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マリエルはデイビッドに押し倒されていた。
狼が「慰める」というのは、その身で番を包み込むという意味だ。さらにフェンリルは我慢などはしない。
「あ、ああ…あっ…」
膣の中に大きく太いものが入ってくる。
十分に馴らされたそこは、ずぶりずぶりを肉襞を掻き分けながら入り込んでくるそれを、喜々として咥え込んだ。
デイビッドのペニスが焼け付くほど熱い。とてつもない圧迫感にマリエルは喉をそらす。
デイビッドはすぐに律動を始める。
次第に律動は早く、強くなり、デイビッドの高ぶりが、マリエルの奥の奥までこじ開けようとする。
「あっ…あっ…あぁ、あっ…あっ、はあぁん、ああぁ……っ」
不快か快かでいえば、違いなく、不快な感覚であるそれに、快楽の味を覚え込まされたマリエルはよがり狂う。
「ゃ…やん、そっ、そん、な……しんじゃう…あっ、あっ!」
「気持ち良いくせに…マリエルは奥を激しくされるのが一番好きだよね、ここ」
デイビッドは腰を強く押さえつけ、執拗に突いた。
マリエルは跳ねるように反応した。
「ぁあっ……ひゃ、はっ、はぁん……ひゃあぁぁあんんぁ…ッ」
「気持ち良いでしょう、マリエル」
マリエルの膣がきゅっとデイビッドのペニスを締め上げる。
「きもちいい…きもち、いい、あんっ、はあんっ、もっとぁ……」
「マリエル、俺の子供産んでね。マリエル以外と結婚なんか、絶対しないから……」
デイビッドはマリエルの熱い体を抱きしめて膣の中に射精した。
ヘトヘトに疲れ切った体をまだ欲しがり、
「マリエル……」
と不埒に愛撫し始めたデイビッドの腹をマリエルは思いきり蹴った。
「おっと」
まったく力がこもらない蹴りは当たっても大した衝撃ではないらしく、デイビッドは嬉しそうに笑った。
デイビッドを殺す方法はほぼ、ない。
獣化をコントロールしたデイビッドは完全にフェンリルの成獣となった。無敵の獣である。
死ぬまで巨大化し続ける体は、フェンリルを神の高みまで押し上げる。
ただし彼らにも寿命がある。
番が死ぬとフェンリルは後を追うようにじきに死ぬ。
「もうやめて、これ以上は無理」
と睨むが、
「その顔、可愛いよ、マリエル」
とデイビッドには通じていない。
あれほどされても膣口や中が腫れたり爛れたりすることはない。フェンリルの唾液や精液が治癒効果を発揮するせいだが、それと疲労はまったく別である。
「…………」
なおも睨むと、
「分かった。話をしよう」
とデイビッドはすぐに降参した。
デイビッドはマリエルを横たえ、抱きしめる。
フェンリルは番のご機嫌を探るようにマリエルの頬を舐めた。
デイビッドは既に完全に人間の体だ。
肌は男性にしてはつるんと滑らかで、多少はすね毛や腕毛も生えているが、狼人間のような毛むくじゃらではない。顔も人間の顔なのに、狼の時のような仕草をする。
「マリエル、好きだよ」
とデイビッドは口付けする。
デイビッドの口から口説き文句のようなセリフが飛び出すのは、まだ慣れない。
ついつい責めるようなことを言ってしまう。
「『愛してる』も『好き』も言わなかったくせに」
「言ってもマリエルが信じてくれると思えなかった。嘘だって言われて全部終わるような気がして……言えなかった」
「…………」
確かに信じなかったし、確かにそんなことを言っただろう。
「だって、悔しかったんだもん。あんなこと……」
思い出すと涙がこぼれそうになる。
いつも優しいのに影ではあんな嘘をついていたなんて、本当に。
「デイビッドは最低」
ポカポカとデイビッドの胸を叩いて当たり散らすマリエルをデイビッドは抱きしめる。
「うん、ごめん。嘘つきで、本当にごめん。すごく後悔したよ。俺はきちんと君に謝るべきだったんだ」
デイビッドは翌日からがらりと変わってしまったマリエルの態度で、マリエルがあの時の話を聞いていたのだと、すぐに気付いた。
だが、たった十二歳の少年ではそれをどうしていいのか分からなかった。何もなかったフリして薄氷を踏むような関係を維持していくことしか出来なかった。
「…………」
「ずっとすごく好きだったよ。死にそうになって」
「…………」
「もう一度マリエルに会いたいって思った。会って抱きしめて今度こそ言うんだ。『愛している』って」
デイビッドがマリエルの瞳を覗き込む。
『あああああああマリエルマリエルマリエル愛している愛している愛している欲しい欲しい欲しい』
その目に浮かぶのは尽きぬ愛執。
「もう、デイビッドは」
マリエルは口では怒ってみせるが、瞳を逸らさない。
すでに成獣となったデイビッドを保護する理由はなく、明日か遅くとも明後日にはマリエル達は家に帰ることになるだろう。
バーナビー曰く、両家の間で結婚の話は進んでいるようだが、それでも結婚するまでは未婚の二人はお互いの実家で暮らす。
こんな風に肌合わす生活は、しばらくお預けだ。
そう思うと、マリエルは自分の中にデイビッドの感触を刻みつけておきたかった。
「マリエルはこっちの俺も好きだよね」
デイビッドのその声に、トロンと蕩けたマリエルの瞳は、一瞬驚きに大きく見開かれる。
デイビッドは再び、フェンリルに変化していた。
だが今の四メートル近い姿ではなく、今となっては可愛らしいとさえ言える『初めの』デイビッドだ。
「くーん」
体長二メートルほどの狼は、マリエルを組み敷くと、舌を伸ばしてマリエルの唇を舐めた。
マリエルがうっとりと狼の舌を舐め返す。
唇を舐め合う淫らな水音が、一人と一匹を捕らえた牢獄に響く。
・
・
・
二人は翌日には研究所を出て、家に帰ることになる。
一週間後に早々と結婚式を挙げ、マリエルは正式にデイビッドの妻となった。
結婚までの間、二人は各々の実家で過ごしたが、夜ごと家を抜け出した狼はマリエルの部屋を訪れた。
――フェンリルは我慢なんかしないのだ。
新居は、軍が用意した。
使用人達は元軍人で、主がフェンリルなのはもちろん承知の上で雇われる。
フェンリル達は普段は人間として生活するが、万一デイビッドがフェンリル化した時に問題ないよう、市街地からは少し離れた場所に建てられた閑静で大きな邸宅だった。
不測の事態に対処するのと、番であるマリエルを守るための要員である。
だが、結局そこでの暮らしは長くはなかった。
デイビッドはすぐにデイビッドが獣化したあの西部に赴任した。いまだ魔物被害が収まらないのだ。
魔物達はより上位の魔物の気配に敏感だ。
人間のフリはしていてもデイビッドはフェンリルだ。
デイビッドがいるだけで、西部はすっかり平和になり、デイビッドはあれから一度も獣化していない。
最初は怖がられていたが、デイビッドは今では西部の騎士団にも溶け込んでいる。
「良かったわね」
マリエルが声を掛けると、デイビッドはそっとマリエルに耳を寄せて秘密を打ち明けた。
「フェンリルの精神汚染は恐怖を与えるだけじゃない。恐怖や畏怖を麻痺もさせるんだ」
つくづくとんでもない化け物と結婚したものだ。
マリエルは呆れるが、デイビッドはやはり人懐こい犬みたいに抱きついてくる。
そっと膨らんできたマリエルの腹に触れた。
その声はデロデロに甘い。
「マリエル、お腹の子の調子はどう?」
マリエルはデイビッドに着いて西部に行った。
結婚しても騎士は辞めずに今度は西部で女性騎士を続けるつもりだったが、妊娠が分かったのでマリエルはすっぱり退役した。
今は家でのんびりと赤ん坊の靴下を編んでいる。
こうして狼になった男は婚約破棄したい婚約者と幸せに暮らしました。
狼が「慰める」というのは、その身で番を包み込むという意味だ。さらにフェンリルは我慢などはしない。
「あ、ああ…あっ…」
膣の中に大きく太いものが入ってくる。
十分に馴らされたそこは、ずぶりずぶりを肉襞を掻き分けながら入り込んでくるそれを、喜々として咥え込んだ。
デイビッドのペニスが焼け付くほど熱い。とてつもない圧迫感にマリエルは喉をそらす。
デイビッドはすぐに律動を始める。
次第に律動は早く、強くなり、デイビッドの高ぶりが、マリエルの奥の奥までこじ開けようとする。
「あっ…あっ…あぁ、あっ…あっ、はあぁん、ああぁ……っ」
不快か快かでいえば、違いなく、不快な感覚であるそれに、快楽の味を覚え込まされたマリエルはよがり狂う。
「ゃ…やん、そっ、そん、な……しんじゃう…あっ、あっ!」
「気持ち良いくせに…マリエルは奥を激しくされるのが一番好きだよね、ここ」
デイビッドは腰を強く押さえつけ、執拗に突いた。
マリエルは跳ねるように反応した。
「ぁあっ……ひゃ、はっ、はぁん……ひゃあぁぁあんんぁ…ッ」
「気持ち良いでしょう、マリエル」
マリエルの膣がきゅっとデイビッドのペニスを締め上げる。
「きもちいい…きもち、いい、あんっ、はあんっ、もっとぁ……」
「マリエル、俺の子供産んでね。マリエル以外と結婚なんか、絶対しないから……」
デイビッドはマリエルの熱い体を抱きしめて膣の中に射精した。
ヘトヘトに疲れ切った体をまだ欲しがり、
「マリエル……」
と不埒に愛撫し始めたデイビッドの腹をマリエルは思いきり蹴った。
「おっと」
まったく力がこもらない蹴りは当たっても大した衝撃ではないらしく、デイビッドは嬉しそうに笑った。
デイビッドを殺す方法はほぼ、ない。
獣化をコントロールしたデイビッドは完全にフェンリルの成獣となった。無敵の獣である。
死ぬまで巨大化し続ける体は、フェンリルを神の高みまで押し上げる。
ただし彼らにも寿命がある。
番が死ぬとフェンリルは後を追うようにじきに死ぬ。
「もうやめて、これ以上は無理」
と睨むが、
「その顔、可愛いよ、マリエル」
とデイビッドには通じていない。
あれほどされても膣口や中が腫れたり爛れたりすることはない。フェンリルの唾液や精液が治癒効果を発揮するせいだが、それと疲労はまったく別である。
「…………」
なおも睨むと、
「分かった。話をしよう」
とデイビッドはすぐに降参した。
デイビッドはマリエルを横たえ、抱きしめる。
フェンリルは番のご機嫌を探るようにマリエルの頬を舐めた。
デイビッドは既に完全に人間の体だ。
肌は男性にしてはつるんと滑らかで、多少はすね毛や腕毛も生えているが、狼人間のような毛むくじゃらではない。顔も人間の顔なのに、狼の時のような仕草をする。
「マリエル、好きだよ」
とデイビッドは口付けする。
デイビッドの口から口説き文句のようなセリフが飛び出すのは、まだ慣れない。
ついつい責めるようなことを言ってしまう。
「『愛してる』も『好き』も言わなかったくせに」
「言ってもマリエルが信じてくれると思えなかった。嘘だって言われて全部終わるような気がして……言えなかった」
「…………」
確かに信じなかったし、確かにそんなことを言っただろう。
「だって、悔しかったんだもん。あんなこと……」
思い出すと涙がこぼれそうになる。
いつも優しいのに影ではあんな嘘をついていたなんて、本当に。
「デイビッドは最低」
ポカポカとデイビッドの胸を叩いて当たり散らすマリエルをデイビッドは抱きしめる。
「うん、ごめん。嘘つきで、本当にごめん。すごく後悔したよ。俺はきちんと君に謝るべきだったんだ」
デイビッドは翌日からがらりと変わってしまったマリエルの態度で、マリエルがあの時の話を聞いていたのだと、すぐに気付いた。
だが、たった十二歳の少年ではそれをどうしていいのか分からなかった。何もなかったフリして薄氷を踏むような関係を維持していくことしか出来なかった。
「…………」
「ずっとすごく好きだったよ。死にそうになって」
「…………」
「もう一度マリエルに会いたいって思った。会って抱きしめて今度こそ言うんだ。『愛している』って」
デイビッドがマリエルの瞳を覗き込む。
『あああああああマリエルマリエルマリエル愛している愛している愛している欲しい欲しい欲しい』
その目に浮かぶのは尽きぬ愛執。
「もう、デイビッドは」
マリエルは口では怒ってみせるが、瞳を逸らさない。
すでに成獣となったデイビッドを保護する理由はなく、明日か遅くとも明後日にはマリエル達は家に帰ることになるだろう。
バーナビー曰く、両家の間で結婚の話は進んでいるようだが、それでも結婚するまでは未婚の二人はお互いの実家で暮らす。
こんな風に肌合わす生活は、しばらくお預けだ。
そう思うと、マリエルは自分の中にデイビッドの感触を刻みつけておきたかった。
「マリエルはこっちの俺も好きだよね」
デイビッドのその声に、トロンと蕩けたマリエルの瞳は、一瞬驚きに大きく見開かれる。
デイビッドは再び、フェンリルに変化していた。
だが今の四メートル近い姿ではなく、今となっては可愛らしいとさえ言える『初めの』デイビッドだ。
「くーん」
体長二メートルほどの狼は、マリエルを組み敷くと、舌を伸ばしてマリエルの唇を舐めた。
マリエルがうっとりと狼の舌を舐め返す。
唇を舐め合う淫らな水音が、一人と一匹を捕らえた牢獄に響く。
・
・
・
二人は翌日には研究所を出て、家に帰ることになる。
一週間後に早々と結婚式を挙げ、マリエルは正式にデイビッドの妻となった。
結婚までの間、二人は各々の実家で過ごしたが、夜ごと家を抜け出した狼はマリエルの部屋を訪れた。
――フェンリルは我慢なんかしないのだ。
新居は、軍が用意した。
使用人達は元軍人で、主がフェンリルなのはもちろん承知の上で雇われる。
フェンリル達は普段は人間として生活するが、万一デイビッドがフェンリル化した時に問題ないよう、市街地からは少し離れた場所に建てられた閑静で大きな邸宅だった。
不測の事態に対処するのと、番であるマリエルを守るための要員である。
だが、結局そこでの暮らしは長くはなかった。
デイビッドはすぐにデイビッドが獣化したあの西部に赴任した。いまだ魔物被害が収まらないのだ。
魔物達はより上位の魔物の気配に敏感だ。
人間のフリはしていてもデイビッドはフェンリルだ。
デイビッドがいるだけで、西部はすっかり平和になり、デイビッドはあれから一度も獣化していない。
最初は怖がられていたが、デイビッドは今では西部の騎士団にも溶け込んでいる。
「良かったわね」
マリエルが声を掛けると、デイビッドはそっとマリエルに耳を寄せて秘密を打ち明けた。
「フェンリルの精神汚染は恐怖を与えるだけじゃない。恐怖や畏怖を麻痺もさせるんだ」
つくづくとんでもない化け物と結婚したものだ。
マリエルは呆れるが、デイビッドはやはり人懐こい犬みたいに抱きついてくる。
そっと膨らんできたマリエルの腹に触れた。
その声はデロデロに甘い。
「マリエル、お腹の子の調子はどう?」
マリエルはデイビッドに着いて西部に行った。
結婚しても騎士は辞めずに今度は西部で女性騎士を続けるつもりだったが、妊娠が分かったのでマリエルはすっぱり退役した。
今は家でのんびりと赤ん坊の靴下を編んでいる。
こうして狼になった男は婚約破棄したい婚約者と幸せに暮らしました。
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