輝く絵画

やわらかうさぎ

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輝く絵画

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見えない

世界が暗く

私の視界には何も無い


自我の世界しか知らない私にとっては

外の世界は憧れの対象だった


「おい、ミサキぼーっとしてどうしたんだ?」

アユミが私のことを呼んでいる

「ううん、考え事をしてただけ、あの盲導犬を連れてる人が何を考えて生きてるのか少し気になって…」
「さぁ…そんなこと考えてどうなるの?」

アユミは少し冷たくあしらった
考えすぎる傾向がある私に対して不思議な感情を抱いてるのかもしれない

「それよりさ、課題のデッサン終わった?日常で輝いているものを書くってやつ。題材が抽象的すぎてなにをかいていいものか」

私とアユミが通う美術系の学校では毎週課題が出される。成績に関わるから最低限のことはやる必要がある

「私もまだ終わってない、輝くものかぁ… 安直だけど、今の夕日とかでいいんじゃないかな?」
「本当にそう思ってる?ミサキは時々何考えてるか分からないから」

アユミは鋭いところがある
私が本当に描きたいのは

夕日や星空や綺麗な夜景のような、目に見える輝きではないのかもしれない


「ねぇ、アユミ!私目隠しするから体支えて」
「は?何言ってんの?」

当然の反応だったが、私はアユミの言葉を聞かずにバッグに入っているタオルを目に巻き付け頭の後ろで固く縛った。

本当は目の見えないあの人に何を考えてるのか聞きたかったけど、いきなり話しかけたら迷惑かもしれない。あの人にとって私という存在が入り込むのがなぜか許せなかった。それでも、妄想で考えたものだけで満足出来なかったから、自分で体験するしかないという結論に至った。

「…ホントにミサキはよく分からないわー。今に始まったことじゃないけどさ」

悪態をつきながらもアユミは付き合ってくれる

「やだ、何も見えない」
「そりゃそうだろ」
「離さないでね、絶対だよ」
「わかってるって」

白いタオルだったためかうっすらと光が入ってきたが、視界には何も映らず、周りの音と地面を踏む感覚で歩くしかなかった。しかしどうしてか私が思っていたより強い不安感はなかった。アユミの声と匂いと右肩に感じる温度が私を安心させていたのだろうか。

「それで…満足した?」

アユミが早く終わってくれといった調子で尋ねてきた

「わかった!アユミは犬だ!」
「……は?」


実際に経験してみてわかった、あの目の見えない人にとっての盲導犬は私にとってのアユミなのだと。暗く不安に追われながらも、近くに感じる温もりが安心させてくれるのかもしれない


「いや、そろそろ目隠しとってくんない?」


私は今週の課題を提出をした時に怒られてしまった
どうやら課題は日常に輝く風景画だったらしい


これではただの似顔絵だと
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