ばあちゃる彼氏

シソ

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5.雌豚

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 心愛とカフェに行ってから一週間が経った。今日は英語の授業がある。
 教室に向かうと、中から賑やかな声が聞こえてきた。萌奈美はドアを開ける。すると一瞬時が止まったかのように空気が固まった。中にいる十数人の女の子達の視線が一斉に萌奈美に合わされ、そして逸らされる。
 クスクスクス
 誰かが笑い始めた。笑い声は増えていく。
 リンゴ娘が来たわよ。
 誰かがそう小声で言うと笑い声は大きくなった。
 萌奈美はそんな事は気にせず自分の席へと向かう。
 こいつらは所詮豚だ。雌豚だ。
 そう自分に言い聞かせると萌奈美は席に座り、スマホを開いた。適当にネットサーフィンをしていると画面下のバナー広告が目に止まる。広告はアプリの広告のようで「AIがあなたにピッタリの彼氏を提供‼︎ばあちゃる彼氏」と書かれている。萌奈美には現在、友達も彼氏もいない。特に彼氏なんて出来たこともない。
 萌奈美はアプリに興味を持ち、広告をタップしようとした。しかし、タップしようとした瞬間、チャイムが鳴り、英語の先生が教室に入ってくる。そして同時に心愛が「セーフ!セーフ!」と言いながら萌奈美の隣に勢いよく座った。萌奈美は慌ててスマホの電源を切る。
 とりあえず授業が終わったら詳しく調べよう。
 萌奈美は深呼吸をした。
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