竜騎士王子のお嫁さん!

林優子

文字の大きさ
46 / 119

46.実況③お送りします)

しおりを挟む
「あっ…そっ、そんなの…駄目っ…やんっ、気持ちいい……!」
 王子は、腰を大きくそして強く動かし、私を貪り始めた。
「妖精は声を上げて喘ぎ始める。鼻に掛かった甘え声は普段とはまるで違う淫らなものだ。蜜壺の中が男の精を搾り取ろうと蠢き初めて、今度は強く締め上げてくる。赤く縁取られた瞳が今にも泣き出しそうに潤み、視線が辺りを彷徨い始める。体が暖かくなり、そして弛緩してくる。背中に回った腕が力なくだらりとベッドに落ちる」
 王子、ちょっと顔が赤い。
「こうなってくるとかなりいい。油断しているとこっちもイキそうになる」
 話ながらも王子は動くのを止めない。
 王子の話す息が体に触れるだけで、どうにかなりそうにぞわぞわする。
 これ以上、こんなの続いたら死んじゃう。
「もっ……もうイかせて」

「分かった」
 と王子は頷いた。
「一緒にいくぅ……」
 これが鼻に掛かった声なのかな。恥ずかしいなと思うけど、おねだりしてしまった。
「分かった」
 王子の体が密着する。
「……あっ……」
 肌が重なり、擦り合わさるのが、すごく気持ちいい。
「こうなった妖精を絶頂させるのは簡単だ。抱きしめてゆっくり腰を使い、クリトリスを刺激する」
 そして王子は私にキスしてきた。
「んっ……!」
 苦しいのに口まで塞がれて、ますます息が苦しくなる。
 胸がすごくドキドキする。
 王子が私の体を強く揺する。
 その度に体が壊れちゃうんじゃないかと思う。
 でも気持ちいい。
 気持ちいい。
 気持ちいい。
 それ以外、何も考えられない。
「あっ……!」
 悲鳴は、王子の口に飲み込まれて、二人で一緒にイった。




 ***

 王子は優しく撫で撫でしてくれて、汗掻いちゃった体を拭いて、それから枕元にあるコップの水を飲ませてくれる。
「大丈夫か?妖精」
 ようやく一息付けた私は王子に言った。
「大丈夫じゃないです。それから妖精も止めて下さい」
 王子はとっても不満そうな顔をしてくる。
「では何と呼べというのだ、妖精」
「普通にエルシーって呼んで下さい!」

「エルシー」
 王子は急にぎゅーっと私を抱きしめてきた。
「……エルシーは本当に俺で良いのか?」
 でっかい美形におずおずそう尋ねられる。
 またか、と思いました。正直。
 王子の方が陛下なんかよりずっと格好いいのなんて、言わなくても分かりそうなのに。
 そんな当たり前のことで王子は不安がっている。
 言わないと伝わらないから言うことにした。
 私も王子の背中に腕を回して抱きしめた。
「グレン様が全然良いです。大好きですから、グレン様がいらないって言うまで一緒に居ますよ」
 王子はガバッと体を離し、怖い顔で私をにらんだ。
「そんなことは言わない。一緒にいろ」

「でも陛下、ラブラブで相思相愛の奥さんと離婚寸前です。愛はうつろいやすいものと姉様が言ってました」
 王子は大きく頭を振った。
「俺は兄上とは違う。何があろうとお前と一緒だ」

 そういうのは、ちょっと困ってしまう。
「そういう王族の方は駄目だと思うんですよ。私に赤ちゃん出来なかったら、グレン様は他に妾とか新たにお妃様とか迎えないといけませんから」
「…………」
 王子は黙ってしまう。
 ご兄弟揃って夢見がちだな。

「うーん、でも今は子作り頑張りましょう。お嫁さんになってまだ二週間経ってませんから。まだ離婚早いです。まだ私とグレン様、結婚してませんし」
「……ではもう一回しよう」
 私はキッパリ断った。
「一晩に何回もしても子作りの確率は上がらないと聞きました」
 ママ様情報である。
 ちなみに毎晩より実は二三日に一度がベストで、更に月に数日子作りに適した日があり、その時に重点的にするとなおいいそうだ。
『騎士はね、無駄に体力あるから付き合ったら死ぬわよ。うちの夫も若い頃は騎士だったから、これ本当よ』
 ……だそうだ。
 確かに二回目は疲れるからあんまりしたくないというのが本音である。
 王子は私の手を取り、自分のほっぺたにあて、撫でる。
「……しかし俺はエルシーを愛している。この気持ちを受け止めて欲しい」


「……一回だけですよ」
 と言っちゃう私は多分王子にとっても甘い。
しおりを挟む
感想 351

あなたにおすすめの小説

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)

かのん
恋愛
 気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。  わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・  これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。 あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ! 本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。 完結しておりますので、安心してお読みください。

〈完結〉【書籍化・取り下げ予定】「他に愛するひとがいる」と言った旦那様が溺愛してくるのですが、そういうのは不要です

ごろごろみかん。
恋愛
「私には、他に愛するひとがいます」 「では、契約結婚といたしましょう」 そうして今の夫と結婚したシドローネ。 夫は、シドローネより四つも年下の若き騎士だ。 彼には愛するひとがいる。 それを理解した上で政略結婚を結んだはずだったのだが、だんだん夫の様子が変わり始めて……?

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

不能と噂される皇帝の後宮に放り込まれた姫は恩返しをする

矢野りと
恋愛
不能と噂される隣国の皇帝の後宮に、牛100頭と交換で送り込まれた貧乏小国の姫。 『なんでですか!せめて牛150頭と交換してほしかったですー』と叫んでいる。 『フンガァッ』と鼻息荒く女達の戦いの場に勢い込んで来てみれば、そこはまったりパラダイスだった…。 『なんか悪いですわね~♪』と三食昼寝付き生活を満喫する姫は自分の特技を活かして皇帝に恩返しすることに。 不能?な皇帝と勘違い姫の恋の行方はどうなるのか。 ※設定はゆるいです。 ※たくさん笑ってください♪ ※お気に入り登録、感想有り難うございます♪執筆の励みにしております!

娼館で元夫と再会しました

無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。 しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。 連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。 「シーク様…」 どうして貴方がここに? 元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!

【完結】嫌われ令嬢、部屋着姿を見せてから、王子に溺愛されてます。

airria
恋愛
グロース王国王太子妃、リリアナ。勝ち気そうなライラックの瞳、濡羽色の豪奢な巻き髪、スレンダーな姿形、知性溢れる社交術。見た目も中身も次期王妃として完璧な令嬢であるが、夫である王太子のセイラムからは忌み嫌われていた。 どうやら、セイラムの美しい乳兄妹、フリージアへのリリアナの態度が気に食わないらしい。 2ヶ月前に婚姻を結びはしたが、初夜もなく冷え切った夫婦関係。結婚も仕事の一環としか思えないリリアナは、セイラムと心が通じ合わなくても仕方ないし、必要ないと思い、王妃の仕事に邁進していた。 ある日、リリアナからのいじめを訴えるフリージアに泣きつかれたセイラムは、リリアナの自室を電撃訪問。 あまりの剣幕に仕方なく、部屋着のままで対応すると、なんだかセイラムの様子がおかしくて… あの、私、自分の時間は大好きな部屋着姿でだらけて過ごしたいのですが、なぜそんな時に限って頻繁に私の部屋にいらっしゃるの?

異世界は『一妻多夫制』!?溺愛にすら免疫がない私にたくさんの夫は無理です!?

すずなり。
恋愛
ひょんなことから異世界で赤ちゃんに生まれ変わった私。 一人の男の人に拾われて育ててもらうけど・・・成人するくらいから回りがなんだかおかしなことに・・・。 「俺とデートしない?」 「僕と一緒にいようよ。」 「俺だけがお前を守れる。」 (なんでそんなことを私にばっかり言うの!?) そんなことを思ってる時、父親である『シャガ』が口を開いた。 「何言ってんだ?この世界は男が多くて女が少ない。たくさん子供を産んでもらうために、何人とでも結婚していいんだぞ?」 「・・・・へ!?」 『一妻多夫制』の世界で私はどうなるの!? ※お話は全て想像の世界になります。現実世界とはなんの関係もありません。 ※誤字脱字・表現不足は重々承知しております。日々精進いたしますのでご容赦ください。 ただただ暇つぶしに楽しんでいただけると幸いです。すずなり。

処理中です...