非戦闘系ギフト・箱庭で世界を救え?!そんな無茶な! でもいつの間にか救っちゃっていたようです

AnJ

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芽吹の箱庭

とりあえずここを出よう

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 やっと自分の今置かれている状況に焦り始めた。

「しまった。僕としたことが、確実に子供のテンションになってしまっている。このスキルの検証も勿論大事だけど、ここがどこか分からないことには。。人の気配どころか、動物の気配すらないんだよな。」

 散々、木やら植物やらを採取しながら結構な範囲を移動したと思うのだが、その間に動物に出会っていない。鳥のさえずりは聞こえるが、どこから聞こえているかも分からない。そして、かなり前に採取したであろう場所が丸裸になっているわけではなく、気付くと元の林に戻っているっぽいんだよな。
 しかももっと奇妙なことに、明るさが変わらない。イコール、時間が経過していない?

「結構時間が経っているはずなのに、西日が当たってくるわけでもなく、日がかげるわけでもない。ここはどこか異空間なのか?」

 とりあえず採取は続けながら歩いていく。ふと、風の音に混じって水のせせらぎが聞こえてきた。まだ採取していない林の向こうに、きらりと光る水面が見えた。

「川だ!」

 川幅はそんなに広くないが、緩やかに流れる小川が姿を現した。水の中から、キラッとかすかに光が反射する。水面近くに銀色の影がちらりと走った。そこには今までなかった生き物の気配が確かにある。
 やっと出会えた動く生き物が魚だったが、嬉しくなった。
 丁度、咽が乾いていたので少し水をすくって箱庭に垂らしてみる。


 【清い水】
 〈状態〉とても神聖。
 〈用途〉飲用可。ポーションの材料。川、湖、堀など様々な用途に使用可。
 〈効果〉疲労回復。魔力回復。浄化。解毒。


 なんだかとんでもお水だったようだ。。。



 一口飲んでみる。

「うまい!」

 口に含んだ瞬間、スゥっと全身に染み渡っていった。何口かごくごくと夢中で飲んだ後、頭が澄み渡っていくと同時に体が軽くなった気がした。結構気だるくなってきていたのだ。色々夢中になりすぎて、自分のレベルやMPの確認をし忘れていたな。もしかしたらMPがかなり減っていたのかもしれない。


 「この水は是非とも頂いておきたいな。どれどれ、川、湖、堀など様々な用途に使用可。ってことは本物の川まで箱庭に設置できるのか?!」


 現実の世界ではとうていありえない、いや、海のように水を溜めておいたり、循環器で水を回して流したり、レジンなんかで水を表現したり、できなくはないが大掛かりな装置や対策が必要になってくる。

 「やってみるか」

 目視でこの小川とその中にいるであろう生き物、石、水草などを箱庭内に存在するようにイメージする。
 少し時間がかかったが、成功のようだ。だが、ゴッソリ何かが体から抜ける感覚に襲われた。ヤバイ、フラフラする。思わず座り込んでそのまま倒れてしまった。その際に顔が水に半分浸かってしまったので、行儀は悪いが水面に口をつけてそのまま直接水を飲む。何口か飲んだところで、またさっきの体が軽くなる感覚を感じた。

「回復した!」

 座っていることすらままならなかったのに、シャキッと立ち上がることができた。

  大した運動もしていないのに、何だか疲れてしまった。体というより頭が。
 めまぐるしい変化についていけない。だが、悠長にここでのんびりしている場合ではない。今のところいわゆる魔獣のような生き物には出会っていないからいいものの、この箱庭は戦闘系のギフトではないことは明らかだ。
 何か対策をしておかなければならない。
 そして、何より衣食住の整った生活がしたい。情報を得るためには人が住んでいる場所に行かなければ。


「この小川に沿って歩いて行けば、ふもとにたどり着けるかもしれない。」

 そう思って下流に向かって移動していく。今まで平坦だったのが緩やかに下っている様子だ。両脇には3メートルはゆうにありそうな大きな岩が壁のように不規則に並んでいる。その向こう側には木が見えているので、林が広がっているのだろう。

「この風景も箱庭に納めておきたいな。」

 ふとそう思い、新しい箱庭を開けてこの辺り一帯の風景を思い描きながら目を閉じて集中する。またごそっと体の中から何かが抜けていくのを感じた後、目を開けると箱庭は完成していて目の前の景色は変わっていなかった。
「本当にここは不思議な場所だな~。」

 今度はフラフラすることなく立ったままだ。少し疲れたくらいだったので、そのまま歩いていくことにした。
 
「あれ?行き止まり?」



 小川が段々と細くなり、大岩も段々とサイズが小さくなってまた木々が現れ出した。そして小川はその木々の間を流れていっているようだ。
 その向こうはどうなっているのか確認しようと木の間を通り抜けた瞬間、何か膜のような物を通り抜けた感覚の後に景色が一変した。




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