ヴォルチヤ・パーラ〜非処女厨の馬に執着されてます〜

みらい

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二話、境目に一つの影

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 二つの影が、解ける夜の入口。

 彼らが行き着いたのは、国境付近。
 彼等のお気に入りの場所。

 そこで漸く、馬から降りる騎士。

 静かな崖。
 下は河。
 その向こうを見渡せ、更に奥には町の光が星の様に煌めいていた。

 別の方向を眺めた。
 ちょうど祖国が見える上に他二国が望める場所。
 祖国の方向では光がいくつか宙に浮く。
 それを見て騎士は眉間に皺を寄せる。

 ――まだ。
 諦めきれない。
 もしかしたら、あの中の一員になれたことを――。

 それを頭からかき消すように、黒馬に話しかける。

「……クロ、あれはだめだ」

 そういって、クロと呼んだ黒い馬を見遣る。

「は? 魔物を狩ったのだから、話は要らんだろう? 大体、アレを狩れない程度の腕でなぜ依頼を引き受けたのか……やつら餌にでもなりたかったのか?」

 その物言いに、騎士はため息を吐く。
 諫めるつもりでいたが、愚痴が始まった。
 クロはさらに続ける。

「そもそも俺様のご主人様に色目使ったのも気に入らんな。俺様達に救援使ったのもわざとだろ? だって……」
「ランクは私達の方が高いからな」
「わざとだって。ご主人様に助けられたいから」

 ため息を堪えて、聞いてみる。

「どうやって確かめるんだ?」
「だって……あの目だけでも、ご主人様のファンですって言ってるも同然だったぞ。不快だ」
「おまえはいつも過剰だな」

 フッと笑うが、否定はしなかった。
 クロが包み込むように、ヴォルと呼んだ主人の後ろに座る。
 その馬に寄っかかるように背を預ける。

「ほら、これで機嫌を戻せ。冒険者協会行って彼らと会ったら気まずいのは私だ」
「これはいつもだろ。もっとこう……乗っかかるとか……」
「……それはいつもしてるが……」
「いや、なんていうかさ、俺様だけにしてくれるやつ」
「はいはい」

 あしらいながら黒騎士ヴォル――ヴォルコフ・ラザレフスキーは愛馬のクロを手入れする。
 馬にはない二つの角を拭いて。
 鬣を梳いてやる。

「違うって!」と言いながらも、暴れはしない。
 終いには、「俺様が綺麗だとご主人様も綺麗に見えるからやれ」という始末。

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