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十五話、追跡
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*クロ一人称視点
ふらりと散歩していると、主の匂いが彼の祖国に向いていることに気がついた。
置いていかれた。
ああ言ってたのに。
そう思った瞬間、胸の奥が冷えた。
また白を見て。
また俺様を置いた。
いや。……違う。
厩の外気に、白い匂いが混じっている。
甘い香。油。
ご主人様の匂いの上に、塗り重ねられている。
――捨てたなら、隠す必要がない。
ようやく引っかかりを飲み込んだ。
これは置いていかれたじゃない。
更に進むと、鎧と槍が落ちていた。
いつも見る背中の上にいる、黒。
誰のものかは一目瞭然。
奪われたんだ。
争った形跡はない。
それなら、薬か。
この甘い匂いがその類なのだろう。
匂いを嗅ぎ、辿る。
白は嫌いだ。
昔から。
しかし、主人が打ち明けたのなら、己も。
そんなことを思っていたところでこれだ。
見失うのだけは、もう勘弁。
蹄を鳴らし、駆けた。
大切な。大切な人の元へ。
ふらりと散歩していると、主の匂いが彼の祖国に向いていることに気がついた。
置いていかれた。
ああ言ってたのに。
そう思った瞬間、胸の奥が冷えた。
また白を見て。
また俺様を置いた。
いや。……違う。
厩の外気に、白い匂いが混じっている。
甘い香。油。
ご主人様の匂いの上に、塗り重ねられている。
――捨てたなら、隠す必要がない。
ようやく引っかかりを飲み込んだ。
これは置いていかれたじゃない。
更に進むと、鎧と槍が落ちていた。
いつも見る背中の上にいる、黒。
誰のものかは一目瞭然。
奪われたんだ。
争った形跡はない。
それなら、薬か。
この甘い匂いがその類なのだろう。
匂いを嗅ぎ、辿る。
白は嫌いだ。
昔から。
しかし、主人が打ち明けたのなら、己も。
そんなことを思っていたところでこれだ。
見失うのだけは、もう勘弁。
蹄を鳴らし、駆けた。
大切な。大切な人の元へ。
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