チャロアと99人の魔法使い

雪村みおり

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 サンタクロースさんはとおい空から広場ひろばへおりてきて、子どもたちにプレゼントをわたしてくれます。

「メリークリスマス、チャロア。きみはがんばりやさんだから、これをあげよう」
「わあ! サンタクロースさん、ありがとう!」

 チャロアがもらったのは、あたらしい魔法まほうつえでした。とてもきれいな、みどり色をしています。

「チャロア。きみはきっと、すてきな魔法使まほうつかいになれるよ」

 サンタクロースさんはそううと、チャロアを見つめました。
 白いかみに白いヒゲ。はたらきものの、ゴツゴツとした手。白くてふといまゆげの下で、やさしい目がわらっていました。


 そんなたのしいクリスマスをおもかえしながら、チャロアは口をひらきます。

とうさん、かあさん。絵本えほんの中の人はわらっているのに、この町の人はみんな、なんだか元気げんきがないんだ。でも、サンタクロースさんがときだけは、子どももおとなも、みんなえがおになる。だからぼく、みんなをえがおにできる人になりたいんだ」

 真剣しんけんはなすチャロアを見て、おとうさんとおかあさんはにっこりとわらいました。

「それは、とってもすばらしいことだわ」
「そうだな。チャロアらしいね」
「へへっ」

 チャロアはうれしそうにわらったあと、ふとくびをかしげます。

「でも、みんなどうして元気げんきがないのかな?」

 そのときでした。


「町から、魔法まほうえてしまったからだよ」


 しわがれたこえが、うしろからこえました。
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