美少女戦士な幼馴染と行く異世界 

まぁ

文字の大きさ
15 / 21
第1章 イーチ村

1-15 VSアジ・ダハーカ②

しおりを挟む
空気が変わった瞬間僕は叫んでいた。

 「ほのかぁーーーー、こっちぃぃぃぃ」

 僕の叫びを聞いたホノカは理由も聞かずにこっちへ慌てて戻ってきてくれた。この空気感、ゲームでも感じたことが幾度かある。

 ボスモンスターが大技を使ってくるときもこんな空気感を感じた。

 僕は叫ぶと同時に全力で防御用魔法を唱える。正直、ここまでする必要はないとは思っているのだけど、これは現実であってゲームじゃない。安全マージンはできるだけ多く取りたい。

 ホノカはなにが起きたのか分かっておらずただただ僕のすぐ横で事の行く末を見守っている。今は説明している時間がないのでその判断は助かる。

 そして僕の魔法が先に完成する。

 「【サンクチュアリ】」

 すべての物を遮る絶対防御、これを通されるなら僕らの負けと言っていい最大級の防御魔法だ。

 光が僕らの足元から立ち上り形を成す。僕を中心とした三角錐の形をとる。この間、僕も攻撃はできないので、やつの攻撃に意識を集中する。

 奴の詠唱が終わると、その口元が黒く光り、なんと表現したらいいのかわからないが、とにかく禍々しい光が現れる。そしてそれは徐々に凝縮されていき、こぶし大の大きさになった。

 来る!!

 この世界に来て強化された僕の動体視力はしっかりとそれを視認する。奴の口元から放たれた、拳大のエネルギー弾は一直線に僕の方へやってくる。僕は万が一に備え両手をその軌道上に合わせる。

 ぐんぐんと近づくエネルギー弾、その濃密なエネルギーのせいかその軌跡か空間の歪みとして現れる。

 体感では長い長い時間に感じかたが、現実の時間では1秒にも満たない。

 そして二つは衝突し、先までの戦闘の比ではない破壊力の爆発が起きる。いや、爆発ではなく空間がそのまま削られたと言ってもいい。僕の目の前の地面は半球を描くように削り取られ、その膨大な土石はどこかへ消えてしまった。

 岩石すら蒸発させる高温なのか、本当に空間ごと消し去ったのかはわからないが。

 こんな感想を言っているので当たり前だが僕の防御は破られることはなかった。

 「ホノカ、たぶんだけどあいつのLVは40後半から50前半ぐらいだと思っていいはず。僕の防御をまったく破る気配がないから60よりは確実に下、でも僕の攻撃が通らないのなら40半ばよりは上のはず。だから50前後と思って問題ない」

 やつの必殺ともい言える攻撃を受けきりそう僕は判断する。

 「ってなると今の私だと厳しいわよね? 装備が万全ならどうにかなったと思うけど」

 「そうだね、まぁ方法がないわけじゃないよ? 僕にはとっておきがあるんだから」

 「ホントにぃ?」

 嬉しそうに飛び跳ねるホノカ、そしてアジ・ダハーカは呆然としている。

 やっぱりあれがあいつの最高火力ってことで間違いないよな。あそこまでショックを受けているってことは。

 「ま、まさか我が最高の技を受けきるとはな。どうやらお前たちは魔法に自身があるようだな。我もそうだと自負しておったが、今回は素直に負けを認めよう」

 おっ、これは?

 「だが、肉体の力では我のが上だ、この爪の錆としてやろう。光栄に思え、人間よ」

 あぁ、やっぱりダメか。もしかしたら帰ってくれるかもて思ったけど・・・。

 瞬間、一瞬の間やつの姿がぶれる。そして、見る見るうちにその巨体が小さくなり、僕より少し大きいぐらいになるとその形もかえ人型へとなる。

 「期待するな。小さくなってもパワーは変わらん」

 ですよね。。。

 「もぅ、いいとこで邪魔して。とにかく頼んだわよ、タクミ! 私が抑えるからそのとっておきとやらをお願いするわ」

 「あぁ、任しておけ」

 アジ・ダハーカはどこから出したかわからない剣を振りかぶりこちらへ走りこんでくる。それをホノカがカットインする。

 そして今回も奴の爪とぶつかった時同様の結果になった。が、今回、ホノカは追撃をしていない。

 「ほぅ、そこまでバカじゃないか」

 「当たり前でしょ! 今反撃してたら反対の腕で射なされ私はあなたの剣に貫かれていたわよね」

 「正解だ。剣も我が手も強度は同じだからな。お前の剣ならば腕で防ぐことが可能だ。」

 「だったら初めから2刀流にでもすればいいのに」

 「お前たち人間は見た目が大事なんだろ? ならばその隙を突くまでだ。まぁ、無駄に終わったみたいだがな、今回は」

 アジ・ダハーカはそう言い捨て、今度は剣を前突きだい、手を添えてホノカへと突進して行く。所謂牙突ってやつだろう。

 奴の突進の勢いは凄まじく早いが、ホノカは奴の突きを半身になり、軌道から体をずらす。完全に見切っている。けど、それは悪手だ。僕は声を出したくなるが、今は詠唱中。これを止めるわけにはいかないし、今声を出しても遅い。

 「かかったな、小娘」

 そんな声が奴の口から聞こえたように思えた。
 
 奴はホノカが剣を躱すと腕の力で無理やり剣の軌道を前方から横へ、ホノカが逃げた方へと変え薙ぎ払う。突進からの横払い。隙のない2連撃だ。

 完全な死角からの攻撃に慌てふためくホノカ、ではない。持って生まれた運動神経と反射神経で上体を自身の後方に反らすことで剣を躱す。

 が、状態の崩れた相手を見逃すほど奴も甘くない。

 剣を引き戻すのは時間が無駄と判断した奴は体を捻りホノカの足元に蹴りを入れる。

 もちろんドラコンのキックだ、受ければひとたまりもない威力なのは想像に難くない。

 だが、まるでそれを予期していたかのようにホノカは上半身を後ろに反らしたまま地面を蹴り、後方へそのまま宙返りをしてその蹴りを躱す。

 もちろん、その時ホノカは相手の顔を蹴るのを忘れていない。

 そして、着地と同時に地面を力強く蹴り加速しそのまま奴を斬りつけるが、最初と同じ結果となる。

 
”氏名:タクミ  種族:人間  性別:男  年齢17歳
  職業:アークビショップ LV:100
  状態:【リバイブ】 最大魔力20%減 全能力上昇(極大)
  スキル:支援魔法 ディレイマジック 生活魔法 インベントリ
  ギフト:パーマネント
  装備:神罰のリング 聖法衣 飛翔靴 癒しの腕輪 ”
 
  所持金:14MG (100万以下は切り捨てて表示)


 ”氏名:ホノカ  種族:人間  性別:女  年齢17歳
  職業:ナイト LV:33
  状態:【リバイブ】 全能力上昇(極大)
  スキル:剣技 生活魔法 インベントリ
  装備:鉄の剣 鉄の胸当て 革の靴 回復のイヤリング”
  
  所持金:14MG (100万以下は切り捨てて表示)”
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕は幼馴染達より強いジョブを手に入れて無双する!

アノマロカリス
ファンタジー
よくある話の異世界召喚。 ネット小説やファンタジー小説が好きな少年、洲河 慱(すが だん)。 いつもの様に幼馴染達と学校帰りに雑談をしていると突然魔法陣が現れて光に包まれて… 幼馴染達と一緒に救世主召喚でテルシア王国に召喚され、幼馴染達は【勇者】【賢者】【剣聖】【聖女】という素晴らしいジョブを手に入れたけど、僕はそれ以上のジョブと多彩なスキルを手に入れた。 王宮からは、過去の勇者パーティと同じジョブを持つ幼馴染達が世界を救うのが掟と言われた。 なら僕は、夢にまで見たこの異世界で好きに生きる事を選び、幼馴染達とは別に行動する事に決めた。 自分のジョブとスキルを駆使して無双する、魔物と魔法が存在する異世界ファンタジー。 「幼馴染達と一緒に異世界召喚、だけど僕の授かったスキルは役に立つ物なのかな?」で、慱が本来の力を手に入れた場合のもう1つのパラレルストーリー。 11月14日にHOT男性向け1位になりました。 応援、ありがとうございます!

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜

のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、 偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。 水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは―― 古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。 村を立て直し、仲間と絆を築きながら、 やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。 辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、 静かに進む策略と復讐の物語。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

処理中です...