記憶を保持したまま絶望するアルヴィスだったが当のガラティスはなぜか本気だった。 「安心しろ。俺は誠実な男だ。一度決めたことは覆さない」 逃げようとするエリート魔導師と絶対に逃がさない最強騎士 貢ぎ体質な男が捕まる強制恋愛コメディのつもりです!!

平凡αは一途なΩに愛される

マイユニ
BL
子供の頃一度だけ会った男の子の事が忘れられず、その子に似た雰囲気の子と付き合っては別れるを繰り返してきた響介。 ある日全国にホテルを展開している会社の御曹司とお見合いをすることに。 どことなく初恋の人に面影が似ていて気になったが、相手は終始俯いていて乗り気に見えない。これは無理だなと思っていたのに何故か縁談はまとまり、結婚することに。 甘い結婚生活を期待していた響介に待っていたのは、甘いとは程遠い日常。相手の男は自室に引き籠もったまま出てこない。家事は完璧だが彼が行っているのか、人を雇っているのか定かではない。 この結婚生活に意味があるのか分からなくなり、離婚届を用意するまでに。 そんな時長年付き合ってきた人と結婚した大学時代からの友人の幸せそうな姿を目の当たりにする。彼と話をしようと決意して、帰宅すると彼は発情を起こしていた。 オメガバース設定です。 薬の開発が進んでいて発情を抑制できている世界です。 *マークは背後注意シーンがあります。 後半はずっといちゃついております。*マークずっとついています。 『初めてを君と』に出てきた理仁の友人で、二人も出てきます。 前作を読んでなくても大丈夫ですが、合わせて読んで頂けると嬉しいです。

いつも役立たずで迷惑だと言われてきた僕、ちょっとヤンデレな魔法使いに執着された。嫉妬? 独占? そんなことより二人で気ままに過ごしたいです!

迷路を跳ぶ狐
BL
 貴族の落ちこぼれの魔法使いの僕は、精霊族の魔法使いとして領主様の城で働いてきた。  だけど、僕はもともと魔力なんてあんまりないし、魔法も苦手で失敗ばかり。そんな僕は、どうも人をイラつかせるらしい。わざとやってるのか! と、怒鳴られることも多かった。  ある日僕は使用人に命じられて働く最中、魔力が大好きらしい魔法使いに出会った。たまに驚くようなこともするけど、僕は彼と話すのは楽しかった。  そんな毎日を過ごしていたら、城に別の魔法使いが迎えられることになり、領主様は僕のことはもういらなくなったらしい。売ろうとしたようだが、無能と噂の僕に金を出す貴族はいなくて、処刑しようなんて考えていたようだ。なんだよそれ!! そんなの絶対に嫌だぞ!!  だけど、僕に拒否する権利なんてないし、命じられたら死ぬしかない……  怯える僕を助けてくれたのが、あの魔法使いだった。領主様の前で金を積み上げ、「魔法なら、俺がうまく使えるようにしてあげる。他にも条件があるなら飲むから、それ、ちょうだい」って言ったらしい。よく分からないが、精霊族の魔力が欲しかったのか??  そんなわけで、僕は、その魔法使いの屋敷に連れてこられた。「これからたくさん弄ぶね」って言われたけど、どういう意味なんだろう……それに僕、もしかしてこの人のこと、好き……なんじゃないかな……

【完結】塩対応の同室騎士は言葉が足らない

ゆうきぼし/優輝星
BL
騎士団養成の寄宿学校に通うアルベルトは幼いころのトラウマで閉所恐怖症の発作を抱えていた。やっと広い二人部屋に移動になるが同室のサミュエルは塩対応だった。実はサミュエルは継承争いで義母から命を狙われていたのだ。サミュエルは無口で無表情だがアルベルトの優しさにふれ少しづつ二人に変化が訪れる。 元のあらすじは塩彼氏アンソロ(2022年8月)寄稿作品です。公開終了後、大幅改稿+書き下ろし。 無口俺様攻め×美形世話好き *マークがついた回には性的描写が含まれます。表紙はpome村さま 他サイトも転載してます。

ただの平凡田舎男子は勇者な幼馴染と精霊に愛されます。

BL
シャメル王国の田舎で農家として過ごしているルイ。 優しい町の人と大好きな自然、精霊に囲まれながら幸せに過ごすルイのところに 勇者として街を離れていた幼馴染のランが帰ってくる。 そしてそれは平凡が壊れ始める合図の1つで!? 「ルイ結婚しよう。」 〈いやルイは私の嫁だ。〉 「はぁぁ!?!?」 ただの平凡男子が幼馴染勇者と話通じない系精霊に愛されるドタバタストーリー。 ほんとにゆっくり進めます。よろしくです!

不遇の第七王子は愛され不慣れで困惑気味です

新川はじめ
BL
 国王とシスターの間に生まれたフィル・ディーンテ。五歳で母を亡くし第七王子として王宮へ迎え入れられたのだが、そこは針の筵だった。唯一優しくしてくれたのは王太子である兄セガールとその友人オーティスで、二人の存在が幼いフィルにとって心の支えだった。  フィルが十八歳になった頃、王宮内で生霊事件が発生。セガールの寝所に夜な夜な現れる生霊を退治するため、彼と容姿のよく似たフィルが囮になることに。指揮を取るのは大魔法師になったオーティスで「生霊が現れたら直ちに捉えます」と言ってたはずなのに何やら様子がおかしい。  生霊はベッドに潜り込んでお触りを始めるし。想い人のオーティスはなぜか黙ってガン見してるし。どうしちゃったの、話が違うじゃん!頼むからしっかりしてくれよぉー!

王様お許しください

nano ひにゃ
BL
魔王様に気に入られる弱小魔物。 気ままに暮らしていた所に突然魔王が城と共に現れ抱かれるようになる。 性描写は予告なく入ります、冒頭からですのでご注意ください。

ボスルートがあるなんて聞いてない!

BL
夜寝て、朝起きたらサブ垢の姿でゲームの世界に!? キャラメイクを終え、明日から早速遊ぼうとベッドに入ったはず。 それがどうして外に!?しかも森!?ここどこだよ! ゲームとは違う動きをするも、なんだかんだゲーム通りに進んでしまい....? あれ?お前ボスキャラじゃなかったっけ? 不器用イケメン×楽観的イケメン(中身モブ) ※更新遅め