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一章 ようこそ明咲探偵事務所へ

これからよろしくね

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「お待たせー」




「掃除は終わった」
「ごめんねー遅くなって帰ろっか」
「そんなに時間かかってないよ」
「お疲れ様です」
いや言い方!
みなさん慣れすぎでは?!
って思ったけど…先ほどの一条さんの何かを見てた時の言い方だと人間じゃない何かと戦ってたっぽいんだよなぁ。
オレに見せたくない雰囲気だったし。
…だとしても、掃除は終わったってゲームとか漫画とかで使う用語だよな。
…モンスター?怪物?それとも幽霊みたいなやつ?
やべぇ怖くなってきた。
いつか面と向かって会う時あるのかな…。
「だいぶ暗くなってきたからなお前たち気をつけて帰れよ、佐々木、ちゃんと二人を送れよ」
「わーってるって」
「本当か?」
訝しげにコジローさんを見る杉田。
念には念を入れていっているようだ。
「ほんとだって~と言っても空ッチには悪いけどみとみと送ったらになるけどいーい?」
「そっそらっち?」
「だって空くんなんでしょ?だから空ッチ」
「諦めろ、あいつあだ名付けたらもうきかねぇぞこのあだ名はやめてくれこっちならいいってのがないなら確定する」
杉田さんが頭抱えてそういう。
あれ?もしかしてじゃなくても癖なのかこれ。
「…よっぽどの理由がないとあだ名が前提ですよ」
「そうなの?」
「はい」
スメラギくんがはっきりと言ってきた。
いやじゃないけど…。
「嫌だ?」
「いやっ…そのっだめとかじゃなくて…下の名前で呼ばれるの久々だったので…」
えーと説明難しいな!
呼ばれたくないとかじゃなくて照れるというか小学生じゃないし。
ワタワタと手をつい振りながら言い訳を考えたり何かしら言葉にしようとするも上手い言葉が思いつかない!
「…あー確かに、年齢は兼ねていくと下の名前で呼ぶ方が珍しいか」
杉田さんがなるほどとかオレが伝えたいニュアンスを受け止めてくれた。
おっとなぁー!
「まぁ…上下関係もありますしね」
「まぁ後輩に言わせるのもなんだが、なかなか距離感がない」
「あー先輩後輩だと仲良くても下の名前で呼ぶの少し躊躇ったことあります!わかる!」
「…そうゆうものなのですか?」
ここにいる全員があーだこーだと感想を言い始める。
仲良いなぁここの人たち。
「…よし、じゃあ慣れてもらおうか、空ッチ下の名前でみんな呼んでくれるぞー」
「え?」
「それも一理あるな」
「おもしろそー」
待って?
なぜ納得するんですか、杉田さん?
なんでおもしろがってるんですか水卜さん?!
いい仕事したって顔するなコジローお前っ!
心の中とはいえつい呼び捨てしちゃったじゃん!
「だろ?それに空ッチはいい名前だしな」
「いい…名前」
初めて言われた。
普通の名前だと思うんだけど。
「呼びやすーい」
「そこかよ!」
「えー?良いと思うよ空」
「ぇっ!」
突如水卜さんに名前それも呼び捨てで呼ばれる

ついびっくりしすぎて挙動不審になる。
「なんでそんなにびっくりするのよ…仲良くしてくれると嬉しいわこれからよろしくお願いしますね空くん」
「よっよろしくお願いします」
慌ててお辞儀する。
それを見てふふッと水卜さんは笑い
「ミトでいいよ、このメンバーで苗字で呼ぶ人少ないの」
もちろん嫌じゃなかったらね。
と付け加えられた。
「嫌じゃないです!びっくりしただけで嬉しいです!」
「そう?じゃあ遠慮なく呼んでね」
「おーまっぶしー」
パチパチと拍手をするコジローさんと一条さんあと、スメラギくんも手を叩いてた。
「仲良しはいいですよー」
「仲良し…いやあったばっか」
「いいじゃないかこのあとどうなるかはわからないがしばらくは一緒だろ?」
「そうそう、私は学校もクラスも一緒なのよ?それにこのあとはクラス替えないし」
「そっ、そうでした」
そういえば俺が見たやべーやつの捕獲とか最悪は討伐なりなんなり言ってたっけ。
「さて、駐車場行くか」
「そうだな~あんまり暗くなると危ないしなー」
「え?帰るって車で?」
杉田さんたちは納得いくけどコジローさんも?
「おう!俺免許持ってるし」
「コジロー?安全運転してよね」
「わかってるってどんだけ信頼ないんだよ」
「この前何しでかしたか覚えてるのかしら?」
「まぁまぁ落ち着いてー」
「やれやれ」
「…おっおう」

今日は晴天今は夕暮れ6時過ぎ。
春桜が散り緑が見え始めた暖かな4月に。
俺の人生はガラリと変わってしまった。


一章


2章へ続く
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