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 さむいさむいふゆが、くるみおばさんがんでいる森にもやってきました。


 くるみおばさんは、ふゆがなんとなくいやでした。

 ふゆになってゆきがふってくると、どうぶつたちはみんないえにこもったり、冬眠とうみんしてしまったりして、とてもゆううつだからなのです。
 それに、パンもはんじょうしません。



 ある日、とうとう初雪はつゆきがふってきました。

 くるみおばさんはゆううつそうに、まどからそとをながめます。そとにいたどうぶつたちも、みんないえへといそぎかえっていきます。

 そしてよるじゅう、ゆきはふりつづけました。




 つぎの日のあさ

 くるみおばさんはあくびをしながら、そとました。
 そして、

「ひゃあ、さむぅい!」

 と悲鳴ひめいのようなこえをあげました。


 ると、あたりは銀世界ぎんせかいです。
 いまかおしたばかりの太陽たいようひかりがあたり一面いちめんふりそそぎ、野原のはらゆきはダイヤモンドのようにかがやいています。

 くるみおばさんは、おどろきながらまわりの景色けしきいりました。ふゆつめたい空気くうきが、ほおをかすめます。

「きれい……」

 くるみおばさんは、おもわずつぶやきました。


 そのとき、はっとわれにかえって、

「わぁ、たいへん! パンをくのをわすれてたっ」

 あわててみせにもどりました。
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