29 / 113
第二章:いざ、5人揃って
第26話:揺るがぬ勝利
しおりを挟む
あれだけあった差が、ついに2,000点───最早筒井には、東場の威勢が完全に消えているのが分かる。
それは和弥だけではなく、後ろから見ている小百合、由香、綾乃。そして龍子の目にも明らかだった。
(ラス親の花澤さん………物凄い神妙な表情をしているわ。きっと配牌が良くないのね………)
小百合の想像通り、麗美の配牌は腐っていた。
実際、極力顔には出さないようにと思っていた麗美だったが、完全に配牌が死んでおりため息が出そうになる。
(こりゃあ、私は無理だよ親連荘………。悪いけど自力で頑張って筒井くん)
そして始まった南4局。ドラは二萬。
一方の筒井にはそこそこの手が入っている。
(お、俺が和了ればいいだけだ………俺が和了れば………)
筒井は脂汗を垂らしながら、第一ツモに手を伸ばした。5巡目。
(生牌の發か………役牌を絞っていてはノーテンの可能性がある。危ないが勝負に出るしかねぇ………)
そう思い發を切った筒井だったが。
「ポン」
案の定、發を和弥に鳴かれてしまう。
(クソ………)
こういう時の悪い予感というのは、本当によく当たるものだ。しかも今のポンで、ツモが不要牌ばかりが流れ込んでくる。
(な、何だよこのツモ………)
筒井の手は、ニ向聴から全く動いてくれなくなった。
「ツモ」
和弥はパタリと手牌を倒す。筒井は悪い予感が的中した事を思い知った。
「發・ドラドラの1,000・2,000。終了だな」
嬉しさのあまり、思わず立ち上がりそうになる小百合。ガッツポーズする綾乃。
一方、まさかこの点差をひっくり返されるとは思っていなかった筒井は、怒りのあまりブルブルと震えている。
「3回戦目も俺の勝ちだな」
立ち上がり、背を伸ばす和弥。
「どうする? 4回戦目行くかい天上位さん? 何度やっても同じだと思うがな」
「あったりまえだ………半荘3回で何が分かるんだ………」
無理に笑顔を作る筒井だったが、久我崎の他の部員達は明らかに和弥に圧倒されているのが分かった。
部では麗美と共に2トップだった筒井が、一方的に打ちのめされたのだ。無理もない話である。
そして………。
「あー、ごめんごめん。私も、今日はもう失礼するね」
立ちあがる部長の麗美。
「おい花澤! どういうつもりだっ!?」
激怒して立ち上がる筒井だが、麗美は平然と後ろのソファーに座る。
「筒井くんじゃ、あと半荘10回打っても結果は一緒だよ。私もネット番長の介護で、これ以上イライラしたくないしね」
「な、なんだとっ!?」
「………」
筒井は激怒し、今日子は完全に押し黙ってしまった。
「強かったよ竜ヶ崎くん。大空から獲物を狙う鷹や鷲みたいな冷静さは、本当に新一さん思い出しちゃった。今度はこんなネット番長は抜きで勝負しようよ」
「………オヤジを知ってんのかあンた」
和弥の問いには答えず肩をポンと叩き、ソファーに座る麗美。
卓には和弥、今日子、そして筒井だけが残った。
「悪いが三人麻雀はやる気はしねぇ。卓が割れた以上は終了だな」
立ちあがって振り向く和弥に、綾乃はサムピースを送り、龍子も非常に満足そうに頷く。
「誰か入っていいですよ。俺は抜けますんで、この卓」
和弥は後ろのソファーで休もうとする。
「ちょっと待てコラッ!」
休憩しようとする和弥に、凄まじい怒鳴り声を浴びせた筒井だったが、和弥は無視して去っていく。
それは和弥だけではなく、後ろから見ている小百合、由香、綾乃。そして龍子の目にも明らかだった。
(ラス親の花澤さん………物凄い神妙な表情をしているわ。きっと配牌が良くないのね………)
小百合の想像通り、麗美の配牌は腐っていた。
実際、極力顔には出さないようにと思っていた麗美だったが、完全に配牌が死んでおりため息が出そうになる。
(こりゃあ、私は無理だよ親連荘………。悪いけど自力で頑張って筒井くん)
そして始まった南4局。ドラは二萬。
一方の筒井にはそこそこの手が入っている。
(お、俺が和了ればいいだけだ………俺が和了れば………)
筒井は脂汗を垂らしながら、第一ツモに手を伸ばした。5巡目。
(生牌の發か………役牌を絞っていてはノーテンの可能性がある。危ないが勝負に出るしかねぇ………)
そう思い發を切った筒井だったが。
「ポン」
案の定、發を和弥に鳴かれてしまう。
(クソ………)
こういう時の悪い予感というのは、本当によく当たるものだ。しかも今のポンで、ツモが不要牌ばかりが流れ込んでくる。
(な、何だよこのツモ………)
筒井の手は、ニ向聴から全く動いてくれなくなった。
「ツモ」
和弥はパタリと手牌を倒す。筒井は悪い予感が的中した事を思い知った。
「發・ドラドラの1,000・2,000。終了だな」
嬉しさのあまり、思わず立ち上がりそうになる小百合。ガッツポーズする綾乃。
一方、まさかこの点差をひっくり返されるとは思っていなかった筒井は、怒りのあまりブルブルと震えている。
「3回戦目も俺の勝ちだな」
立ち上がり、背を伸ばす和弥。
「どうする? 4回戦目行くかい天上位さん? 何度やっても同じだと思うがな」
「あったりまえだ………半荘3回で何が分かるんだ………」
無理に笑顔を作る筒井だったが、久我崎の他の部員達は明らかに和弥に圧倒されているのが分かった。
部では麗美と共に2トップだった筒井が、一方的に打ちのめされたのだ。無理もない話である。
そして………。
「あー、ごめんごめん。私も、今日はもう失礼するね」
立ちあがる部長の麗美。
「おい花澤! どういうつもりだっ!?」
激怒して立ち上がる筒井だが、麗美は平然と後ろのソファーに座る。
「筒井くんじゃ、あと半荘10回打っても結果は一緒だよ。私もネット番長の介護で、これ以上イライラしたくないしね」
「な、なんだとっ!?」
「………」
筒井は激怒し、今日子は完全に押し黙ってしまった。
「強かったよ竜ヶ崎くん。大空から獲物を狙う鷹や鷲みたいな冷静さは、本当に新一さん思い出しちゃった。今度はこんなネット番長は抜きで勝負しようよ」
「………オヤジを知ってんのかあンた」
和弥の問いには答えず肩をポンと叩き、ソファーに座る麗美。
卓には和弥、今日子、そして筒井だけが残った。
「悪いが三人麻雀はやる気はしねぇ。卓が割れた以上は終了だな」
立ちあがって振り向く和弥に、綾乃はサムピースを送り、龍子も非常に満足そうに頷く。
「誰か入っていいですよ。俺は抜けますんで、この卓」
和弥は後ろのソファーで休もうとする。
「ちょっと待てコラッ!」
休憩しようとする和弥に、凄まじい怒鳴り声を浴びせた筒井だったが、和弥は無視して去っていく。
応援ありがとうございます!
1
お気に入りに追加
8
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる