夢に出てきた君に会う

円山ヒカリ

文字の大きさ
上 下
2 / 2
憂鬱な日々と、楽しい夢の世界

あなたに会えただけで幸せ

しおりを挟む
初めてあなたに会ったのは1年くらい前のこと。
あなたはクラスメートとして、私の席の隣に座っていた。
名前もよく知らなかった。

でも、それから、徐々に、なんとなく話すようになって、いまでは連絡先も交換した。
そして、昨日は初めて彼と出かける約束をしたの。

そう、全部、夢の中の話だけどね。

普通、夢の中の恋愛って、面倒くさいのすっ飛ばして一番盛り上がるシーンだけみせてくれるものじゃない。
熱いキスとかさ。激しく求めあう二人みたいな。

でも私のは違う。

この1年毎日夢の中で同じ人に会って、関係を構築してきたの。
最初の半年は夢の中でさえ挨拶しかできなかったくらい。

ようやく、仲良くなってきたところで、連絡先の交換もつい一か月前くらい。
夢の中なのに、なんでこんなに情報開示が少ないのってくらい、彼のこと知らない。
でも、顔は好みのタイプだし、友達からの評判もとても良いのだ。夢の中だけど。

声を聴くだけで幸せな気分になれる。

そして、ようやくこぎつけた初めての約束。
はっきり言って、今日は会社の仕事なんてまじめにやってる場合じゃない。
今夜に向けて、念入りにデートのシミュレーションをしないといけない。

話題を豊富に準備して、会話に詰まったら二人でできるアプリを用意して。

ああ。
会社の仕事面倒くさいのが多いな。こんな日に限って。
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する


処理中です...