会長にコーヒーを☕

シナモン

文字の大きさ
80 / 153
5話 天敵

しおりを挟む
お菓子を持って部屋に戻った私は見たーー…

ソファに座ってゲームに興じる中年男子二人。


げーむ…だ…と…


壁付けの大きなテレビに釘付け…

なんですか、この光景…
耳をつんざく電子音ーー
ヒューン、ピューン、~🎶~


て、呆気に取られてないで、

「どうぞ」

ビスケットのお皿をテーブルに置いた。前のお皿は空になってる。

「ああ、美味しかったよ、香苗ちゃん、ありがとー」緑川さんがちらとこっちを向いた。
「緑川さん、お土産ありがとうございました」
「ははっ、名古屋土産だよん。名古屋じゃ絶対買って帰るんだー。俺あんこに目がなくってね」

へえ。そうなんだ。あとで階下に持って行こうかな。

にしてもゲーム…

ここ会社ですよ。

もう商談は終わったのかな。

これが普通の家で相手が子供なら、

ーーーこらこら、いい加減にしなさーーい、先に宿題でしょ!

はいっ、退散。

となるところですが。

何してるのーー上司様!


「お前相変わらずうまいなあ~」

緑川さんボヤかれる。
見たところスコアが芳しくない。

一方会長は
桁違いの高スコア。
意外にも会長はゲーマーだったのだ…

私はつい最近そのことを知った。

すごい…
指ってこんな風に動かすんだ……。何故か髪を撫で撫でされてるとこ思い出した。なんかさわさわする。

「高広を思い出すなあ。こーゆーの十八番だったよなあ」緑川さんしみじみと語る。
「お前もか。俺もだよ」

高広くん…
ハッカー?みたいなこと言ってたな。データに侵入するのわけないって。

「こんなクッキー食いながらやってたっけ。高広、オレ◯だっけ?」

ドキ。
オレ◯。いつか高広くんからもらったっけ。
有名なアメリカのお菓子。
いつかの都庁前での高広くんの姿が重なる。

「ああ、あの黒いやつだな」
「そーそー。アレばっか食ってたよな」
「向こうの親がそればかり出してたんだよ。それでケーキ焼いたりな」

そうだったんだ!
初耳。
アメリカでは定番なのかな。

「ふうん。元気してるのかなあ」
「あ、そういえば、メールよこしてたんだった」
「えっ! 見つかったのか」
「ーー。連絡だけだが。元気そうだ。画像送ってきてね」
「えええーーー。よかったじゃん。それならそうと教えてくれよーー」
「立て込んでる最中だったからな。うっかりしてたよ。少し前、親に連絡はあったんだが」
「親父さんもホッとしただろうなあ。よかったーーー」

むーー…。
感慨深く見守る私。


ちょっと前、私は二週間の長期病欠をした。

その間も会社は色々動いていて、
この会長室にも新参者が登場した。

それがこのゲーム機だ。

なんでもゲーム会社がらみの大きな開発事業が決まったらしい。
私の犯したヘマもなんのその、相変わらず好調なこの会社。
もうずーーっと前から国内ホワイト企業トップ独走中…
社員になりたい人わんさかいるわけで、通常は厳しい試験を突破しないと入社できない。

私がここにいられるの、何かの間違いじゃない? ハハハ……

「高広のことだからバツ悪くて中々顔出せないんだろうな」
「ああ」

高広くん…
そろそろ顔出ししてくれる気になったかな。
言いたくても言えない、てか信じてもらえない。
私の携帯…。ああ、あれが残ってれば…。泣

「失礼します…」
会話を邪魔しないようそろっと空いた皿を片そうとして私は見てしまった。
会長の手がぬっと伸びてきてビスケットつまむのを。
つまんで口にパクリ。

えっ、会長、しるこ…を?

モグモグ無表情で

た、たべたっ


「ああ、ダメだ、掴めん。このゲーム、甥っ子がやってんだけどなあ」緑川さんコントローラーを置く。
「甥? 金沢のか」
「そうそう。買わされましたわ、本体ごと。お年玉もやってんのよ。ついでに帰省するたびお守りですわ。イオンで一日中ゲーム」
「はは、そうか」
「またそこでアレコレねだられるのよー。独身は辛いよ。金が出てくばっかしで」
「仕方あるまい」

あっ、また! 
結構お食べになるのですね…
緑川さんも。ゲームの合間に…ぽりぽり。
普通に家に遊びに来たおじさんじゃないですか。じーーっ…ーー。

「はあー、何もかも忘れてまったりしてえーー」
「今でも十分楽しそうだが?」
「俺だって現実逃避したくなる時あんのよ。ヴァーチャルでいい、嫁さんに膝枕してもらってぼーっと過ごしてみたい」
「…VR技術班紹介したほうがよさそうだな」

ーーえーっと…

しる◯サンド、

会長非常食リストに追加しとかなきゃ。


メモメモ…。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

ため息ひとつ――王宮に散る花びらのように

柴田はつみ
恋愛
「離縁を、お願いしたいのです」 笑顔で、震えずに、エレナはそう言った。 夫は言葉を失った。泣いてくれれば、怒ってくれれば、まだ受け止め方があった。しかしあの静けさは、エレナがもう十分に泣き終わった後の顔だと、ヴィクトルにはわかった。 幼なじみと結ばれた三年間。すれ違いは静かに始まり、深紅のドレスの令嬢によって加速した。ため息を飲み込み、完璧な微笑みを保ち続けた公爵夫人が、最後に選んだのは――。 王宮に散る花びらのような、夫婦の崩壊と再生の物語。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

【完結】20年後の真実

ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。 マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。 それから20年。 マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。 そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。 おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。 全4話書き上げ済み。

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのはあなたですよね?

長岡更紗
恋愛
庶民聖女の私をいじめてくる、貴族聖女のニコレット。 王子の婚約者を決める舞踏会に出ると、 「卑しい庶民聖女ね。王子妃になりたいがためにそのドレスも盗んできたそうじゃないの」 あることないこと言われて、我慢の限界! 絶対にあなたなんかに王子様は渡さない! これは一生懸命生きる人が報われ、悪さをする人は報いを受ける、勧善懲悪のシンデレラストーリー! *旧タイトルは『灰かぶり聖女は冷徹王子のお気に入り 〜自業自得って言葉、知ってますか? 私をいじめていたのは公爵令嬢、あなたですよ〜』です。 *小説家になろうでも掲載しています。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

踏み台(王女)にも事情はある

mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。 聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。 王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。

処理中です...